※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2019年文部科学大臣杯全日本大学グレコローマン選手権は、10月17日(木)~18日(金)に東京・駒沢体育館で行われる。昨年は日体大が3年連続18度目の優勝を遂げ、グレコローマンの“一強時代”の道を確実に歩み始めた。
同大学は今年、5月の東日本学生リーグ戦で優勝しており、年間の団体戦3大会制覇を目指すためにも、この大会で圧勝し、来月の全日本大学選手権(鹿児島)に臨みたいところ。大学対抗得点と各階級の見どころをさぐった。《大会要項》
※エントリーに基づく展望であり、負傷による戦力ダウンは勘案していません。
4年連続優勝を目指す日体大は、2017年は7階級を制し、総合得点84点という圧倒的な強さを見せたが、昨年は軽量3階級の優勝にとどまった。しかも得点0点(9位以下)もあり、総合得点は60.5点での優勝だった。
今年は、55・63・77kg級の3階級はかなりの確率で優勝を見込め、他の階級も優勝を逃すことはあってもメダル圏内にはいるので、60点ということはあるまい。一方で、実力者がいても、組み合わせによっては0点の階級が出てくるのが、この大会の特徴。他大学の踏ん張りで得点が50点にまで下がれば、“一強”が崩れる可能性が出てくる。
昨年2位の専大は60・72・130kg級を、同3位の拓大は55・60・63・130kg級を取りたいところ。神奈川大、早大、山梨学院大、国士舘大、青山学院大、中大、中京学院大、徳山大にも優勝を狙える実力者はいるので、展開次第では日体大以外の大学にもチャンスは出てくる。
(得点は、優勝=12点、2位=9点、3位=6点、5位=3.5点、7位=2点、8位=1点。各大学は、10階級中、オリンピック実施6階級と非実施2階級の8階級まで出場できる)
関大 / 近大 / 九州共立大 / 国士舘大 / 山梨学院大 / 神奈川大 / 青山学院大 / 専大 /
早大 / 大体大 / 大東大 / 拓大 / 中大/ 中京学院大 / 帝塚山大 / 東海大 / 東農大 /
東洋大 / 同志社大 / 徳山大 / 日体大 / 日大 / 日本文理大 /福岡大 / 法大 /
明大 / 立大
【55kg級】
日体大が全日本学生選手権優勝の松井謙と世界選手権3位の小川翔太の2選手をエントリー。どちらが出場しても優勝候補の最右翼。アジア選手権2位の片桐大夢(拓大)がどう闘うか。世界選手権代表決定プレーオフでは小川に、全日本学生選手権決勝は松井に敗れているだけに、どちらが出てきてもリベンジ戦となる。
全日本学生選手権3位の山口秀斗(神奈川大)、昨年3位の宮原潤(国士舘大)らが優勝争いに加われるか。
【60kg級】
茨城国体決勝を争った藤波諒太郎(専大)と矢部和希(日体大)が優勝を争うか。藤波が昨年の全日本学生選手権、今年の全日本選抜選手権、国体と3連勝中で、相性からすれば藤波に分がある。日体大は全日本学生選手権優勝の鈴木絢大が出場する可能性もあり、どちらが出てきても優勝を狙える。
全日本学生選手権3位の清水賢亮(拓大)、西日本学生選手権2連覇の神田優人(中京学院大)、昨年3位の阿部敏弥(国士舘大)が優勝戦線に浮上できるか。
【63kg級】
全日本学生選手権では日体大選手が上位4人を独占した階級。優勝の山田義起と3位の徳比嘉一仁がエントリーしているが、どちらが出てきても優勝候補。
全日本選抜選手権3位の石川将樹(拓大)、昨年3位の吉永信太郎(専大)が日体大選手を止めることができるか。フリースタイルの選手だが、全日本学生選手権61kg級2位の吉村拓海(早大)がこのスタイルでも上位に食い込めるか。
【67kg級】
