※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
アジア選手権(4月23~28日、中国・西安)の代表選手を含む男子フリースタイルの全日本チームが4月14日、東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタート。代表選手は調整合宿に入った。
3月16~17日にロシアでワールドカップがあり、全日本チームとしての合宿はその直前以来。井上謙二・男子フリースタイル協会委員長(自衛隊)はこの日の練習を見て「ワールドカップで負傷した選手も、この合宿には間に合って、いい動きをしていた」と、各選手が所属でしっかりした調整と練習をしていたことを感じ取った。
今回の合宿で「疲労をとりつつ、体重調整を含めていい状態に仕上げていきたい」と話した。この日の西安は最高気温が22度とのことだが、今週は33度まで上がる日もある一方、夜の最低気温は10度を切る日もあり、寒暖の差が激しいという情報がある。「現地に行っても十分に注意したい」と言う。
具体的なメダル数の目標は設定せず、「全階級でメダルを狙っていきたい」。しかし、昨年はアジア選手権(キルギス)、アジア大会(インドネシア)とも金メダルがなかっただけに、「金メダルはほしい。レベルの高い中で金メダルを取れれば自信になる」と話した。
この日までルーマニアで欧州選手権が行われており、ワールドカップで対戦した選手が出場して好成績を挙げているケースもあった。「刺激されているでしょうね。アジアもレベルが高いので、ここで勝って、やれるところを見せてほしい」と、外国のライバルを意識した闘いを求めた。
男子グレコローマンは欧州単独遠征中の選手と階級変更の選手を除いて全日本王者が出場するのに対し、フリースタイルは負傷のため2選手が当初の選手と交代することになった。しかし「代わりの選手は、その階級の日本代表という意識を持ち、ベストを尽くしてほしい」と期待した。
2年前のアジア選手権(インド)で優勝し、勢いをつけて3ヶ月後に世界王者に駆け上った57kg級の高橋侑希(ALSOK)は、ワールドカップ最終戦を負傷で棄権したが、それも完治したようで精力的に練習をこなした。「優勝を狙って頑張ります。体重の心配もないし、けがもない」と順調な調整をアピールした。
昨年のアジア大会は、アジア選手権優勝のカン・カムソン(北朝鮮)に敗れ、優勝を逃している。当然、王者返り咲きが目標と思われるが、「返り咲きというより、世界選手権へ向けてしっかり勝ち切りたい、という思いです。リミット計量での(出場した)大会が少ないので、しっかり経験してきたい」と言う。
カン・カムソンへのリベンジは「もちろんですが、むしろ、ずっとライバルと思っているモンゴル選手(ベクバヤール・エルデネバト=アジア大会優勝、今月のモンゴル・オープンで5連覇)に勝ちたい。アジアは、特に軽量級に強い選手が多い。ここを勝てば世界につながる、という思いで闘ってきます」と話した。
19日まで合宿を続け、20日に羽田空港から現地へ向かう。
※本合宿は競技力向上事業の助成を受けています。