2026.06.07NEW

【2026年東日本学生リーグ戦・展望】3年目を迎える日大・齊藤将士監督、軽量級の充実で優勝を目指す

 齊藤将士監督が就任して3年目を迎えた日大。昨年は東日本学生リーグ戦、全日本大学選手権・大学対抗得点とも3位で、今年は2強(山梨学院大、日体大)の一角を崩すことが目標の年となる。昨年の東日本学生リーグ戦の2強との対戦は、ともに1-6。やや差のあった3位で、今年は、その差を縮めることを目指しつつ、上回ることが目標となる。

▲2003年以来のリーグ戦優勝を目指して燃える日大選手

 核だった吉田アラシ(現三恵海運)は抜けたが、“超高校級”のインターハイ王者2選手を含む3人の全国王者が加入。先月の明治杯全日本選抜選手権57kg級で永井陸斗(3年)が優勝し、齊藤監督は「抜けた穴は十分に補えている」ときっぱり。

 【予想されるメンバー】
▼57kg級 倉本亮弥(3年=岐阜・大垣日大高卒)
▼61kg級 永井陸斗(3年=埼玉・花咲徳栄高卒)/田島翼(1年=京都・京都八幡高卒)
▼65kg級 伊藤洋行(3年=秋田・秋田商高)
▼70kg級 碓井晴登(4年=岐阜・大垣日大高卒
▼74kg級 吉田アリヤ(2年=JOCエリートアカデミー出)
▼86kg級 松岡大洋(4年=岐阜・大垣日大高卒)
▼125kg級 藤田宝星(2年=埼玉・花咲徳栄高卒)/リボウィッツ和青(1年=東京・自由ヶ丘学園)

▲5月の明治杯全日本選抜選手権を制し、軽量級を活気づかせている永井陸斗

「一番いい形で恩返ししたい」…碓井晴登主将

 昨年もそうだったが、97kg級が実施されないため、92kg級高校三冠王者の吉田悠耶(佐賀・鳥栖工高卒)を起用できるかどうか分からない“宝の持ち腐れ”状態。逆に言えば、この階級はどのチームが相手でも白星が見込める。吉田アラシ・ケイワンの兄弟(ともに三恵海運)がOBとして練習に参加しており、強豪にもまれている選手の成長が頼もしそう。

 昨年の全日本大学選手権74kg級を制した吉田アリヤ(2年)も、U20世界選手権出場を決めるなど世界への飛躍をスタートさせる充実ぶり。倉本亮弥(57kg級)と碓井晴登(70kg級)の高校時代は目立った実績のなかった4年生が、昨年の大会では実績のある選手を破るまでに成長し、今年も貴重な戦力となりそう。

▲チームをけん引する碓井晴登主将

 61kg級での起用が予想される永井陸斗(前述)が軽量級戦線を活気づかせているのも心強い。同大学の軽量級の学生選手で明治杯を制したのは、2012年の池田智(60kg級)以来。その永井も、昨年の国民スポーツ大会優勝の田島翼(京都・京都八幡高卒)の加入で安閑としていられない状況。齊藤監督は「選手には我慢強さが身についています」と、例年にない戦力の充実を感じている。

 碓井主将は、高校時代は全国大会5位が最高ながら、昨年のリーグ戦では全国王者経験者の上級生を破るまでに成長。下級生のいい見本としてリーダーに適任の存在。「一番いい形で恩返ししたい」と、最後のリーグ戦に燃える気持ちを話す。「昨年(の2強との対戦)は接戦もあり、スコアほど差はなかった」とも言い、チームの勝利を目指す。

 練習は「各選手の自主性に任せている部分もある」と言う。どの選手も自分で練習し、考え、対戦が予想される選手の闘いを研究。練習の強弱も自分で決められる選手ばかりとのこと。不安からくるオーバーワークや、張り切りすぎによる負傷の心配は「ないです」ときっぱり。万全のコンディションで臨む腹積もりだ。

▲最後のリーグ戦に燃える4年生選手

世界一のレスリング一家で生活する齊藤将士監督

 齊藤監督は、秋田・秋田経法大附高時代にインターハイ王者となり、日大時代は学生王者となり全日本選抜選手権2位。警視庁時代の2007年にはアジア王者に輝いた。わずかの差で2008年北京と2012年ロンドンのオリンピックには手が届かなかったが、指導に回り、その後の3度のオリンピックに女子チームのコーチとしてスタッフ入りした。

 個人の経歴以上に注目されるのが“世界一のレスリング一家”ということ。父・齊藤勝彦さんは1969年世界ジュニア選手権で優勝し、1974年世界選手権6位。引退後は地元の秋田・潟上市で「勲武館道場」を運営しキッズ選手の育成に力を入れた。

 兄・齊藤武士は日大時代に副主将を務め、甥の齊藤武生は現在、埼玉・花咲徳栄高レスリング部に在籍し、4月のJOC杯U17で3位に入賞した。

 日大時代に知り合った妻・綾子さん(旧姓菅)は学生チャンピオン。綾子さんの父・菅芳松さんは自衛隊のレスリング選手として1976年モントリオール・オリンピックに出場して4位。コーチを経たあと約20年間、日本協会の事務局長を務めた。母・菅登貴子さんは女性レフェリーの先駆者。兄・菅太一さんは2001年アジア選手権王者で、2004年アテネ・オリンピックの候補選手。

 子供も、長男・巧将は全国中学選抜U15選手権で3連覇を達成し、今夏はインターハイ王者を目指す。福と誉の双子兄弟(中学3年)、長女・福乃(小学校2年)も、いずれ出てくるだろう。家族・親族を見回しても、ここまでの実績を持つレスリング・ファミリーは世界でも例がないのではないか。

▲練習前、参加している恒村友香子(旧姓川井)の長男をあやす齊藤将士監督。練習に明るいムードをもたらす!(加工しています)

「保護者が安心して預けられるチームに育てていきます」

 2023年4月に日大職員に転職。同年はコーチとしてチームに接し、2024年4月に監督に昇格した。警視庁時代の最後は、一般警察官としての仕事をしながらの指導だった。今の職業は日本大学の教員なので授業を持つ立場だが、「1日の大半がレスリングという生活。毎日が充実しています」と言う。

 押しつけることのない指導は全日本チームのコーチ時代と同じでも、「社会で通じる選手を育てる」という部分は、学生相手の方が根強くある。道場やその上にある合宿所には、人間性を高める格言がたくさん貼ってあるそうで、「レスリング選手としてだけではなく、人間としての成長も見守ります。保護者が安心して預けられるチームに育てていきます」と言う。

 「OB会からの支援もたくさん受けています。一人では、とてもできない。いろんな人に感謝です」という気持ちを持って、目指すのは2003年以来のリーグ戦優勝-。

▲リーグ戦へ向けて活気ある練習を展開