(文・撮影=布施鋼治)
「『今なら勝てる』というレベルにあると思うので、今年こそはリベンジしたい」
2026年東日本学生リーグ戦(6月16~18日、東京・駒沢体育館)に向け、そう決意を語るのは日体大レスリング部のキャプテンとなった65kg級の西内悠人(4年)だ。先日行われた2026年明治杯全日本選抜選手権は、大会4日前にヒザに菌が入り、蜂窩織炎(ほうかしきえん)となって欠場を余儀なくされた。
「それでも出るつもりでいたけど、減量もあってどんどん悪化してしまい、大会期間中は入院していました。棄権は初めてだったので、最初は気持ちの整理が難しかったですね。病床では本を読みながら自分と向き合っていました」
幸い、その後順調に回復し、リーグ戦に間に合うまでコンディションは回復した。
「でも、自分がキャプテンになっていなければ、回復したかどうか分からない。立場上、自分がちゃんとしなければならないというのもあったので。入院した1週間は神様がくれた試練だったと思います」
西内は大学1年のとき(2023年)、チームが東日本学生リーグ戦、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権で優勝し、2年連続グランドスラム(団体戦3大会制覇)を達成した喜びを味わった。
しかし、それ以降は昨年の全日本大学グレコローマン選手権で優勝した以外、いずれの団体戦でも優勝から見離されている。東日本学生リーグ戦では3年ぶりの優勝に向け、チームの練習は熱気を帯びていた。
「勝ちにこだわるというより、日体大の強さや今までやってきたことを発揮すれば絶対優勝できると思う」
当然、山梨学院大との対決の実現に注目が集まるが、西内は「キャプテンである僕が落とすわけにはいかない」と意気込む。「須田(宝)選手が出てくるのか、内田(怜児)選手が出てくるか分からないけど、僕は明治杯に出られなかった分、やる気満々。どちらが来ても圧倒的に勝つつもりでいます」
「楽しむレスリング」をスローガンに掲げ、リーグ戦に挑むのは、明治杯全日本選抜選手権後のプレーオフを制してアジア大会と世界選手権の代表となった57kg級の小川大和(2年)だ。
明治杯の準々決勝ではチームの先輩、高田勇に敗北。昨年の全日本選手権は優勝していたのでプレーオフに出場する権利はあったものの、途方に暮れる小川に、コーチでもある樋口黎(ミキハウス)が「もう今日のことは仕方ない」と声をかけた。
「でも、あとひとつ勝てば、お前が一番強いことになる。明日(プレーオフ)は笑顔で会場に来い」
樋口のアドバイスで小川は気持ちをうまく切り替えることができたという。「黎先輩のおかげで、頑張ろうと思いました。まだ代表の座を獲得した実感は湧かないですけどね(微笑)」
小川はリーグ戦を“お祭り”と捉えている。「学生の大会の中では一番盛り上がりますからね。去年のリーグ戦を見て(小川は1戦1勝)、こんな雰囲気の中で闘えるのは楽しいな、と思いました。それが今年もできると考えると、チームにとって大事な1勝を自分がもたらしたい」
他の階級に目を向けてみると、70kg級は4月のJOC杯U20全日本選手権同級で優勝した松原拓郎(2年)に期待がかかる。
「まだ全日本での実績はないけど、練習ではものすごく強くて、成長を感じられる。手さばきと身体の使い方が上手」(西内)
61kg級は小川か高田勇(ともに前述)か、高校時代に特別な実績がない中からはい上がってきた及川丈尊、74kg級は山下凌弥、86kg級は神谷龍之介を主力に据える布陣で勝負か。
125kg級は吉田泰造の出場が濃厚と思われたが、6月14日から2週間の予定で米国遠征に参加することになった。そこで、この階級は丸山政陽で勝負をかける。
松本慎吾監督は「丸山は今回が(ケガからの)復帰戦になるので、しっかり勝ち切れるようにしたい。山梨学院大との対戦になれば、新しく入ったカザフスタンからの留学生との勝負になるでしょう。未知数の部分もあるので、初日からしっかり様子をうかがいながら、着実に勝利につなげていければ」と話す。
リーグ戦独特の雰囲気を、松本監督は「先に勝ちを先行した方がチーム全体の雰囲気がよくなるし、次に出る選手の力にもなる」と感じている。「やっぱり勢いですね。この3日間は総力戦で臨みたい。(主力を)休ませるところは休ませ、選手のしっかりと見定め起用していくつもりです」
西内が感じている今季のチームカラーは「活気があって、仲がいい」。ポジティブな空気の中、日体大は3年ぶりにチーム全体を“笑顔”でいっぱいにできるか。