日本のグレコローマンを支えてきた日体大が、8月の全日本学生選手権に続いて「優勝なし」に終わり、大学対抗得点は4位。表彰台からも外れてしまった。
昨年優勝の金澤孝羽(60kg級)と吉田泰造(87kg級)がけがで不出場。両選手が出場していれば、「0」ということはなかったと思われるが、一番手が出られなくなっても二番手が勝ってきたのが日体大。奮起が望まれる結果となった。
日体大が優勝「0」に終わったのは、拓大が4階級を制した2003年以来(不祥事で出場を自粛した2009年を除く)。そのときの大学対抗得点は2位で、先立つ全日本学生選手権では2選手が優勝していた。両大会での優勝なしは、未曽有(みぞう)の危機と言えよう。
愛知・名古屋アジア大会の男子グレコローマンは、日体大の学生・OB選手で固めたメンバー6選手で臨み、日本初の国別対抗得点優勝の快挙を達成しただけに(注=表彰はなし)、松本慎吾監督にとっては、天国から地獄に落とされた形。「結果を真摯に受け止めます。何が悪かったかを追究し、次に生かしていきたい」と言う。
日本代表選手が世界のトップレベルに近づいても、学生選手が低迷していては、「2032年ブリスベン・オリンピックにつながらない」として、この状況を憂慮。「しっかり立て直していきたい。練習の環境から、すべてを見直さなければならない」と言う。
優勝が期待された選手が同スコアで負けたり、わずかの差での敗戦もあった。「6分間の流れをつかみ切れていない。ここを克服しないと、全日本の上位には行けない」と話す。紙一重の差を乗り越えられなかった点を分析し、今後の強化につなげていく腹積もりだ。
アジア大会の代表選手は全員が日体大で練習している。学生選手にとって、強くなるための練習相手には事欠かない。その点を問われると、しばらく考えたあと、「実力差が離れすぎている、ということがあるのかもしれません」と答えた。実力差がありすぎ、やられてばかりの練習から実力をアップさせることは厳しい。「上の層の実力アップにも影響する」とし、その差を埋めることの必要性を口にする。若い世代の突き上げによって全世代が強化されるのが理想のチームだ。
以前は、高校のグレコローマンの強豪選手が進む大学は日体大が定番だった。今は育英大が躍進し、同大学にかなりの選手が流れているのが現実。同監督は、これは「いいことだ」ときっぱり。多くの大学で競い合うことで日本全体のレベルが上がるのであり、一強独占であってはならない。その中で、再び日体大が中心に来ることができるか。
前回の「優勝なし」だったときは、翌2004年の大会で「金2・銀2・銅1」で大学対抗得点の優勝を奪還した。屈辱をばねに、大学日本一に返り咲くことができるか。