※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
世界レスリング連盟(UWW)は公式ホームページ上で、今夏のリオデジャネイロ・オリンピックで昨年の世界選手権の決勝進出選手のブロックを分けるシード制を採用することを発表した。UWWの理事メンバーや国際オリンピック委員会(IOC)と検討を重ねた結果だという。
レスリングの世界選手権や大陸選手権は長年にわたってシード制を採用していなかった。そのため、初戦で前年の世界選手権の1、2位が対戦したり、1位と2位が隣のブロックになることがしばしばあり、決勝戦が“世界一決定戦”とは言えない試合もあった。
2012年ロンドン・オリンピックでは、男子フリースタイル60kg級の1回戦で前年の世界選手権決勝を争ったベシク・クドホフ(ロシア)とフランクリン・ゴメス(プエルトリコ)が激突。同66kg級では、前年優勝のメフディ・タガビ(イラン)と3位のリバン・ロペス・アスクイ(キューバ)が1回戦で顔を合わせ、勝者が前年2位だった米満達弘(1回戦は試合なし)と闘う組み合わせだった。
UWWのネナド・ラロビッチ会長(セルビア)は「私たちはオリンピックへの誓約(レスリングを現代にマッチしたスポーツに変革すること)を実行します。このシステムがレスリングを近代化に導いてくれるでしょう。この制度が選手とファンにとって、大きな改革となるでしょう」とコメントした。
前年の優勝選手はトーナメントの上のブロックへ、2位の選手は下のブロックへ割り振られる。リオデジャネイロ・オリンピックでは、各階級19~20選手出場となり、3~4試合の1回戦(qualification round=予備戦と呼ばれる場合もあり)が行われるが、ここには割り振られない。
前年の1位と2位の選手が対象であり、国内予選で負けてその国から別の選手が出てきた時には、シード制は採用されない。
日本選手がらみでは、お互いに出場を果たせば、女子48kg級の登坂絵莉とマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)、同53kg級の吉田沙保里とソフィア・マットソン(スウェーデン)、同58kg級の伊調馨とペトラ・オッリ(フィンランド)、同63kg級の川井梨紗子とバドゥーチェグ・ソロンゾンボルド(モンゴル)が、それぞれ別ブロックとなる組み合わせになる。