※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
東京オリンピックへ向けた闘いが再開される。同オリンピックの大陸予選は、昨年3月にパンアメリカン予選が行われたところで、新型コロナウィルスのパンデミックのため中断された。約1年を経て、今月18~21日にハンガリー・ブダペストで欧州予選が開催され、2019年世界選手権(カザフスタン)で出場枠を取り損ねた選手による“東京へのキップ”を目指した闘いが繰り広げられる。
最初に行われるのは男子フリースタイル(18~19日)。上位2選手にオリンピック出場権が与えられる。各階級の見どころをさぐった。
世界王者のロシア選手(ザウール・ウグエフ)を別にして、アジアが圧倒的に強い階級。欧州で出場枠を取るべき強豪選手は獲得済み。だれが勝ち上がってくるか予想しづらい階級。
2019年欧州大会優勝のマヒール・アミラスラノフ(アゼルバイジャン)が残っていて出場が予想されたが、同国からエントリーされたのは今年1月の「アンリ・デグラナ国際大会」5位のギオルギ・エディシェラシビリ。2020年個人戦ワールドカップ2位のアルセン・ハルチュニャン(アルメニア)も勝ち上がる候補と言えよう。
Amiraslanov, Makhir / Edisherashvili, Giorgi / Harutyunyan, Arsen
【2019年世界選手権・出場資格獲得選手】
Uguev, Zaur(ロシア)
Atli, Suleyman(トルコ)
Sanayev, Nurislam(カザフスタン)
Kumar, Ravi(インド)
Micic, Stevan Andria(セルビア)
Atrinagharchi, Reza Ahmadali(イラン)
61kg級で3度世界王者になったハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)が残っている。65kg級でも2度の欧州選手権と欧州大会を制しており、欧州予選を勝ち抜く最右翼。2016年リオデジャネイロ・オリンピック57kg級優勝で昨年の欧州大会2位のウラジーミル・キンチェガシビリ(ジョージア)が続く状況。
注目は2020年個人戦ワールドカップ70kg級で優勝したマゴメドムラド・ガジエフ(ポーランド=元ロシア)。65kg級で2016年リオデジャネイロ・オリンピックに出場し、2017年世界選手権2位の強豪。体重調整が課題だろうが、出場枠獲得にからむ可能性のある選手。
Aliev, Haji / Khinchegashvili, Vladimir / Gadzhiev, Magomedmurad
【2019年世界選手権・出場資格獲得選手】
Rashidov, Gadshimurad(ロシア)
Niyazbekov, Daulet(カザフスタン)
Punia, Bajrang(インド)
Muszukajev, Iszmail(ハンガリー)
Tumur-Ochir, Tulga(モンゴル)
乙黒拓斗(日本)
2018年U23世界選手権優勝&世界選手権2位のアブタンディル・ケンチャーゼ(ジョージア)、2019年欧州大会2位のソエナー・デミルタス(トルコ)、2019年世界選手権7位のカジムラド・ガジエフ(アゼルバイジャン)らが勝ち上がる候補選手。
米国学生界で活躍してオールアメリカにも選ばれ、国籍をイスラエルに変えたミッチェル・ファインシルバーは、今年1月の「アンリ・デグラナ国際大会」(フランス)で3位に入賞した。この勢いを持ち込めるか。
Kentchadze, Avtandil / Demirtas, Soener / Gadzhiev, Khadzimurad / Finesilver, Mitchell Louis
【2019年世界選手権・出場資格獲得選手】
Sidakov, Zaurbek(ロシア)
Chamizo Marquez, Frank(イタリア)
Burroughs, Jordan Ernest(米国)
Kaisanov, Daniar(カザフスタン)
奥井眞生 ⇒ 乙黒圭祐(日本)
Rybicki, Kamil(ポーランド)
2019年世界選手権では、ロシアのほか、ノーマークと言えたスイスとサンマリノの選手が出場枠を獲得した。ずば抜けた選手がいないがゆえの現象。残っている選手は横一線の状況だ。
2019年欧州大会2位のアリ・シャバノフ(ベラルーシ)、同2位のアフメド・デュダロフ(ドイツ)、2018年世界選手権3位のタイムラズ・フリエフ・ナスキデアバ(スペイン=2010年までロシア)、2020年個人戦ワールドカップ2位のズビグニュー・バラノウスキ(ポーランド)らの中から、だれが抜け出すか。
Shabanov, Ali / Dudarov, Ahmed Ruslanovich / Friev Naskideava, Taimuraz /Baranowski, Zbigniew Mateusz
【2019年世界選手権・出場資格獲得選手】
Yazdani Charati, Hassan(イラン)
Punia, Deepak(インド)
Reichmuth, Stefan(スイス)
Naifonov, Artur(ロシア)
Amine, Myles Nazem(サンマリノ)
Izquierdo Mendez, Carlos Arturo(コロンビア)
2019年世界選手権で欧州から4ヶ国が出場枠を獲得。残った中では、2018年世界選手権3位のアブラハム・デヘスス・コンイェド・ルアノ(イタリア=元キューバ)、2020年個人戦ワールドカップ2位のアレクサンドル・フシティン(ベラルーシ)、同3位の2016年リオデジャネイロ・オリンピック3位のスレイマン・カラデニズ(トルコ)らが勝ち上がる候補。
2016年リオデジャネイロ・オリンピック3位のアルバート・サリトフ(ルーマニア=元ロシア)が、今年7月で36歳になるが、2020年欧州選手権で2位、今年2月の「ウクライナ国際大会」3位と実力をキープ。予選を勝ち抜く候補に浮上したと言える。
Conyedo Ruano, Abraham de Jesus / Hushtyn, Aleksandr / Karadeniz, Suleyman /Saritov, Albert
【2019年世界選手権・出場資格獲得選手】
Sadulaev, Abdulrashid(ロシア)
Sharifov, Sharif(アゼルバイジャン)
Snyder, Kyle Frederick(米国)
Nurov, Magomedgadzhi Omardibirovich(北マケドニア)
Odikadze, Elizbar(ジョージア)
Yergali, Alisher(カザフスタン)
欧州からは、ロシアとアゼルバイジャンが出場枠を未取得。ロシアからは個人戦ワールドカップ優勝のシャミル・シャリポフがエントリー。今月10~14日のロシア選手権の出場を免除されており、出場権獲得が“義務”であろう。ロシアの男子フリースタイルで出場枠を手にしていないのはこの階級だけ。
アゼルバイジャンは世界選手権7位のジャマラディン・マゴメドフ(元ロシア)が出場枠を手にできるか。
他に、2020年個人戦ワールドカップ2位のロベルト・バラン(ポーランド)が勝ち上がれるか。
Sharipov, Shamil / Magomedov, Jamaladdin / Baran, Robert
【2019年世界選手権・出場資格獲得選手】
Petriashvili, Geno(ジョージア)
Akgul, Taha(トルコ)
Khotsianivski, Aleksander(ウクライナ)
Deng, Zhiwei(中国)
Shala, Egzon(コソボ)
Mohebbi, Yadollah Mohammadkazem(イラン)