(文=布施鋼治)
2026年全日本学生選手権第2日、男子グレコローマン82kg級を制したのは1年生の秋保大地(早大)だった。グレコローマンに限れば、大会史上12人目の1年生王者。準決勝は昨年2位の谷﨑工之助(山梨学院大)、決勝は同優勝の松崎繕弘(拓大)が相手で、ともに豪華な俵返しを決めての勝利は、ひときわ目立っていた。
その要因を聞くと、秋保は「早大に入って、上にも下にも全日本選抜チャンピオンがいることですかね」と答えた。
「上にも下にも」とは、今年5月の明治杯全日本選抜選手権・男子フリースタイル79kg級優勝のガレダギ敬一と同92kg級を極めた金澤空大を指す。練習相手として、昨年の全日本選手権・男子グレコローマン82kg級準優勝の掛川零恩主将がいる(負傷のため試合には出場せず)。全日本で活躍する先輩たちにもまれ、秋保は強くなった。
「すごくいい環境で練習できていると思う」
レスリングは幼稚園の年中から東京・MTX GOLD KIDSで始めた。「友達に誘われたことがきっかけです。ウチはレスリング一家とかではないんですけど」
それから12年以上、この競技を続けている。「小学生くらいまではずっと嫌いで。でも成國晶子先生が怖くて、『やめる』って言い出せず続けている感じです(苦笑)」
楽しくなったのは東京・文化学園大杉並高に進学し、成國の長男・成國大志コーチの指導を本格的に受けるようになってからだ。
「試合になったら必ずマッサージや温泉に連れていってくれました。大志コーチを含めて、いろいろな方のサポートに気がつき始めたらレスリングが楽しくなってきた」
成國大志はフリースタイルとグレコローマンの両スタイルで全日本王者になっている。そんな師から刺激を受け、秋保も“二刀流”を目指す。「どっちにも取り組みたいという思いもあって、早稲田を選んだ理由もあります。早く大志コーチに追いつけるように頑張りたい」
翌日から始まったフリースタイルでは79kg級にエントリーしたが、負傷のため棄権した。それでも早大に入学して出場した今年7月の東日本学生選手権(春季)・新人戦では両スタイルで優勝するなど、早くも大器の片鱗(へんりん)を見せている。
大学生としてのキャリアは始まったばかり。「大志コーチと一緒に全日本王者になって、そろって世界選手権へ行けたらと願っています」
現在のところはグレコローマンの方が成績はいいが、どちらに専念するという考えは、今のところはない。「両スタイルでメダルを獲ることが目標なので」
今年12月の天皇杯全日本選手権は、成國との師弟による二刀流コンビで、両スタイルで暴れ回るのか。