【リオデジャネイロ・オリンピック事前特集】男子グレコローマン66kg級／エントリー選手・展望（８月16日試合）

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

2016年リオデジャネイロ・オリンピック

男子グレコローマン66kg級／出場選手・展望

《ｐｄｆ資料》　《強豪選手ＶＴＲ》

ドイツと韓国という珍しい決勝となった昨年の世界選手権。フランク・スタエブラー（ドイツ＝赤）がユ・ハンス（柳漢壽＝韓国）を破る

　世界チャンピオンのフランク・スタイブラー（ドイツ）は、昨年11月のゴールデンＧＰ決勝大会、今年６月のピトラシンスキ国際大会（ポーランド）は、ともに71kg級に出場して優勝。上の階級での修業が実るか。

　2013年世界王者で昨年世界２位の柳漢壽（ユ・ハンス＝韓国）も、ピトラシンスキ国際大会２位など実力を見せている。韓国は2008年北京大会で金メダルの伝統が途切れたが、前回のロンドン・オリンピックで復活。それを確固たるものとすることができるか。

　ロシアは世界選手権３位のアルテム・スルコフではなく、欧州選手権優勝でロシア選手権を制したイスラムベク・アルビエフが出てくる。60kg級で2008年北京オリンピックで優勝。今年はポッドブニー国際大会、欧州選手権、ロシア選手権で勝ち続けており、文句なしの“逆転代表決定”と言えよう。

　2012年ロンドン・オリンピック60kg級優勝のオミド・ノルージ（イラン）、同66kg級２位のタマス・ロエリンツ（ハンガリー）、2014年世界選手権優勝のダボール・ステファネク（セルビア）らが優勝争いにからむ可能性も十分にある。

　アジア予選でオミド・ノルージに土をつけた井上だが、闘ったことのない強豪は多い。

【お断り】従来、韓国の「Ryu, Han-Soo」を「リュ・ハンス」としてきましたが、現地語に合わせ、「ユ・ハンス」とします。漢字では従来通り「柳漢壽」とします。

