インドのメディアが報じたところによると、インド北部の都市ナンディニ・ナガルで、洪水によって大きな被害を受けたネパールのレスリング選手(男子フリースタイル4選手・女子2選手)がアジア大会へ向けて練習を積んでいる。4年に一度の舞台で最高のパフォーマンスを発揮するため、あえてネパールの被害状況に関する情報から距離を置いているという。
精神的な影響を受ける可能性があるからで、動画やリール(短編動画)を見ないよう、携帯電話を監督やコーチが預かり、家族と話すときだけ返しているそうだ。ラジェンドラ・チャンド・コーチは「被災された方々のことは常に案じていますが、母国の被害に関することを知れば、精神的な影響を受けかねません」と説明。ネパールのレスリング界初のメダルを獲得することで、「国民に少しでも明るい話題を届けたい」と、勝つことで国民に希望を与える可能性を目指している。
男子フリースタイルに出場するニキル・ラジ・パテルはコーチの方針に同意し、こうした措置が「集中力を維持する助けになる」と話す。電話で家族と話しても、洪水の状況について聞かされてしまい、「人々が苦しんでいるのを聞くのはつらい。私たちにできることは限られています。最善の方法は、アジア大会で国に栄光をもたらすことだと考えています」と言う。
ネパールがアジア大会に出場するようになったのは、記録が残る限りでは1998年大会から。これまでの国際大会では南アジア大会で2位に入ったのが最高。優勝選手はいない。前回の2023年大会には、男女各2選手が出場し、いずれも初戦で敗れていた。
1988年ソウル・オリンピック金メダリストの小林孝至さんが2000年ころ、首都カトマンズに技術指導に行ったことがある。最近はレスリングをバックボーンに持つ選手が総合格闘技に進出し、プロレスラーの藤波辰爾が大会を開催するなど、プロを中心に格闘技熱が高まっている。