2019.06.16

現役世界チャンピオン同士が激突へ…国内では4年半ぶり

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

奥野春菜(左)と向田真優

 6月16日に行われる明治杯全日本選抜選手権の女子53kg級決勝で、昨年の世界選手権(ハンガリー)の女子55kg級で優勝して階級を落とした向田真優(至学館大)と、同級の世界チャンピオンの奥野春菜(至学館大)が決勝で対戦することになり、現役世界チャンピオン同士が激突することになった。

 現役世界チャンピオン同士が対戦するのは、国内では2014年全日本選手権53kg級で実現した吉田沙保里(53kg級世界チャンピオン)と浜田千穂(55kg級世界チャンピオン)の一戦以来で、男子1例、女子9例がある。所属が同じというケースは初めて。両選手とも三重県生まれと、出身も同じだ。

 現役世界チャンピオン同士の対戦では、階級を動かさなかった選手が8勝2敗と勝ち越している。

 国内で現役世界チャンピオン同士が闘うというのは、最低でも2人の世界チャンピオンがいて、しかも近くの階級の選手でなければありえない。どの国でも実現するものではない。世界チャンピオンを量産してきた日本女子ならではのことだが、かつて軽量級で世界に名だたる王国を築いた男子でもあった。

 日本協会の福田富昭会長が日大4年生だった1965年、英国で行われた世界選手権の57kg級で優勝。この時、1階級下の52kg級で優勝したのが吉田嘉久選手(法大)。約3ヶ月後の全日本学生選手権で吉田選手が57kg級に出場。1階級上の選手相手でも世界王者の実力を発揮して勝ち上がり、福田会長と準決勝で対戦した。

 結果は福田会長が上の階級の世界王者の意地を見せて勝ち、決勝で世界選手権の代表を最後まで争った田中忠道選手(法大=のちの世界王者、故人)を破って3連覇を達成している。

 過去、現役世界チャンピオン同士が闘った試合は下記の通り。


日本で実現した現役世界チャンピオン同士の対戦

2014年 全日本選手権53kg級 吉田沙保里 フォール
0:53=2-0
浜田千穂
(53kg級世界優勝) (55kg級世界優勝)
2007年 クイーンズカップ゚63kg級 伊調 馨 2-0
(1-0,3-0)
正田絢子
(63kg級世界優勝) (59kg級世界優勝)
2006年 全日本選手権63kg級 伊調 馨 2-0
(1-0,2-1)
正田絢子
(63kg級世界優勝) (59kg級世界優勝)
2006年 全日本選手権55kg級 吉田沙保里 2-0
(2-0,4-0)
坂本日登美
(55kg級世界優勝) (51kg級世界優勝)
2004年 クイーンズカップ゚55kg級 吉田沙保里 6-1 山本聖子
(55kg級世界優勝) (59kg級世界優勝)
2003年 全日本選手権55kg級 吉田沙保里 4-0
(6:58)
山本聖子
(55kg級世界優勝) (59kg級世界優勝)
1995年 全日本女子選手権47kg級 山本美憂 5-3
(4:34)
足立美穂
(51kg級世界優勝) (47kg級世界優勝)
1994年 女子東西対抗戦47kg級 足立美穂 5-4
(4:14)
吉村祥子
(47kg級世界優勝) (44kg級世界優勝)
1991年 全日本女子選手権70kg級 浦野弥生 フォール
(1:04)
岩間利香
(75kg級世界優勝) (70kg級世界優勝)
1965年 全日本学生選手権57kg級 福田富昭 判  定 吉田嘉久
(57kg級世界優勝) (52kg級世界優勝)

※2006年の全日本選手権は2007年1月に実施