2024.07.22

2024年パリ・オリンピック/男子フリースタイル86kg級展望(8月8・9日実施)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

  【日本代表】
石黒隼士(自衛隊)

《略歴》 
《JWFデータベース》

《UWWデータベース》
《国際大会成績》
2023年世界
エントリー選手
(不出場)

ハッサン・ヤズダニチャラティ(イラン)が2大会ぶりの優勝を目指す

 2021年東京大会優勝で2年連続世界王者のデービッド・テーラー(米国)は国内予選落ち。2年連続で決勝で敗れたハッサン・ヤズダニチャラティ(イラン)が、2021年東京大会決勝の終了間際で逆転負けした屈辱を晴らし、2016年リオデジャネイロ大会74kg級以来のオリンピック優勝を目指す。昨年のアジア大会(優勝)のあと、肩の手術で戦列を離れたが、この春復帰し、6月のランキング大会では優勝。ブランクを感じさせない強さを見せた。テーラーがいない状況では、優勝候補の筆頭と考えていい。

▲ライバル不在となったが、東京オリンピックの屈辱を晴らせるか、ハッサン・ヤズダニチャラティ(イラン)=2023年世界選手権

 第1シードは、世界選手権3位で今年のアジア選手権を制したアザマト・ダウレトベコフ(カザフスタン)だが、ランキング大会ではヤズダニチャラティにテクニカルスペリオリティで敗れており、実力差は感じられる。同じ世界選手権3位のマイルズ・アミン(サンマリノ)は、欧州選手権で2年連続2位と安定した実力をキープ。東京大会の銅メダルに続くメダル戦線に浮上するか。

 欧州選手権決勝でアミンを2年連続で破ったダウレン・クルグリエフ(ギリシャ)は、2022年までロシア国籍で闘っていた選手で、コンスタントに上位に顔を出してきた。昨年の世界選手権はなぜか出場していないので、ギリシャに国籍を変えて初の世界大会がパリ・オリンピック。ダークホース的な存在であろう。

 第5シードで世界最終予選を通過してきたマゴメド・ラマザノフ(ブルガリア)も2021年までロシア国籍で闘っていた選手で、欧州選手権2位や世界軍隊選手権優勝の実績を持つ選手。やはり国籍を変えてからは初の世界大会。1月の「ザグレブ・オープン」(クロアチア)ではダウレトベコフ(前述=カザフスタン)を破っており、優勝戦線に加わる可能性は十分。

▲米国生まれで米国育ちのマイルズ・アミン(サンマリノ)。ロシアの名コーチ(セルゲイ・ベログラゾフ)の指導のもと実力をつけている=UWWサイトより

世界王者を退けたNCAA4度優勝のアーロン・ブルックス(米国)が実力見せるか

 第8シードにランクされた石黒隼士(自衛隊)は、6月のランキング大会で第1シードのダウレトベコフ(前述=カザフスタン)を破る殊勲。その前に闘ったハッサン・ヤズダニチャラティ(前述=イラン)との一戦も前半は互角の試合展開。上位に食い込む力をつけている。

 2年連続世界王者を国内で破って出てくるアーロン・ブルックス(米国)は、今年3月の全米大学(NCAA)選手権で4年連続優勝を達成した選手。昨年10月にはU23世界選手権で優勝し、国際舞台でも実力を発揮している。初のシニアの国際舞台で世界王者を退けた実力を発揮できるか。石黒が2018年世界ジュニア選手権で優勝したときの決勝の相手でもある。

▲世界王者を退けてパリのマットに立つアーロン・ブルックス(米国)=UWWサイトより

 第4シードの東京大会5位のジャブライル・シャピエフ(ウズベキスタン)、2021年にU23世界選手権92kg級で優勝しているオスマン・ヌルマゴメドフ(アゼルバイジャン)らが、どこまで上位選手を崩せるか。


石黒隼士とエントリー選手の対戦成績

Yazdani Charati, Hassan(イラン)
2024年 I・ポリヤク&J・バルガ大会 VSU、4:46=2-12 Yazdani Charati, Hassan
2023年 ザグレブ・オープン VSU、2:34=2-13 Yazdani Charati, Hassan
2021年 アジア選手権 VSU、3;58=0-10 Yazdani Charati, Hassan
Dauletbekov, Azamat(カザフスタン)
2024年 I・ポリヤク&J・バルガ大会 5-1 Dauletbekov, Azamat
Shapiev, Javrail(ウズベキスタン)
2023年 世界選手権 VSU、5:35=5-15 Shapiev, Javrail
2017年 アジア・ジュニア選手権 5-7 Shapiev, Javrail
Amine, Myles Nazem(サンマリノ)
2023年 ザグレブ・オープン フォール、2:04=2-0 Amine, Myles Nazem
Byambasuren, Bat-Erdene(モンゴル)
2023年 アジア選手権 VSU、1:15=12-2 Byambasuren, Bat-Erdene
Brooks, Aaron Marquel(米国)
2018年 世界ジュニア選手権 11-10 Brooks, Aaron Marquel
Ramos, Ethan Adrian(プエルトリコ)
2024年 I・ポリヤク&J・バルガ大会 不戦勝 Ramos, Ethan Adrian