2026.10.29

【2026年世界選手権・特集】米国でグレコローマンにかけるジョウル・アダムス(77kg級)、第2の故郷・日本でも鍛え、LA2028を目指す

 【アスタナ(カザフスタン)、布施鋼治】「負けたから心は痛い。でも、全部出せたので、10日ほど前のU23世界選手権のときのようには怒っていません」

 2026年世界選手権初日(10月24日)、男子グレコローマン77kg級に出場したジョウル・リチャード・アダムス(アメリカ)は、初戦でストヤン・ストイチェフ・クバトフ(ブルガリア)に1-3で敗れた。アダムスは、父は米国人、母は日本人というミックスルーツで、現在はオレゴン州立大に在籍している。

 試合後、アダムスは流暢な日本語で取材に応じた。「僕は3人兄弟の三男。上の2人は、以前はレスリングをしていたけど、今はしていません。家族はネブラスカ州に住んでいます。大学から車だと25時間くらいかかるので、帰るときには飛行機を使っています」

▲試合後、インタビューに応じたジョウル・アダムス=撮影・布施鋼治

 米国のレスリングの主流はカレッジススタイル。国際大会ではカレッジを応用しやすいフリースタイルが主流なのに、なぜグレコローマンを?

 「確かに、アメリカでグレコローマンはあまり有名ではありません。みんなカレッジスタイルが好き。カレッジをやっていたら、フリースタイルをやるのが簡単ですからね。でも、僕はグレコローマンが好き。人を投げるのが大好きだから。だからこのスタイルをやるのが楽しい」

来年も日本で実力アップをはかるか

 現在、米国ではカレッジ70%、グレコローマン30%の割合で練習することが多いという。

 「カレッジのシーズンの方が、グレコローマンのそれよりずっと長いですからね。アメリカでは10月から3月がカレッジのシーズンです」

▲今年のパンアメリカン選手権を制したジョウル・アダムス。LA2028へ向けて、世界へ飛躍できるか=UWWサイトより

 母の実家は東京なので、日本に遠征することも多いが、アダムスが訪日する目的はグレコローマンの練習だ。「日本に行ったら、いつも大学でレスリングの練習をしています。僕のお母さん、厳しいから(微笑)。この夏も育英大学に行き、専修大学と日本体育大学に行きました。来年もまた行きたい」

 冒頭で記した通り、U23の世界選手権では初戦を突破したが、続く2回戦では、奇しくも世界選手権と同じブルガリア選手に敗れた。世界選手権の試合を見る限り、まだグレコローマンの技術は粗削りながら、前に出る気持ちが絶えることはなかった。

 すでに今年のパンアメリカン選手権を制するなど、成長の跡は見えている。ネバーギブアップ。母国開催の2028年ロサンゼルス・オリンピック出場に向け、米国でグレコローマンに懸ける日系の大学生が燃えている。