2026.06.03NEW

【2026年明治杯全日本選抜選手権・特集】混戦を最後に制した小川大和(日体大)、「打倒樋口」の一番手に名乗りを挙げるか

(文=布施鋼治)

 2028年ロサンゼルス・オリンピックで連覇を狙う樋口黎(ミキハウス)が61㎏級にエントリーしたため、2026年明治杯全日本選抜選手権の男子フリースタイル57kg級は大混戦の様相を呈し、最後は全日本王者の小川大和(日体大)が日本代表権を得た。

▲本戦で不覚を喫しながら、最後は手が上がった全日本王者の小川大和(日体大)=撮影・矢吹建夫

 大会第3日(5月23日)の準々決勝では、昨年の優勝者である坂本輪(CRTC)が、2024年アジア選手権優勝の弓矢健人(イーライフグループ)に6-10で敗れた。今大会では初戦から軽快な動きを見せていた弓矢は、準決勝では今年のU23全日本選手権優勝の勝目大翔(山梨学院大)をも7-3で撃破し決勝に進出した。

 もう一方のブロックでも波乱が起きていた。昨年12月の全日本選手権を制した小川大和(日体大)は準々決勝で同門の髙田勇に僅差ながら敗北。その髙田も続く準決勝で永井陸斗(日大)に2-7で破れてしまった。

 かくして大会最終日(24日)の決勝は、永井-小川の学生選手同士の一騎討ちとなり、第1ピリオドから点を取り合うデットヒートへ。勝負を決したのは永井のスクランブル(もつれ合い)の強さ。2-3と1点ビハインドで迎えた第2ピリオド、弓矢の片足タックルを永井はカウンターで足をすくって崩して4-3と逆転に成功した。

 その直後、弓矢は場外際の攻防を制して4-4とタイスコアに戻すが、勝負は相手リードのまま。ここで勝負のクライマックスが訪れた。永井は再び場外際に追い詰められたところでひねりながらの反り投げを決め、一挙に4点を獲得し、8-4と大きく引き離した。これで完全にリズムに乗った永井は、それからも場外際の攻防などで点数を重ね、13-4で明治杯初優勝を果たした。

▲前アジア王者を破って本戦を制した永井陸斗(赤=日大)だが…=撮影・矢吹建夫

プレーオフは小川大和が0-8からの逆転勝ち

 プレーオフは小川と永井の一騎討ちに。両者は4月25日の2026年JOCジュニアオリンピックカップ(U20)で対戦し、小川が勝利を収めている。しかし明治杯の試合内容を比べると、永井の方に分があると思われた。案の定、第1ピリオド試合開始早々、永井はアンクルホールドで4回転し、8-0といきなり“王手”をかけた。

 永井の勝利は時間の問題かと思われたが、ここから小川はローリングや片足タックルで怒濤の反撃を開始。6-8と2点差まで詰め寄る。第2ピリオド、追い上げムードの小川は、永井の片足タックルを回りながら防ぎ、逆に相手の片足をコントロールして8-8。スコアはイーブンながらビッグポイントの差で逆転! その後、ステップアウトで1点を加算して勝負を決定づけた。

 アジア大会と世界選手権の切符を手に入れた小川は「プレーオフでしっかり勝つことができてよかった」と安堵の表情。「本当はプレーオフに行かず、本戦(明治杯)でしっかり優勝して決めたいところだったのですが、それができなかった。一度落ちたメンタルからここまでこれたことは自分としてもいい経験になりました」

▲気持ちを切り替えてプレーオフに臨んだ小川大和。前半の劣勢をはね返して日本代表権を引き寄せた=撮影・矢吹建夫

 対照的に8点差を引っくり返された永井は肩を落とした。「最初にあと2点で終わるところまで持っていったけど、焦って試合を急いでしまったのがダメなところでしたね」

 樋口がいない混戦の中で、小川が頭ひとつ抜け出たことは確か。アジア大会や世界選手権に出場することで自信をつけ、国内での「打倒樋口」の一番手に名乗りを挙げるのか。