2026.08.06NEW

男子フリースタイル全日本チームが合宿スタート

《写真集》

 愛知・名古屋アジア競技大会(9月30日~10月3日、名古屋市)と2026年世界選手権(10月24日~11月1日、カザフスタン)の代表選手を含めた男子フリースタイルの全日本チームが8月5日、東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタート。報道陣に練習を公開した。

 アゼルバイジャン・バクーで行われたU17世界選手権から帰国したばかりの選手を中心としたU17の期待選手、全日本のトップ選手にして今月中旬のU20世界選手権に出場する選手も参加。1日だけだが、日体大に来ているドイツ選手も参加し、世代を国境を超えたトップ選手の練習が展開された。

▲U17の選手も参加し、世代を超えた強化が展開された

 74kg級代表の青柳善の輔(クリナップ)ら山梨学院大関係の選手が、中央自動車道で乗用車やトラックなど7台が関係する事故の関係で、普通なら2時間で来られるところを6時間をかけて到着するアクシデントに遭遇。練習開始に間に合わず、練習終了ころ到着した。

 走行していたちょっと先で事故があったそうで、井上謙二強化委員長は「事故に遭わず、無事に到着してくれたことがありがたい」と胸をなでおろした。あらためて安全の重要性と普通に練習できることの幸せさを感じたようで、事故やアクシデントに遭って今の努力が無駄にならないよう、各所属と連携して安全を最優先に考えたいと言う。

 アジア大会の3週間後に世界選手権がある日程。例年になく選手の気持ちも盛り上がっているそうだが、2028年ロサンゼルス・オリンピックの予選開始となる12月の天皇杯全日本選手権へ向けて世界選手権を辞退している選手もいる。選手の意思を尊重して臨む予定で、まずアジア大会に全力投球。

 自国開催の利で試合開始の前日まで味の素トレーニングセンターで練習。前日に新幹線で移動し、クルーズ船が予定されている選手村に入る予定(客室約1500)。先月、アジア大会の会場で行われた全日本社会人選手権で場所を下見したが、「もう少し情報がほしい」と話し、万全を期して大会へ臨みたい気持ちを話した。

▲選手を激励する井上謙二強化委員長

R・アモウザドハリリ(イラン)との3度目の対戦あるか…清岡幸大郎

 2024年パリ・オリンピック優勝の65kg級の清岡幸大郎(カクシングループ)は「全日本合宿はふだんと違う練習相手が多く、ふだんと違う環境の中でレベルを上げる大会。初日の今日は、感触を確かめながらの練習でした」と言う。練習の最初にはトレーナーからのストレッチ講座があり、これもふだんとは違うこと。そうした中でも自分の気持ちを高めていく経験をするのもプラスになると言う。

 アジア大会の最大のライバルは、パリ大会と昨年の世界選手権の2度の決勝で闘った(1勝1敗)のラフマン・アモウザドハリリ(イラン)であることは間違いない。6月のUWWランキング大会(モンゴル)で優勝するなど好調で、「(対策は)常に頭には入れている。ライバルになる選手をイメージしながら練習している」そうだ。一方、意識しすぎるとぐちゃぐちゃになるので、「自分にフォーカスを当て、自分がどういうレスリングをするかを考えている」と言う。

 競技大会でしか味わえない盛り上がりや注目度、プレッシャーを「しっかり楽しみたい。それができるのは、代表になった選手の特権かな、と思います。でも、勝たなければならない。そこは譲れないところです」と話した。

▲ラフマン・アモウザドハリリ(イラン)との3度目の対戦に燃える清岡幸大郎(カクシングループ)

Wアジア王者奪取へ意欲十分の青柳善の輔

 6時間をかけて到着した74kg級の青柳は、先月中旬の全日本社会人選手権に出場し、今月後半から米国(練習)~ドイツ(試合出場)を予定してアジア大会に臨む予定。その精力的な活動の根本を問われると、「若さですかね。一晩寝たら、体力は回復しますから」と言う。

 山梨学院大時代は、どんな大会でも移動しての出場だったので、移動しての試合に抵抗がないことも一因。試合でなければ気がつかないことも多く、試合をこなして実力をアップしてきたやり方を世界一に輝いた現在でも踏襲している

 4月のアジア選手権(キルギス)で優勝しており、「優勝を狙える位置にいる。その先に世界選手権も控えているので、アジア大会で勝って印象づけたい」と、Wアジア王者奪取を宣言。

 2023年杭州大会(中国)に続く出場の125kg級の山本泰輝(自衛隊)は「大会まで数少ない合宿のひとつ。無駄にしないことを心がけています。ちょっとしたけがはあるが、いいコンディションで進められている」と言う。

 米国アイオワ大にコーチ留学に行っている乙黒圭祐(自衛隊)を頼り、今年に入って何度か修行に行って鍛えた。練習相手の中には97kg級で全米2位にランクされている選手もいて、「試合ではなかなか分からず、練習でしか得られないことを学んだ。(7月の遠征は)きつくて、最初は帰りたいと思ったけど、1日ごとによくなっている感覚がある」そうだ。「今までと違う試合ができると思う」と気合を入れた。

▲前回に続くアジア大会参加に燃える山本泰輝(自衛隊)


アジア大会の選手村にクルーズ船

 愛知・名古屋アジア大会は、当初、約300億円をかけて選手村を建設する予定だったが、経費削減のため、イタリアの会社が保有しているクルーズ船「コスタ・セレーナ」号を活用。レスリングの選手団はここを使用する。名古屋港金城ふ頭に停泊し、1,500の客室数で約4,000人が宿泊する。契約金額は約44億8,700万円。

 他に、名古屋港の「ガーデンふ頭」に災害時などに使うコンテナハウスを設置。約2,000人が寝泊まりすることになった。

▲レスリング選手の選手村になるクルーズ船「コスタ・セレーナ」号

 1月に公開され、レストランや海が望めるデッキの開放感などを評価する声があった一方、台風が日本に接近する時期と重なることへの不安があるのも事実。名古屋港では、台風の暴風域に入ったり、津波警報が発令されたりした場合、船を港外に避難させるなどのルールが設けられているとのこと。その場合、クルーズ船は選手を乗せたまま港の外に避難することになり、大会の進行に影響が出る可能性もある。

 レスリング界では、1996年に広島・大崎町で行われた国民体育大会(現国民スポーツ大会)のとき、選手の一部や協会役員が瀬戸内海に浮かぶクルーズ船を宿舎として活用したことがある。

▲約1500室ある客室

▲デッキを使ったレストラン