※パソコンのOSによっては表崩れする場合があります。《ｐｄｆ資料》を参照ください。

出場権獲得大会	選手（生年月日・年齢）		国　　名	過去の主な成績	ＵＷＷ
世界選手権優勝		Staebler, Frank	ドイツ	2012年ロンドン・オリンピック５位	UWW データ ベース
		フランク・スタエブラー		2015年欧州大会71kg級３位
		（1989-06-27＝27歳）		2016年ピトラシンスキ国際大会優勝
	【ＵＷＷ８月ランキング：１位】2012年ロンドン・オリンピック５位のあと、2013年世界３位、2014年世界５位などコンスタントに上位へ。昨年、ドイツの男子としては1994年以来、21年ぶりの世界王者へ。
世界選手権２位		Ryu, Han-Soo	韓　　国	2013年世界選手権優勝	UWW データ ベース
		ユ・ハンス＝柳漢壽		2014年アジア大会優勝
		（1988-02-01＝28歳）		2015年アジア選手権優勝
	【ＵＷＷ８月ランキング：３位】2006・08年にアジア・ジュニア選手権で優勝し、2013年に世界選手権初出場初優勝。2014年アジア大会でも勝った。６月のピトラシンスキ国際大会は２位。
※他の選手が獲得した出場権を奪取		Albiev, Islambek	ロシア	2008年北京オリンピック60kg級優勝	UWW データ ベース
		イスラムベク・アルビエフ		2013年世界選手権２位
		（ 1988-12-28＝27歳）		2016年欧州選手権３位
	【ＵＷＷ８月ランキング：４位】2008年北京オリンピック60kg級王者。66kg級でのロンドン大会の出場ならず。昨年の世界選手権は外れたが、今年はポッドブニー国際大会、欧州選手権、ロシア選手権で勝ち続けた。
世界選手権３位		Stefanek, Davor	セルビア	2014年ゴールデンＧＰ決勝大会３位	UWW データ ベース
		ダボール・ステファネク		2014年世界選手権優勝
		（1985-09-12＝31歳）		2016年欧州選手権２位
	【ＵＷＷ８月ランキング：６位】2005年に世界ジュニア選手権で優勝し、2008年北京オリンピックに出場。2012年ロンドン大会は逃したが、2014年に世界選手権で初優勝。今年の欧州選手権は２位と力をキープ。
世界選手権５位		Benaissa, Tarek Aziz	アルジェリア	2012年ロンドン・オリンピック60kg級15位	UWW データ ベース
		タレク・アジズ・ベナイッサ		2015年アフリカ大会優勝
		（1991-04-07＝25歳）		2016年アフリカ選手権２位
	【ＵＷＷ８月ランキング：11位】2008年北京オリンピックはアフリカ＆オセアニア予選を通過して出場。2014年アフリカ選手権優勝などを経て、今回は世界選手権で出場枠を獲得。
世界選手権５位		Arutunyan, Migran	アルメニア （元ロシア）	2014年世界選手権９位	UWW データ ベース
		ミグラン・アルツニャン		2015年欧州大会２位
		（1989-03-25＝27歳）		2016年ミロン・トロフィー国際大会71kg級優勝
	【ＵＷＷ８月ランキング：８位】2012年まではロシア国籍。ワールドカップの代表に２度なっている。アルメニアへ変えてから2015年欧州大会２位などの成績を残している。
欧州予選優勝		Loerincz, Tamas	ハンガリー	2012年ロンドン・オリンピック66kg級２位	UWW データ ベース
		タマス・ロエリンツ		2015年世界選手権15位
		（ 1986-12-20 ＝29歳）		2016年スペインＧＰ71kg級優勝
	【ＵＷＷ８月ランキング：２位】2008年北京オリンピック８位。その後の世界選手権でも上位入賞を続け、2012年ロンドン大会は２位。今年は欧州予選を含めて国際大会を４大会連続で制している。
	《日本代表選手との対戦成績》【2016年ハンガリーGP】井上●［０－４］○Tam?s Lorincz（ハンガリー）
欧州予選２位		Bolkvadze, Shmagi	ジョージア	2014年世界ジュニア選手権優勝	UWW データ ベース
		シュマギ・ボルクバーゼ		2015年世界選手権７位
		（1994-07-26＝22歳）		2016年欧州選手権３位
	【ＵＷＷ８月ランキング：10位】2013年世界ジュニア選手権２位。2015年世界選手権は７位。今年の欧州選手権３位を経て、欧州予選でオリンピック出場枠を獲得。
パンアメリカン 予選優勝		Rivas Espinoza, Wuileixis	ベネズエラ	2012年ロンドン・オリンピック12位	UWW データ ベース
		ウイレイシス・リバス・エスピノザ		2014年パンアメリカン選手権71kg級優勝
		（ 1990-08-27＝25歳）		2015年パンアメリカン大会３位
	【ＵＷＷ８月ランキング：13位】2012年ロンドン・オリンピック出場を経て、パンアメリカンを代表する選手へ。
パンアメリカン 予選２位		Martinez Palacios, Miguel	キューバ	2015年世界選手権30位	UWW データ ベース
