(2026年5月21~24日、東京・駒沢体育館/
取材=布施鋼治、植村晧大、安藤香穂、吉田さとみ、樋口郁夫)
■77kg級優勝・日下尚(マルハン北日本カンパニー=かつての練習相手の堀北一咲望を破って優勝)「うれしくない方の『何も言えない』という感じです。得点も取れてはいるけれど、思ったより取れていない。もっと圧勝したかったので。毎回、ここ(インタビュースペース)で『しょっぱい試合をしてしまった』と言っているのですが、勝ってもうれしいと思うことは、オリンピック以降、あまりないです。オリンピック・ジャンキー(「麻薬中毒者」が転じて、それなしではいられないこと)ではないですが、あの夢をつかんだ気持ちが忘れられないから、こういった気持ちになっているのかもしれないです。
アジア大会は、パリが終わってから大きなモチベーションでした。その気持ちをつかみ取るため、いろいろ模索しながら、自分に厳しく、人にも厳しくやっていきたい。世界選手権には出ません。自分も弱い人間なんです。全部が全部モチベーションを保てるわけではない。一つにしっかり絞って、アジア大会での優勝を目指して頑張りたいと思います。(同郷の後輩の)吉田泰造とともに金メダルを取ります」
■82kg級優勝・藤井達哉 (栗東市役所=プレーオフにもつれずに世界選手権代表へ)「ホッとしています。これから世界で闘っていけるように準備を進めていきたいと思います。(決勝での変形のリフト技は)俵返しを狙っていたんですけど、持ち上がった後の相手の反応を見て、うまく合わせることができました。ただ、たまたま相手が仰向けになったことで4点、4点とポイントを取ることができた面もあります。ポイントが取れないことも考えられるので、しっかりとした形でポイントを取り切れるように、これからやっていきたいと思います。
(4月に)市役所勤務になってから、なかなか練習を積めなかった。でも、市民の皆さんと触れ合ったり、関係を持ったりすることが多くなり、去年の天皇杯や今年のアジア選手権の結果を、市民の皆さんに広く知っていただけるようになりました。それをモチベーションとして高めながら、今大会に臨むことができたのかな、と思います。市役所職員として、本業はやはり仕事にはなりますので、仕事をしっかりとやった上で、これからも勝っていくことができるよう、頑張っていきたいと思います」
■87kg級優勝:吉田泰造(日体大=世界選手権代表の阪部創に勝ち、プレーオフなしで日本代表へ)「勝っても負けても、6分間前に出て攻め続けることを目標にしていました。自分のレスリングを貫けなければ勝っても仕方ない、という強い気持ちで6分間闘っていました。試合では、相手を過大評価することが一番の敵だと思うので、勝てるんだ、と言い聞かせ、それを意識しながら頑張りました。負けてもプレーオフがあることを、マイナスにとらえるのではなくてプラスに考えました。プレーオフがあったので、側転など自分の得意技を出して自分の展開に持っていけた。プレーオフがあるというのを意識してよかったと思います。
(階級を上げ)阪部さんには勝たなければならないと思っていました。完全な勝利ではないのですが、自信にはなりました。87kg級は自分の階級だと思って、国内でもプライドを持って闘っていきたいと思います。正直、まだアジア大会や世界選手権で勝てる実力はないと思うので、ロサンゼルス・オリンピックに照準を合わせて(長い目で)強化していきたいと思います」
■97kg級優勝&プレーオフ勝利・仲里優力(松尾建設=全日本王者の鶴田峻大に連勝)「12月に負けて悔しかったので、今回勝ってうれしかったです。正直、自分のやりたいレスリングはできていないです。 日体大では海外で勝つ練習をしていて、本当は差して徹底的に前に出るレスリングをしたいのですが、国内で勝つようなレスリングをしてしまった。海外で闘えるようなレスリングにシフトチェンジして、アジア大会を目指したい。
4月のアジア選手権でカザフスタンの若手選手に1分ぐらいで試合を終わらされてしまった。技術うんぬんじゃないと思い、パーソナルトレーナーをつけて体力トレーニングに一生懸命打ち込んでいます。日体大という環境で苦しい練習を毎日やらせてもらっている。そこをしっかり感謝しながら、応援してくれる人に対して海外で活躍する姿を見せられたらいいなと思います。小さい頃から沖縄で育っていますけど、母が愛知県出身で、祖父母が愛知県に住んでいます。いとこを含めてアジア大会に来てくれると思います。試合を見せられるのはよかったです」
■130kg級優勝・奥村総太(自衛隊=プレーオフで奈良勇太に敗れ、日本代表を逃す)「プレーオフを勝ち切れなかったのは自分の弱さだと思う。自分の押しに対して相手の組み手がうまく、自分の組み手がついていけなかった。(プレーオフでは、本戦に負けた相手の意地は感じましたか?)決勝と同じ闘いをやってくるとは思わなかった。やられた、という気持ちです。でも、決勝で勝てたことはひとつの収穫。天皇杯に向けて切り替え、次は勝てるように頑張りたい」
■130kg級プレーオフ勝利・奈良勇太(警視庁=決勝で破れながら、プレーオフで勝利)「アジア大会と世界選手権代表を決める大会でしたが、正直、自分の中ではすでに代表になったつもりでいた部分がありました。決勝を振り返ると、勝ちに貪欲ではなかったというか、本当に勝ちに行けていなかった、なめていた部分があったのかな、と感じています。プレーオフではしっかり気持ちを切り替えることができました。同期の文田健一郎も勝っていた中で、自分だけが負けてしまい、こんなところで置いていかれるわけにはいかないという思いが強くなりました。
アジア大会は8年前にも97kg級で経験していますが、そのときは全く勝てませんでした。経験を積んできました。今は自分の中でベストな状態で大会に臨める自信があります。だからこそ、本当にメダルを狙いたいです。優勝争いに絡んでいければ、その先のロサンゼルスオリンピックが必ず見えてくると思っています。まずは9月末の試合(アジア大会)に向け、残り4ヶ月、もっと強い気持ちを持ってやっていきたいです」