※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
佐藤選手(左)と交換留学に参加の山口照彩君(福島・泉崎中)
現地に同行した引率の青島氏は「被災された子に何とか前を向いてもらおうと活動しています。海外へ連れて行き、文化交流をさせて日本にないものに接することで、何か新しいものにチャレンジしてくれれば」と説明する。昨年はニュージーランドに50人を連れていき、今年は英国のとニュージーランド、このあと米国へと派遣が予定されている。英国組は24日まで滞在し、英国の文化にふれる。
佐藤選手の父・学さん(44歳)は津波で流され、今も行方不明。あと3ヶ月で死亡が確定する状況だという。自宅は跡形もなくなり、避難所生活を経て現在は市営住宅に住んでいる。「最初のうちは悲しんでいました。少したって、そんなことを考えてばかりいては前に進めないな、と思うようになりました」-。
レスリングをやめようと思ったそうだが、周囲のみんなが支えてくれてとどまった。「今、ここに来ることができ、続けさせてくれた人に感謝の気持ちでいっぱいです」と言う。帰国したら、大人の顔になり、中身も大人になった自分を「母に見せたい」と話した。
初めて見たオリンピックは「トップアスリートが闘う最高峰の闘いですね。間近で見て感激です。技をベースに力や勝負強さなど、すべてにおいて上回っている選手が勝っていますね」と言う。この日は日の丸が揚がらず残念だったが「頑張ってくれました。湯元選手の上を行く選手を目指して頑張りたいと思います」ときっぱり。
オリンピックは「世界の最高峰の闘いということを実感しました。技をベースに、力や精神力など、すべてに上回っている選手が勝っていますね」と感じたという。この日は3日前に金メダルを取った小原日登美(自衛隊)とも対面し、感激の面持ち。
今回の経験をもとに、より力強く生きていくことで、天国の父(まだ確定はしていないが)も喜んでくれるはずだ、