		ミゲル・マルティネス・パラシオス		2016年パンアメリカン選手権優勝
		（1991-03-23＝25歳）		2016年スペインＧＰ優勝
	【ＵＷＷ８月ランキング：９位】2014～16年にパンアメリカン選手権優勝。この間の2015年パンアメリカン大会は３位だった。７月のスペインＧＰで優勝し、勢いつけた。
アジア予選優勝		井上　智裕	日　　本		UWW データ ベース
		（1987-07-17＝29歳）
	【ＵＷＷ８月ランキング：外】
アジア予選２位		Omid　Noroozi	イラン	2011年世界選手権60kg級優勝	UWW データ ベース
		オミド・ノルージ		2012年ロンドン・オリンピック60kg級優勝
		（1986-02-18＝30歳）		2014年世界選手権２位
	【ＵＷＷ８月ランキング：18位】60kg級で2010年アジア大会優勝、2011年世界選手権優勝と続け、2012年ロンドン・オリンピックで優勝。66kg級となってからも2014年世界選手権で２位となった。
	《日本代表選手との対戦成績》【2016年アジア予選】井上○［３－３］●Omid Noroozi
アフリカ・オセアニア 予選優勝		Kahk, Adham Ahmed Saleh	エジプト		UWW データ ベース
		アドハム・カーク		2016年ニコラ・ペトロフ国際大会71kg級４位
		（）		2016年スペインＧＰ71kg級３位
	【ＵＷＷ８月ランキング：外】世界の主要大会での実績はないが、今年に入り、２月のニコラ・ペトロフ国際大会（ブルガリア）71kg級で４位、７月のスペインＧＰ71kg級で３位に入った。
アフリカ・オセアニア 予選３位 （繰り上げ）		Miller, Craig	ニュージーランド		UWW データ ベース
		クレイグ・ミラー
		（）		2016年オセアニア選手権３位
	【ＵＷＷ８月ランキング：外】オーストラリア選手のドーピング違反発覚により、繰り上げで出場。
世界予選第１戦 優勝		Panait, Ionut	ルーマニア		UWW データ ベース
		イオナト・パナイト		2008年北京オリンピック13位
		（ 1981-05-05＝35歳）		2011年世界選手権21位
	【ＵＷＷ８月ランキング：14位】2008年北京オリンピックに出場。その後、2010年欧州選手権２位など健闘したが、2012年ロンドン大会が出場できず。しばらくマットを離れたあと、今年復帰して出場枠を獲得。
世界予選第１戦 ２位		Vaelimaeki, Tero	フィンランド	2014年世界選手権31位	UWW データ ベース
		テロ・バエリマエキ		2015年世界選手権23位
		（1982-01-01＝34歳）		2016年ドイツＧＰ71kg級５位
	【ＵＷＷ８月ランキング：外】オリンピックには2004年アテネ大会から挑んだが、３大会とも出場できず。その後も世界選手権での上位入賞はなかったが、世界予選で出場枠獲得。
世界予選第１戦 ３位		Venckaitis, Edgaras	リトアニア	2012年ロンドン・オリンピック７位	UWW データ ベース
		エドガラス・ベンカイティス		2014年世界選手権３位
		（1985-12-12＝30歳）		2015年世界選手権33位
	【ＵＷＷ８月ランキング：15位】2005年頃からシニアの国際舞台へ。2008年北京大会は逃し、2012年ロンドン大会に出場して７位。2014年世界選手権は３位に入ったが、特筆すべき成績は少ない。
世界予選最終戦 優勝		Chunayev, Rasul	アゼルバイジャン	2014年世界選手権71kg級３位	UWW データ ベース
		ラス－ル・チュナエフ		2015年欧州大会71kg級優勝
		（1991-01-07＝25歳）		2015年世界選手権71kg級優勝
	【ＵＷＷ８月ランキング：71kg級１位】シニアでは2013年頃から頭角を現す。2014年世界選手権71kg級３位を経て、2015年に欧州大会と世界選手権の同級で優勝。66kg級へ落として世界予選最終戦を勝ち抜いた。
世界予選最終戦 ２位		Tsarev, Ruslan	キルギス	2014年アジア選手権優勝	UWW データ ベース
		ルスラン・ツァレフ		2015年世界選手権29位
		（1995-07-16＝21歳）		2016年アジア選手権75kg級３位
	【ＵＷＷ８月ランキング：71kg級10位】2014年アジア選手権優勝で頭角を現し、翌年は71kg級でアジア選手権２位。2016年アジア選手権は75kg級で３位となったが、66kg級でアジア予選に挑んで結実した。
	《日本代表選手との対戦成績》【2013年ハンガリーGP】井上●［１－２（2-0,0-3,0-2）］○Ruslan Tsarev 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　  　【2013年アジア選手権】井上○［２－１（1-0,1-4,3-0）］●Ruslan Tsarev