2026.05.15NEW

【2026年西日本学生春季リーグ戦】黄金期の二世選手が在籍、2017年以来の優勝を目指す…4位躍進の同志社大

 昨年春季に二部リーグで優勝し、秋季大会から一部リーグで闘っている同志社大が3位決定戦に進出。敗れて“トロフィー獲得”はならなかったが、今後につながる内容を見せた。

 同大学が一部で4位以上に入ったのは、優勝した2017年春季以来、16季ぶり。この間、二部リーグでの闘いが10シーズン。長いトンネルを抜け、わずかだが一部優勝が視野に入ってきた状態だ。

 2020年に指揮官に復帰した福田耕治監督は、最後に敗れたとはいえ、「二部に落ちないように、という思いで練習してきたので、3位決定戦に出られたことは非常にうれしいことです」と、悔しさの中にも喜びの気持ちを表した。

▲2017年以来の優勝へ向かう同志社大。前列右端は「ミス同志社」に選ばれた木村桜子マネジャー(クリックインスタ)=同部提供

 ただ、近大(昨秋優勝)との3位決定戦をチームスコア1-6で敗れ、3位までと4~8位との間には「大きな壁があることも感じた」と言う。3位以上を目指すためには、このままではダメだということも痛感し、「それは選手も感じたと思います」と、さらなる努力を期待した。

 それでも周南公立大と福岡大に勝ち、予想以上の成績を挙げたことは大きな成果。要因は「選手がまじめに練習に取り組んできたから」とのことで、「これは間違いありません」と念押しした。以前の選手がダメだった、という意味ではない。二部でくすぶっていたときも、一部昇格への気持ちは持っていたが、「何かが違ってきた」と言う。

▲安渡翔主将が昨秋の覇者・近大から1勝をマーク。一矢報いた。後方は福田耕治監督

関東から選手が加入、活気づくチーム

 そのひとつに、安渡翔主将(山口・豊浦高卒)の意気込みを挙げた。体重的には61kg級が適性だが、57kg級の選手がいないこともあって「57kg級に出ます」との意志を固め、日ごろから節制を心がける姿勢を他の部員に示した。減量とは別に、基礎体力づくりにこだわってチームをけん引。今大会では4戦全勝の結果。リーダーのこうした姿勢と結果がチーム全体に伝わったと見ている。

▲4戦全勝とチームをけん引した安渡翔主将

 1年生が5人入ったことも、チームにとっての刺激材料だ。付属校の同志社香里高から入部の小島怜恩(2024年全国高校生グレコローマン選手権60kg級3位=今月の全日本ビーチ選手権優勝)と川村隆真(全国高校選抜大会とインターハイ出場)に加え、神奈川・日大藤沢高から入学した61kg級の齊藤元章の3選手がレギュラーとして活躍。チームを活気づけたことは間違いない。

 最近、西日本の大学に東日本の高校選手が進むようになっているが、同志社大も例外ではない。2年生で変幻自在のレスリングを持ち味とする70kg級の大田譲が日大藤沢高の出身で(2024年国民スポーツ大会3位)、齊藤は大田を頼っての進学。これをきっかけに、東日本の高校選手の選択肢となれば、大きな飛躍が期待されるだろう。

▲昨年、神奈川・日大藤沢高から入学した大田譲。立派にチームを支えている=提供・同志社大レスリング部FBより

▲今春、大田を頼って同志社大に身を投じた齊藤元章

黄金期の選手がチーム強化に尽力

 もうひとつ、現在のチームの持ち味が、同大学の黄金期を支えた二世選手が在籍し、父の熱い思いを受けてレスリングに取り組んでいること。61kg級の小泉圭矢(2年生=同志社香高卒)の父・小泉円さんは、1987年に全日本大学選手権の1年生王者に輝き、西日本学生選手権で4連覇を達成した強豪(関連記事)。

 1年生の川村隆真(前述)の父・嘉裕さんは1992年西日本学生王者。当時のリーグ戦は、同志社大と福岡大が競っていた。小泉円さんは現在、「同志社クラブ」の代表として活動し、川村嘉裕さんはパンクラス大阪の運営や三恵海運のアドバイザーとして関西オープン開催ほかに尽力(関連記事)。

 ともに、現在でもレスリングへの熱い思いを持ち続け、同志社香里高時代からの恩師の福田監督を助けるべく、母校への有形無形の支援を惜しまない。

▲福岡大戦の第2試合でフォール勝ちの川村隆真。試合の流れをつくった=同志社大レスリング部FBより

▲同じ1年生の小島怜恩も活躍。左端が国際審判として活躍した福田耕治監督同志社大レスリング部FBより

文武両道を目指す選手で躍進を

 同志社大は、関学大ともに西日本学生レスリング界で最も古い歴史を持ち、一部リーグで18度の優勝を誇る。推薦制度が変わってスカウトが難しくなったことと、授業への出席も以前より厳しく課せられており、以前とは違う状況となっている。

 スポーツ推薦枠は1年に2人で、ここに同志社香里高からの選手が加わって、4学年で10数人の部員数が限度。学業成績を残さないとスポーツ推薦が1年間なくなるので、勉強は必須。練習に週6日参加できる選手はほとんどおらず、週4日くらいが平均だ。

 だが、それも同志社大の魅力。勉強をしっかりやらせることで、単位が足りずに留年する選手はいない。「関関同立」(関大、関学大、同志社大、立命館大)と言われるように、関西の私立大学でトップクラスの評価を得ている名門として、優秀な人材が社会へ飛び立っている。全国から文武両道を目指す選手を集められるはずだ。

 74歳にして母校の黄金時代再現を目指す福田監督。「正直、しんどいよ。自宅から(練習場まで)片道1時間半だよ」と口にした同監督に、そばにいた川村嘉裕さんが「私と小泉さんの2人の息子が卒業するまで面倒を見る、と約束しました。面倒を見るだけでなく、優勝を経験させてほしい」と懇願。

 黄金時代の主力選手のうち中井直也(西日本学生選手権両スタイル4連覇)は滋賀県立大学、桜井保志(1988年西本学生王者)は大阪大学の教授であり、石山直樹(1991年西日本学生王者)は帝塚山大学にレスリング部を立ち上げ(現在は部長)一部常連校に成長させている。福田監督のまいた種が実りの季節を迎え、収穫の時はすぐそこまで来ている。