「99パーセントの努力で獲った金メダル 努力した天才レスラー」
文=樋口郁夫(日本レスリング協会広報委員)
レスリングのキャリア3年半でアジア大会王者に輝き、「天才」と言われた小林孝至。1988年ソウル・オリンピックでも王者に輝くが、それは、壮絶な努力の結晶だった。
(本文より)
ソウル・オリンピック金メダリストの小林孝至さんから「腕時計の長針の動き、見えたことがありますか?」と、聞かれたことがあった。時計を見ると、「チッ、チッ、、、」と時を刻んでいる。
「見えるに決まっているじゃないか」と答えると、「秒針じゃないですよ。分針ですよ」。あらためて見てみたが、見えるものじゃない。「ボク、現役時代には5 秒ごとに動いているか、10 秒ごとか、正確に言い当てられましたよ」と説明され、オリンピックで金メダルを取る人間の動体視力のすごさにびっくりした。
動体視力のすごさと言えば、大リーグのイチローが有名。ある研究所がプロ野球選手の動体視力を調べたことがあった。ランダムに並んでいる8 ケタの数字を0.1秒間だけ見せ、数字を左から順に答えるもので、平均して約4ケタの正解率だったのが、イチローは平均7ケタを言い当てたという。