※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【男子フリースタイル65g級】
フランク・チャミゾ(イタリア=Frank Chamizo)
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(撮影=矢吹建夫)
1992年7月10日生まれ、23歳。前キューバ国籍。2010年のパンアメリカン選手権55kg級で優勝し、同年の世界ジュニア選手権出場を経て、世界選手権にも出場し、18歳にして銅メダルを獲得。その時のもう一人の銅メダリストは稲葉泰弘(警視庁)。
翌年の世界選手権にも出場し12位へ。この時期、合同練習で知り合ったイタリアの女子選手と恋仲になり、イタリアへ亡命。2012年ロンドン・オリンピックの出場を断念した。
国籍変更による出場停止期間を終え、2013年夏から国際大会に復帰。階級は66kg級、翌年の階級区分変更で65kg級へ。2014年2月のヤシャ・ドク国際大会(トルコ)で復帰後、初の国際大会優勝。アリ・アリエフ国際大会(ロシア)で3位など。
2015年3月の欧州U-23選手権で優勝し、6月の欧州大会ではロンドン・オリンピック60kg級王者のトグルル・アスガロフ(アゼルバイジャン)に敗れて2位。しかし、翌月のジオウコウスキ国際大会(ポーランド)で優勝。勢いをつけ、世界選手権ではアスガロフにリベンジするなどして優勝した。
純粋なイタリア選手ではないが、男子フリースタイルではイタリアからの初の世界王者。男子グレコローマンを合わせると1955年以来(オリンピックを含めれば1988年以来)の世界一。
■フランク・チャミゾの2015年世界選手権成績 決 勝 ○[4-3]Ikhtiyor Navruzov(ウズベキスタン) 準決勝 ○[フォール、2:52=2-2]Seyedahmad Mohammadipahnehkolaei(イラン) 4回戦 ○[10-5]Toghrul Asgarov(アゼルバイジャン) 3回戦 ○[5-2]Kim Ju Song(北朝鮮) 2回戦 ○[4-3]Magomedmurad Gadzhiev(ポーランド) 1回戦 BYE |
【世界選手権1~5位選手】(オリンピック出場枠獲得選手)
[1]Frank Chamizo(イタリア)
[2]Ikhtiyor Navruzor(ウズベキスタン)
[3]Soslan Ramonov(ロシア)
〃 Saeid Ahmad Mohammadi(イラン)
[5]Ganzorig Mandakhnaran(モンゴル)
〃 Togrul Asgarov(アゼルバイジャン)
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《2016年3月・アジア予選展望》 ※国際主要大会成績(青が出場枠獲得国)
アジアから3ヶ国が出場枠を獲得。4ヶ国獲得の57kg級ほどではないが、出場枠獲得の門戸は広がっている。
残っている強豪の一番手は、2012年ロンドン・オリンピック60kg級3位、2014年アジア大会優勝のヨゲシャワー・ダット(インド)ではないか。世界選手権は不出場で、同国からの出場もなかったが、ダット自身は5月のイタリアの大会に出場している。32歳だが、現役は続行しているはず。
ロンドン・オリンピック66kg級代表で2014年アジア大会2位のゼリムカン・ユスポフ(タジギスタン)も世界選手権は不出場だったが、現役は続けている。アジア大会3位のカタル・ウェーランビエケ(中国)とともに、要注意の選手。
2013年世界選手権66kg級5位で2014年アジア選手権2位のカン・ジンヒェオク(北朝鮮)は、2014年アジア大会5位のあと活動していない。代わりに世界選手権に出てきたキム・ユソンは11位。今後の成長はどうか。