2026.07.29

【2026年インターハイ・特集】警察から表彰されたチーム、初陣は飾れなかったがマットで輝く日を目指す…島根・大東

 昨春、1996年世界選手権2位の嘉戸洋氏が創部した島根・大東が、2026年インターハイの学校対抗戦に初出場。個人対抗戦でも5階級に出場した。学校対抗戦は初戦の2回戦で兵庫・猪名川に2-5で黒星。個人対抗戦ではベスト16が最高だった。

 学校対抗戦は、島根県予選を勝ち抜いただけでなく、中国大会でも居並ぶ“先輩チーム”を破って優勝する飛躍。それだけに今大会での上位入賞の期待もあったが、猪名川は2023・24年に連続で3位に入賞し、個人王者も輩出している強豪校。やや荷が重かった。

▲第1試合はフォール勝ち。気持ちよく2番手選手を送り出す嘉戸洋監督

 嘉戸監督は「2年生(5人)、1年生(3人)の8人のチームですからと話し、勝負はこれからと強調。今回の大会は、1、2年生が全国大会に出場してくる選手を相手にどこまで闘えるかを見る大会。「下がってしまったり、弱気になったりとかが、なければいいな」と思っていたそうで、その点は「できた選手もいれば、できなかった選手もいた」と言う。

 80kg級と125kg級の選手は、本来なら下の階級の選手。パワーのある相手に組み合ってはいけないところを、安易に組み合ってしまい、経験不足を露呈してしまったのは事実。「そうしたことも、経験して分かること。これからですよ」と今後に期待した。

全国大会に出場したことが「大きな収穫」

 ただ、フォール勝ちした2選手については、実力の一端は出してくれたと振り返る。下からの返し技を決めた51kg級の村上陸斗は、練習でもよくやる技を出した。71kg級の伊内湊音主将は組み合ってからの横捨て身技で、わずか53秒でフォールを奪い、2年連続中国王者の実力を発揮した。

▲下からの返し技で相手の両腕を決め、フォールに持ち込んだ村上陸斗。幸先いいフォール勝ちだったが…

 新興チームはどこもそうだが、先輩が築き上げた伝統がなく、レベルも分からないので、自分たちが手探りで開拓し感じていかなければならない。その意味では、全国大会に出場して立ち位置を知ったことは「大きな収穫」と言う。

 部員は全員が高校以前からのレスリング経験者。嘉戸監督が指導を手がけた昨年4月に立てた目標が、1年後の全国高校選抜大会に出場することで、これはクリア。その後の目標は、インターハイ島根予選で勝ち抜き、中国大会で優勝することで、これもクリア。順調に力をつけてきた。

 今回のインターハイは1勝することが目標で、これはクリアできなかったが、組み合わせの関係もあり、やむをえない部分もある。全体として「順調に来ていると思います」と話す。このあとは、来春の全国高校選抜大会の出場と勝利を目標に闘いを続ける。必要なことは「経験を積むこと」と言う。

 試合では、勝ち負けより自分の技を思い切って出すことを望む。ただ、「思い切って技を仕掛けるためには、そこへ持っていく技術や戦術が必要」とも話し、やみくもに気迫で闘うのではなく、正しい技術と戦術を身につけることを要望。「教えている技や戦術、駆け引きは、(自分が)ナショナルチームのコーチをやっていたときと、変わりはないものです」と話し、世界で通じた技術と戦術を伝授していく予定だ。

▲2年連続中国王者の伊内湊音も快勝

人助けでチームワークを発揮、80代女性を救う

 創部から日の浅い同高レスリング部だが、今年2月、全国ニュースでも流れた手柄を立てている。伊内湊音主将のほか、前島拓実(80kg級)、鈴木真吾(60kg級)、吾郷煌介(55kg級)、中学生1人が練習後、体育館の敷地内で倒れている地元の80歳代の女性を発見。

 体育館の職員に119番通報を依頼するとともに、自分の上着を女性に掛けて温めたり、脈を測って声掛けし、救急車に乗せるまで励まし続けた。女性は命に別条はなく、後日、雲南警察署から感謝状が贈られた(クリック)。

 すばらしい行動とチームワークを見せた大東高のレスリング部員。マットの上で輝く日はいつか?