シングレットからラッシュガードへ-。2026年インターハイは、全国高体連レスリング専門部がシングレットに代わってセパレートタイプのユニフォームを認めた最初の大会。初日の学校対抗戦では、広島・賀茂(2選手)、東京・自由ヶ丘学園(全選手)、京都・丹後緑風(1選手)が新ユニフォームで試合を行った。
全国大会第1号選手としてマットに上がったのは、賀茂51kg級の西爽馬選手(3年)。試合は残念ながら敗れたが、記念すべき第1号選手になったことに悪い気はしない様子。今年4月に、インターハイではラッシュガードでのユニフォームが認められそうと聞き、高校最後の夏に試みようと思ったという。
届いてから2週間くらいだったが、試合を想定して練習でも着用していた。「シングレットに抵抗があった?」との問いに、「それしか選択肢がなかったので…」と、抵抗が「ある、ない」という発想もなかったそうだが、選択肢ができたことで、ラッシュガードを選んだ。「今後、広まっていくのではないでしょうか」と言う。
続く55kg級の松川蒼一郎選手(1年)もラッシュガードで出場。こちらの方が自分に合っていると思っていたことに加え、中森昭平監督から「これからはラッシュガードの時代になる」と言われ、いち早く購入を決めた。汗を吸収してくれ、「こちらの方が、やりやすいと思います」と話したほか、「トイレに行ったとき、(シングレットより)面倒くさくなくていいです」と利点を説明した。
中森監督は「広島県では三次高校が最初に注文しましたね。6月に入ってMAMO(レスリングウェア・メーカー=半田守代表)に相談したら、インターハイに間に合うというので、お願いしました。間に合ってよかった」と、第1号チームになった感想。
着替えがしやすい利点のほか、今回は時間がなくてデザインに凝ることまではできなかったが、今後は各チームがデザインをしっかり考えることを予想。選手や世間が「かっこいい」と思えるユニフォームへ変わっていき、それが「レスリング人口の増加につながるのでは」と期待する。
同チームは今年、4人の女子選手が入部したが、そのうち2人は従来のシングレットだったら「やらない可能性があった」と言う。オリンピック選手のような“肉体美”の女子選手はそうでないようだが、体の線がはっきり出てしまうシングレットに抵抗のある女子生徒は少なくないのが現実。
男子監督の目線では気がつかないことかもしれない。ラッシュガードと短パンの組み合わせでも可となることで、女子の競技人口は「間違いなく増えるでしょう」と言う。
多くの競技で、競技力向上のほか、世間受けする“かっこよさ”を求めてユニフォームは進化している。女子サッカーの日本代表チームでは、「下着が透ける」「生理のとき、気になる」という女子選手からの声で、男子に合わせていた白パンツをやめた経緯もあり、ユニフォームと競技人口は切り離せない関係。
レスリングが変化していないわけではないが、基本はそう変わっていなかったのが現実だ。選手受け、世間受けを目指す全国高体連レスリング専門部の闘いが本格スタートした。アスリート・ファーストに徹した改革が望まれる。