※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(公財)日本レスリング協会
タレント発掘・育成コンソーシアム
インターナショナルキャンプの様子
※タレント発掘・育成コンソーシアムの受託概要については、下記をご参照ください。
https://wrestling-spirits.jp/2015/05/26/69916/
レスリング強豪国は、オリンピック競技大会や世界選手権のみならず、ジュニア世代やカデット世代の世界選手権に、次世代の有望アスリートを帯同させ、国際大会の雰囲気や国外でのコンディショニング方法のについて学ぶ機会を戦略的に創出している。加えて、強豪国の育成拠点とネットワークを提携し、インターナショナルトーナメントやインターナショナルキャンプ等を定期的に実施することで、外国人選手とのトレーニング経験を蓄積させている。
そこで本事業においては、早期から海外における経験を積ませることを狙いとして、海外育成システム構築を推進している。海外育成プログラム派遣対象は、国内育成プログラムにて得たスキルの実践の場とするため、国内育成プログラムキャンプ参加者の中から特に優秀なタレントを選抜した。
今回の海外育成プログラムには、第1回男子カデット育成キャンプに参加したタレントの中から、54kg級 山口海輝(柏日体高等学校)、58kg 級乙黒拓斗(帝京高等学校)、69kg級三輪優翔(和歌山北高等学校)の3名を選抜して同プログラムに派遣した。 Saitiev氏と記念撮影
【インターナショナルキャンプ】
インターナショナルキャンプが行われたミンディアシビリ・レスリングアカデミーは、2面のマットが敷かれている練習場が2か所、3面敷かれている練習場が1か所あることに加え、ウェイトトレーニング場、レストラン、メディカルクリニック、サウナ、アイスバス等が常設されており、非常に恵まれた環境であった。
本キャンプには、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン等の選手が参加していた。大会前ということもあり、スパーリング量は少なく、ポジション別の攻防を中心としたトレーニングが行われた。また、カデット・ジュニア世代のトレーニング終了後に、シニアのトレーニングも行われており、シニアのメンバーとも手合わせすることができ世界トップのレベルを肌で感じることができたことは、大きな成果であった。
【Buvaisa Saitiev国際大会】
第11回Buvaisa Sytiev国際大会は、クラスノヤルスクに所在するIvan Yarigin体育館にて実施された。インターナショナルキャンプに参加していた国に加え、モンゴル、キルギス等、開催国のロシア以外の強国も数多くのタレントを派遣していた。この様な状況からも、強豪国は、早期から国際経験を積ませていることが伺えた。
大会結果の詳細は以下の通り。同大会には、下記8か国が参加した。
参加国:アゼルバイジャン、カザフスタン、ロシア、キルギス、モンゴル、ウズベキスタン、ヨルダン、日本
FS54㎏級 山口海輝 (出場選手41名) 最終順位1位
1R Bye
2R Sazanakov Arkadiy(RUS) TF10-0
3R Raev Sergey (RUS) 6-0
4R Gataulin Andrey (RUS)6-2
準決勝 KetsbaAlmas(RUS)3-2
決勝 Abudullaev Gulomjon(UZB)5-2
FS58㎏級 乙黒拓斗 (出場選手40名)最終順位3位
1R Bye
2R Hertek Chimit(RUS) TF10-0
3R Shahgiriev Usman(RUS) 5-9
敗者復活戦 1R Volkov Vitaliy(RUS) TF10-0
敗者復活戦 2R Tumuochir Tulga (MGL) 3-0
3位決定戦 Rahmonov Abbos (UZB) 12-2
FS69㎏級 三輪優翔(出場選手32名)最終順位18位 インターナショナルキャンプの様子
1R Vershinskiy Yuriy(RUS) 3-0
2R Magomedov Sultanali(RUS)0-10
敗者復活戦なし
本プログラム中、3回の個別ミーティングを実施した。内容は、海外育成プログラム評価シート(コンディション、目標設定、目標達成度を評価するシート)やキャンプ、トレーニング時の映像を活用し、日々の目標達成度の確認に加え、技術的課題、体力的課題、精神的課題に関する議論を展開し、今後の目標設定と計画について共有を行った。
今回派遣対象として選抜した3名以外にもカデット世代には優秀なタレントは多く存在する。今後はより多くのタレントに海外育成の機会を提供していくことが肝要となろう。
本事業は、オリンピック競技大会において永続的にメダルを獲得できる強化・育成システムの構築を目指すものであり、文部科学省及び独立行政法人日本スポーツ振興センターより事業の成果報告が求められる。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努める必要がある。
![]() インターナショナルキャンプの様子/シニアの選手とのスパーリング |
![]() 3位決定戦でウズベキスタン選手と戦う58㎏級乙黒拓斗 |
![]() ロシア選手と戦う54㎏級山口海輝 |
![]() 初戦でロシア選手と戦う69㎏級三輪優翔 |
![]() 山口海輝の表彰式 |
![]() カデット世代の大会にもかかわらず満員のIvan Yarigin ホール |