2026.06.10NEW

【2026年東日本学生リーグ戦・展望】強豪が抜けて端境期(谷間)の山梨学院大、総合力で3連覇を目指す

お知らせ
PIN FALLに2026年東日本学生リーグ戦へ向けての写真等が掲載されています。

 

 2024・25年と2年連続で学生の団体戦2大会(東日本学生リーグ戦、全日本大学選手権)を制した山梨学院大。2021年に全日本大学選手権で4位に低迷し、翌年から長期計画で選手を育ててきた成果でもあった。V2を支えた荻野海志(現大東建託)らが抜けた今年は、ある意味で端境期(はざかいき=谷間の時期)。強豪の影に隠れていた選手が、蓄えていたエネルギーを発揮できるかどうかが、3年連続優勝のカギとなる。

▲3年連続12度目の優勝を目指す山梨学院大

 ライバルの日体大は、インターハイ王者から大学に進んだ4年生が3人いて(65kg級=西内悠人、70kg級=細川周、86kg級=神谷龍之介)、結果を出すべき年。山梨学院大は2024・25年とも日体大に5-2で勝っていて、ともに第5試合でチームの勝敗が決まったが、今年は最終試合までもつれる激戦を覚悟しなければなるまい。

 もっとも、4年生の活躍が目立った昨年だが、3年生だった増田大将(97kg級)が全日本学生選手権を制し、勝目大翔(57kg級)と須田宝(61kg級)が全日本大学選手権で優勝。2年生だった安藤慎吾(74kg級)も全日本大学選手権で3位に入っており、経験と実績のある選手はそろっている。

▲チームで唯一、世界選手権とアジア選手権を経験している須田宝

 先月明治杯全日本選抜選手権で、卒業したばかりの冨山悠真(現自衛隊)が優勝したように、強豪先輩の影にいたからこそ実力をつけている選手が続いており、戦力は十分にそろっていると言えよう。

【予想されるメンバー】
▼57kg級 勝目大翔(4年=静岡・飛龍高卒)
▼61kg級 與那城一輝(2年=足利工大付高卒)
▼65kg級 須田宝(4年=佐賀・鳥栖工高卒)/内田怜児(3年=埼玉・埼玉栄高卒)
▼70kg級 荻野大河(3年=埼玉・埼玉栄高卒)
▼74kg級 安藤慎悟(3年=大阪・興国高卒)
▼86kg級 増田大将(4年=埼玉・埼玉栄高卒)
▼125kg級 中沢遥貴(3年=山梨・甲府城西高卒)/カラベック・アリスタン(カザフスタン)

▲昨年の大学王者で、チームをけん引する勝目大翔主将

実力未知数のカザフスタンからの留学生

 小幡邦彦監督は「正直なところ、去年は7割、8割の確率でいけるかな、と思っていました。今年は、日体大が高校時代から強かった選手が上級生になっている。ディフェンディング・チャンピオンですけど、チャレンジャーに徹して闘わせようと思っています」と気を引き締める。

 何度も優勝を引き寄せた監督として感じるのは、4年生がチームを引っ張り、下級生がそれについていくことがチーム力のアップにつながること。その面では、昨年の大学王者の勝目大翔主将、全日本学生王者の増田大将副主将、世界選手権とアジア選手権出場も経験している須田宝の4年生がチームをまとめ、けん引してくれる状況は頼もしそう。

 ソビット・アビレイが抜けた125kg級には、同じカザフスタンからカラベック・アリスタンが加入。来日してから大会に出場していないので、小幡監督といえども日本の学生相手にどこまでやるかは「分からない」とのことだが、練習を見ている限り、だれが相手でも「白星は期待できる強さは感じられる」と期待する。

▲カザフスタンからの新留学生、カラベック・アリスタ。どんな実力を見せてくれるか

 3年生は、65kg級に内田怜児(U20世界選手権2位)、70kg級に荻野大河(U23全日本選手権優勝)、74kg級に安藤慎悟(前述=U23全日本選手権2位)と続き、来年へ向けての戦力増強も進行中。

 全国王者を経験している新人が4人入り(57kg級・本田正虎、61kg級・深澤遼弥、65kg級・丸田龍平、70kg級・福井大翔)、2年生が刺激されているので、いい形でチーム内の競争が展開されている。「選手を交代で使える層の厚さは、昨年以上では?」との問いに、「1~3位の実力差があまりない階級は多いですね」と否定しなかった。

「チーム全体に勝利へのムードが充満」…勝目大翔主将

 勝目大翔主将は「連覇しているプレッシャーは…。ちょっとだけあります」と苦笑い。しかし、チーム全体に全日本大学選手権とともに優勝を途切れさせてはならないというムードが充満しており、キャプテンとして楽な部分はあるそうだ。「試合に臨む雰囲気づくりとケガをさせないことを気をつけて毎日の練習をやっています」と言う。

 強豪選手が卒業した穴は、自身や同期ですでに世界に飛び出ている須田宝らが埋めるわけだが、「サブ(2番手、3番手)の選手も強い。総合力で勝っていきたい」と気合を入れた。

 主将支える増田大樹副主将は、3月のU23全日本選手権で負った負傷のため、大事をとって5月の明治杯全日本選抜選手権を棄権。その大会は全日本チャンピオンの石黒峻士も欠場したので、出場していれば優勝の可能性も高かったが、「リーグ戦のために棄権しました」という選択に悔いはない。それだけ、気持ちが高まっている。

 「どの大学も強い。負けないような元気作りを心がけたい」と言う。ケガの直後だけに、部員にケガをさせないことを心がける。有望新人が入っているので、あおられて頑張りすぎる上級生も見かけるので、いかにブレーキをかけるかが自分たちの役目と考えている。

▲中量級を支える安藤慎悟(右)と練習する増田大将・副キャプテン

 すでにシニアの世界選手権とアジア選手権を経験している須田宝は、1・2年のときのリーグ戦は負傷で出場しておらず、昨年、初めて出場した。「しっかりした締めくくりをしたい」と言う。65kg級に上げてから日が浅いこともあり、まだ体重はさほど増えていない。3日間の計量も問題ないそうで、「(61kg級の)世界選手権代表としての意地を見せたい」ときっぱり。

選手育成力をアピールする絶好の機会

 前述の通り、日体大にはインターハイ王者だった4年生が3人いるが、下級生を含めれば7人となる。他に、日大、拓大、中大、育英大、国士舘大、慶大に散らばっているが、今年の山梨学院大にインターハイ優勝経験者はいない(女子を除く)。

 統計はないが、4学年を通じてインターハイ王者が皆無のチームがリーグ戦を制するのは珍しいのではないか。山梨学院大の2013~18年の6連覇のときは、高橋侑希、吉川祐介、乙黒圭祐、木下貴輪、貝塚賢史、藤波勇飛、乙黒拓斗がいてチームを盛り立てた。当然、「それだけ取っていれば、勝つのは当たりまえ」という声もあっただろう。

 そんな声を否定し、選手育成力をアピールする絶好の機会が今年のリーグ戦。山梨学院大にとって、新たな挑戦の大会となる。

▲最後のリーグ戦に燃える4年生選手