2016.05.19

【西日本学生春季リーグ戦・特集】関大が4季ぶりの優勝で一部リーグ復帰へ

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 西日本学生春季リーグ戦の二部リーグ(総当たりリーグ戦)は、関大が5戦全勝で優勝。来季は4季ぶりの一部リーグ復帰となった。関学大との最終戦は全勝対決となり、事実上の決勝戦。抽選で決まった試合順は、61kg級、125kg級、65kg級、70kg級、74kg級、86kg級、57kg級となった。

 関大は一番手の61kg級は敗れたものの、2番手で出場した125kg級の1年生、京都八幡高校時代に学校対抗戦で全国制覇の経験がある脇田俊之がチームの流れを変えた。相手は4年生の末永渓太朗だったが、8-1と大差で勝つと、次の65kg級の大川慧輔、70kg級の竹本荘志はともにフォール勝ち。完全に流れを引き寄せ、そこで登場したのは74kg級の山岡将也だった。

 試合は関学大の鎌田裕貴も譲らず、内容は拮抗(きっこう)。鎌田が攻めて、山岡がレッグホールドで応酬するという展開だったが、懐の大きさをうまく使った山岡が終盤に7-4と突き放して終了のブザー。4勝目を挙げてチームの勝利を勝ち取った。

 その瞬間、関大陣営はほぼ全員がマットになだれ込み、4勝目を決めた山岡将也に祝福の抱擁。この2年間、チームを指導してきた比与森正志監督が一番喜びを爆発させていたのが印象的だった。

■昨季のタッチの差での2位が発奮材料

 一部に上がる布石はあった。昨季は2位で昇格はならなかったが、優勝した日本文理大に唯一黒星をつけるなど、敢闘した一面もあった。比与森監督は「昨季は初日に天理大に負けてしまって、優勝は厳しい状況でした。日本文理大に勝って三つ巴になったけど、実力が足りませんでした」。昨季の二部リーグは混戦で、チームの勝利数で日本文理大に勝ちを譲ったかたちとなった。

 一部リーグに上がれるチャンスを目の前で逃したショックに、監督、メンバーともに同じ轍(てつ)は踏まないと誓った。比与森監督は「リーグ戦が終わった後、すぐにミーティングをして対策を練りました。下級生も発言してチーム全員が一丸となれました」。

 キャンパスが4つもある関大は、練習時間に全員がそろわないことも多い。けれども、緊急ミーティンによって意識が高まり、空き時間にビデオを見て研究し合うなど、努力する姿が見られたと言う。比与森監督は「高圧的に練習させるのではなく、風通しのよい環境で、レスリングが上達するためにどうしたらいいのか考えながらやった結果」と選手たちをねぎらった。

 関大は関西屈指の難関大学として知られる。「関大は授業優先です。学生は本来、勉強ができた上でスポーツもできて、人として成長しないといけません」。成績不良者には大学からのペナルティもあるようで、文武両道をモットーに一部昇格を勝ち取った。

 一部リーグで闘うため厳しい戦いが予想される来季に向けて比与森監督は、「これからのミーティングで話し合って方向性を決めます。できるかぎり勝利できるように頑張ります」と一部に臨む覚悟を決めていた。