2026年U20世界選手権(スロバキア)に出場した男子フリースタイル・チームが8月25日、成田空港着のオーストリア航空で帰国した。74kg級の吉田アリヤ(日大)が優勝し、「銀2・銅3」を獲得。昨年の「銀1・銅1」を上回り、国別対抗得点は130点で3位。
決勝のラスト1秒で逆転勝ちして金メダルを引き寄せた吉田は「まだ実感はないです。正直、優勝できるとは思っていなかったので…」と、劇的な逆転優勝が信じられないような表情。決勝は「怒られるかもしれないけど、負けてもいいかな、くらいの気持ちで臨んだ」そうで、そのリラックスした気持ちがよかったのか、ポイントの取り合いになっても焦ることもなかったそうだ。
最後は、がぶられて下から返しての逆転だった。「タイマーが見えて、5秒切っていた。かかればいいな、くらいの気持ちで仕掛けた技」だったという。終了間際の逆転と言えば、今年6月に東日本学生リーグ戦で、優勝した日大が優勝を決めた試合(65kg級・伊藤洋行)がラスト4秒での逆転勝ちだった。「その流れを受け継いだ?」の問いに、「たぶん、それはあるでしょう」とにっこり。
過去2度のU17世界選手権(2022・23年)は、ともに初戦黒星だった。ここ数年で大きく力を伸ばしたわけで、「減量がきつく、今考えると、試合より減量がメーンになっていた」と言う。今は減量もあまりない状態。「それが、いい結果につながっているような気がします」と言う。
国内のシニア74kg級は、世界王者の髙橋海大(ALSOK)、髙橋を破って日本代表になった70kg級世界王者の青柳善の輔(クリナップ)を筆頭に強豪そろい。74kg級でやっていくかどうかは決めていないそうだが、「日本代表にならないと次がない。日本代表になれるように頑張っていきたい。(74kg級でやる場合は)覚悟はできています」と気を引き締めた。
男子フリースタイルの高橋侑希監督(山梨学院大講師)は「みんな力を出し切ってくれた。(優勝した)吉田はポイントを取り合うシーソーゲームの中でも自分のレスリングを貫いた。最後の逆転劇も含めて、収穫の大きい優勝だった」と振り返った。
同じ国別対抗得点3位でも、2024年は95点だったのが130点へ。メダル獲得も4人から6人へ増えた。チーム力は間違いなく上がっていると感じている。いずれシニアで活躍するべき選手だが、「順番待ちをするのではなく、一気にトップに行くと考えてほしい」と言う。今秋のアジア大会や世界選手権に出る3選手(小川大和、ガレダキ敬一、岡澤ナツラ)がメダルを取ったことは「弾みになると思う」と話した。
メダルを取れなかった選手も、「落ち込むことはない」と言い、2人のパリ・オリンピック王者の例を出した。樋口黎は最初の世界ジュニア選手権(2025年)は1回戦で敗れ、清岡幸大郎は2023年U23世界選手権でエジプト選手に負け、ともに敗者復活戦に回れなかった。「その悔しさを胸に頑張り、結果を出したと思う」と、この負けを糧にした奮起を期待した。
米国が「金4・銀3・銅3」と全階級でメダルを獲得した躍進は、警戒すべき事実と感じている。技術的には日本が上回っているそうだが、タフさや強靱なメンタルの強さは、シニアの世界でも要注意と感じたようだ。
■57kg級3位・小川大和(日体大)「目標は優勝で、出発のときに(大学同期の)吉田泰造が優勝して、自分も絶対に優勝という気持ちでした。負けてしまい、海外選手の強さをあらためて感じました。その中でも気持ちを切り替えて敗者復活戦とファイナルを勝てたのはよかった。
(負けたロシア選手はU23欧州王者)強かったことは確かですが、シニアでやっていくうえで、そのような選手はたくさんいる。闘う前からびびっていては勝てない。強い選手だからこそ楽しみだったし、勝ったらすごいな、という気持ちでした。負けましたけど、勝つ強い気持ちは持っていました。世界で闘える感触があり、長所を伸ばしていけば、もっといい試合展開ができることを実感しました」
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■65kg級2位・大脊戸逞斗(中大)「メダルを取れたことはうれしいのですが、決勝で体力やポジション取りで負け、悔しい気持ちの方が強いです。今回の反省を生かして、今後の練習に取り組みたい。日本だと、脚を取ればポイントにつなげられるケースでも、海外選手は粘りがあって取りきれないことが多い。タックルに入ってからの処理をもっと練習したい。
(準決勝までの4試合は)すべて片足タックルからアンクルホールドという自分のレスリングがしっかりできたので、よかったです。その部分では、今後につなげられる銀メダルだと思います。今年から65kg級に上げましたが、(全日本では)強い選手が多いので、その中でも勝てるように頑張りたい」
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■79kg級2位・ガレダギ敬一(早大)「メダルは取れると思っていましたが、優勝できずに悔しい。マークしていたロシア選手に全然通じなかったことを実感しました。生物的な違いを感じ、こんな強い選手がいるんだ、と思いました。でも破らないと上にいけない。今回は差しで負けていたので、その対策と自分からアグレッシブに攻めるスタイルに変えていきたい。(準決勝の米国戦も)満足のいく試合ではなかった。
シニアのアジア選手権で勝ったけど、世界は広いことを感じた。全日本選手権では階級を変える予定だけど、今は世界選手権へ向けて頑張ることを考えたい。あと2ヶ月あるので、悪いところを直して臨みたい」
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■86kg級3位・岡澤ナツラ(慶大)「3位決定戦が終わった直後は、達成感がありましたが、接戦で負けたアメリカの選手が優勝し、世界一に手が届かなかった悔しさが出てきました。うれしさと悔しさが混ざった複雑な心境です。負けた試合は、前半、相手のペースに合わせられ、ばててしまって、後半は攻める気持ちはあっても脚が動かなかった。守る展開になったことが敗因でした。
課題だったグラウンドでポイントが取れたので収穫はあった。トップ選手とともに遠征できてメンタル面でも得るものはあった。3位にはなったことで、世界選手権に自信を持って臨めるとは思う」
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■97kg級3位・リボウィッツ和青(日大)「絶対に優勝、という気持ちでした。今年の大きな目標でしたが、達成できず、まだ世界チャンピオンの器ではないことを実感しました。(米国選手とは2-13)緊張してしまい、ポイントを取られたあと、攻められないのではなく、攻めないで終わってしまった。まだ国際大会の経験が足りないのだと思います。
気持ちの切り替えは難しく、(敗者復活戦の)直前まで気持ちは盛り上がらなかったけど、最低限度、メダルは取ろうという気持ちをつくって闘いました。負けた試合以外は自分のレスリングができましたが、(米国選手を)乗り越えないと上へは行けない。この負けは、次につながる負けだと思うし、財産になるはず。この悔しさを忘れず、全日本選手権へ向かいたい」