2016.06.11

インド・レスリング界の英雄、オリンピックの道を断たれる…高等裁判所が訴え却下

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 英雄も、勝負の世界の掟(おきて)には勝てず-。インドのメディアが報じたところによると、インドの高等裁判所は6月6日、2012年ロンドン・オリンピックの男子フリースタイル66kg級銀メダリスト、スシル・クマールのリオデジャネイロ・オリンピックの代表をかけてのプレーオフ実施の訴えを却下。同選手のリオデジャネイロ・オリンピック出場の道が断たれた。

 男子フリースタイル66kg級で闘っていたクマールは、2004年アテネ・オリンピック出場のあと、2008年北京オリンピックで銅メダルを獲得。2010年は同国初の世界王者に輝き、2012年ロンドン・オリンピックでは銀メダルを獲得し(決勝の相手は米満達弘)、同国レスリング初のオリンピック2大会連続でのメダルを獲得。インド・レスリング界の英雄的な存在だった。

 2013年の階級区分の変更によって、74kg級へのアップしてのオリンピック4大会連続出場を目指したが、リオデジャネイロ・オリンピックの第1次予選となった昨年9月の世界選手権(米国)は、国内予選を右肩負傷で欠場。同国代表となったロンドン・オリンピック74kg級代表のナルシン・パンチャフ・ヤダフが銅メダルを獲得し、オリンピックの出場枠を獲得した。

 クマールは代表選考のプレーオフを求めて裁判所に提訴したが、裁判所はクマールの世界での実績を認めつつも、「66kg級での実績」とし、74kg級での実績不足を理由に、プレーオフを実施する必要はないとの判決を下した。