2015.11.09

タレント発掘・育成コンソーシアム事業報告(8)…国内育成プログラム 第1回U-15世代育成キャンプ

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

JWF タレント発掘・育成コンソーシアム
清水 聖志人


 本協会は、独立行政法人日本スポーツ振興センターより、タレント発掘・育成コンソーシアム事業を受託している。

 本事業は、全国規模で有能なタレント・アスリートを継続的に見出し、最適な育成・強化を図る手法・仕組みを調査研究・開発する。これらの手法をもとに、地域タレントからメダルポテンシャルアスリートまで確実に引き上げるシステムの構築を目指している。

 レスリングのタレント発掘・育成コンソーシアムは、「インテリジェントレスラーの育成」をコンセプトとしており、全国のU-12世代、U-15世代、カデット世代、ジュニア世代から優秀なタレントを発掘し、国内及び海外育成プログラムによって育成を行う。

 2015年10月17日(土)~10月19日(月)の期間、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターにおいて、第1回U-15世代育成キャンプを実施した。本キャンプは、U-15世代の優秀なタレントを対象に、高品質な機会(トレーニング、コーチング、教育プログラム、形態・フィットネスデータのフィードバックなど)を提供することを目的としている。また、本キャンプ中に実施したプログラムの結果を分析し、エビデンスに基づくプログラムの開発を推進する。今回のキャンプでは日本レスリング界の将来を担うU-15世代の26名(男子13名/女子13名)が参加した。

 本事業は、高度レベルの競技活動を通して得た経験や知識を基に、日本のリーダーとなるアスリートの育成を目指すため、「教育プログラム」に注力しているのが特徴である。今回キャンプにおいては、「目標設定と達成までのプランニング」「メンタルトレーニング」にフォーカスした2つの教育プログラムを展開した。

 両プログラムとも、グループワークやメンタルトレーニングを実際に体験する機会を創出したことで、参加タレントは非常に積極的に取り組んだ。教育プログラムにて「目標設定」の重要性を認識した選手が多く、短期目標を具体的に設定して翌日のキャンプ中のマット練習や測定に臨む選手もみられた。

 また、女性アスリートの育成・支援プロジェクト(FALプロジェクト)の協力を得て、骨密度とヘモグロビン値の測定データを測定し、女性アスリートの三主徴(運動性無月経/利用可能エネルギー不足/骨粗鬆症)のスクリーニングを実施した。U-15世代の国内育成プログラムにて、女性アスリート支援のためのプログラムを実施したのは初めてであり、今後は、実態を踏まえ、教育プログラムや啓蒙に繋げる予定である。

 マットトレーニングにおいては、この世代の技術的課題について徹底したコーチングを行ったうえで、ポジション別の攻防やスパーリングを実施した。

 また、国立スポーツ科学センターの協力により、ナショナルチームが行っている内容と同様の形態測定、フィットネス測定を実施し、キャンプ最終日に測定データのフィードバック及び、各世代のデータとの比較を基にフィットネスレベル向上に向けたカウンセリングを実施した。300mインターミッテント走においては、歴代30傑の上位にランクインするタレントもみられた。

 本事業は、日本レスリングが永続的にメダルを獲得するための発掘・育成システムの構築を目指すものであり、独立行政法人日本スポーツ振興センターより事業の成果報告が求められる。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努める必要がある。

キックオフミーティングにて短期目標の設定

本好平先生(兵庫教育大学)による教育プログラム「目標設定と達成までのプランニング」

土屋裕睦先生(大阪体育大学)による教育プログラム「メンタルトレーニングの挑戦」

フィットネス測定の様子(スクワットジャンプ)

フィットネス測定の様子(ロープ昇降)

形態・フィットネス測定データのフィードバックとカウンセリング