※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
決勝で正面タックルを決めた川井梨紗子(至学館大)
初戦の徐燕(中国)戦でタックルをつかまえられ、速攻のローリングで計4点を失う“つまずき”もあったが、準決勝と決勝は快勝と言える内容での勝利。特に決勝のリム・ヨンシム(北朝鮮)戦では、正面からのタックルを決めて4点を取り、そのままフォールする圧勝だった。
63kg級の国際大会は昨年の世界選手権(米国)のみ。「その時は片足タックルだけだった」と言う。「今回は両足タックルに入れ、4点を取れてよかった」と振り返る。決勝の相手は、昨年の世界選手権決勝で敗れたバチェチェグ・ソロンゾンボルド(モンゴル)ほどの身長はないものの、「63kg級の選手に対応できたことは大きな収穫。1回戦から決勝を通じて、63kg級の闘いに慣れてきたのかな、という感じです」と、進歩を実感したようだ。
もちろん反省することはあり、課題も見つかった。初戦の2+2失点がそれで、「今回、勝ったからといって、オリンピックで勝てるというものではない。私の心の中では、モンゴル(世界チャンピオン)が一番強い。モンゴルに勝たなければ金メダルはない」と話し、ここで立ち止まるわけにはいかない。
「リオまでに課題を克服し、得意なことを伸ばして、リオの時に一番強い自分をつくりたい」。63kg級での初優勝という自信をベースに、新たな課題の克服に挑む川井。金メダル獲得レースは、いよいよ最終コーナーにさしかかる。