全日本学生選手権優勝でこの大会は2年連続優勝を目指す宇井大和(早大)と、全日本学生選手権2位の堀江耐志(徳山大)が、再度決勝で顔を合わせるか。
同3位で国体2位の藤島雄大(拓大)、JOC杯優勝の田口学容(中京学院大)、日体大からエントリーしている全日本学生選手権3位の堤滋樹かアジア・ジュニア選手権63kg級3位の小柴亮太らも優勝争いに加わる実力はあるはず。
【72kg級】
全日本学生選手権決勝を争った北條良真(神奈川大)と前田明都(専大)が、再び優勝を争うか。昨年のこの大会の準決勝は前田が勝ち、今年の全日本学生選手権では北條が勝っている。今回闘うことがあれば、どちらに軍配が上がるか。
2年生にして2年連続全日本学生選手権フリースタイル65kg級優勝の安楽龍馬(早大)がエントリーしてきた。山梨・韮崎工高時代には全国高校グレコローマン選手権2連覇の実績がある。久しぶりのグレコローマンで実力を見せられるか。
昨年の西日本学生選手権優勝の河部直樹(中京学院大)、JOC杯優勝の菅原魁一(日本文理大)が西日本大学の意地を見せられるか。
【77kg級】
全日本学生選手権優勝の下山田周と同2位の林雷が日体大の代表を争う。どちらが出てきても優勝候補の筆頭と言えよう。
全日本学生選手権72kg級3位の大賀遙(神奈川大)、昨年72kg級3位の赤荻蘭丸(日大)、フリースタイルで昨年の74kg級学生王者の尾形颯(中大)らが日体大の牙城を崩せるか。
【82kg級】
全日本学生選手権優勝の選手(藤井達哉=青山学院大)は87kg級へエントリー。同大学からは、同77kg級3位の谷口空良がこの階級に出場する。青山学院大の牙城を守れるか。昨年2位の八木海里(中大)と昨年3位の山田修太郎(山梨学院大)が、今年こそ栄冠を目指す。
全日本学生選手権3位の今村太陽(福岡大)、同77kg級3位の山﨑翔馬(九州共立大)の西日本勢、東日本学生選手権・新人戦優勝の奥井真吉(国士舘大)らにも期待がかかる。
【87kg級】
2年生にして2年連続学生王者の奈須川良太(神奈川大)が昨年2位の雪辱を果たせるか。今年はアジア・ジュニア選手権と世界ジュニア選手権に出場。国際舞台での経験を役立てたい。
昨年、奈須川を破って優勝したのは山﨑弥十朗(早大)。それ以降はフリースタイルに専念し、全日本学生選手権86kg級で優勝した。1年ぶりのグレコローマンで再度地力を発揮できるか。80・82kg級で全日本学生選手権3連覇の藤井達哉(青山学院大)がエントリーしており、この階級でどこまでできるか注目される。
昨年3位の松崎勇人(日体大)と松雪泰成(専大)、フリースタイルの選手だが千葉・日体大柏高時代に全国高校生グレコローマン選手権優勝の経験がある井筒勇人(拓大)らが優勝争いに残れるか。
【97kg級】
JOC杯と全日本学生選手権を制した仲里優力(日体大)が、今季3個目のタイトルに挑む。フリースタイルの選手だが昨年優勝のバグダウレット・アルメンタイ(山梨学院大)との優勝争いはどうか。
昨年、仲里を破った二ノ宮寛斗(明大)、全日本学生選手権3位の三浦庶宏(神奈川大)と井上諒汰(中大)、全日本選抜選手権3位の松本直毅(早大)、フリースタイルで全日本学生選手権2位の石黒峻士(日大)がどこまで上位へ食い込むか。
【130kg級】
全日本学生選手権優勝の番地啓太(国士舘大)と同2位の鈴木翔真(拓大)が、再度優勝争いを展開するか。同3位の森右秀(中京学院大)と庄司樹(専大)もエントリーしており、今度はだれが勝ち抜くか。
97kg級で全日本学生選手権2位の出口滋文(日体大)がこの階級にエントリーしている。本来より上の階級だが、上位に進出してチームの団体優勝に貢献できるか。