※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
両スタイル優勝の園田平(拓大)
しかし、「両スタイルとも内容がすごく悪かったです」と反省の第一声。フリースタイルは「準々決勝で自分の思い通りに動かず、焦ってしまってポイントを取れなかった」、グレコローマンは「最初の試合で体が動かず、2点を取られてしまった。決勝も最初から最後まで相手に合わせてしまった」と、それぞれ悔やんだ。
ただ、この日の決勝は闘争心を出し切った試合だった。塩川貫太(日体大)は本来85kg級の選手。「たとえグレコローマン専門の選手とはいえ、下の階級の選手には負けられない、という意地というか、プライドはありました」と語気を強めた。
冒頭の「大学王者に匹敵する実力を持つ」というのは、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権とも、優勝した選手に勝ってもおかしくない内容の試合を展開した末に惜敗しているからだ(ともに3位へ)。 決勝で闘う園田(赤)
チャンピオンに届きそうで届かなかったモヤモヤがあったことだろう。今回の大会は、その悔しさを払しょくし、試合数をこなして経験を積み、全日本選手権へ向けて流れをつくるための大会だった。反省はあったが、結果を出したことでその思いは達成された。次は全日本選手権。「リオデジャネイロ・オリンピックの予選に出る(最低2位)という気持ちで頑張ります」と気合を入れる。
6月の全日本選抜選手権は、初戦で山本を破る殊勲を挙げ、2回戦で昨年のアジア選手権代表の中井伸一(東計電算)を破りながら、そのあとが続かなかった。その大会で闘うことはなかったが、世界選手権代表の山口剛(ブシロード)との実力差は実感している。
それでも「今年1年間で、少しは縮まっていると思います。体力も技術も、すべて(山口が)上ですが、それを越せるよう頑張りたい」と、気持ちを鼓舞していた。