※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
1年生で両スタイルを制覇し、殊勲賞を受賞した市原巧貴(防衛大学校)
今年は、昨年も勝った森崎克也が両スタイルの57kg級を制したほか、1年生の市原巧貴がフリースタイル70kg級とグレコローマン74kg級を制し、殊勲賞を獲得した。「何とか勝てたか、という感じ。とりあえずうれしいです」と話す市原は、実は右手首を痛めて積極的な動きはできなかったという。
特に、最後に行われたグレコローマンの決勝では、その手首をさらに痛めてしまい、大変だったそうだが、その分、相撲のぶちかましのような前へ出る闘いとなり、「かえってよかった」そうだ。フリースタイルの決勝とグレコローマンの決勝の試合間隔が短かったことが大変だったそうだが、「なんとか回復させることができ、最低限の力は出せた。日頃から強い上級生と練習している成果が出たと思います」と振り返った。
香川・香川中央高校で、昨年のリオデジャネイロ・オリンピックに審判として参加した沖山功監督が育てた選手。3年生の最後の国体で2位になったのが最高だった。「大学へ行って別のスポーツに方向転換は考えられなかった」としてレスリングを続けることへ。父が横浜修悠館高校の出身で、父の足跡をたどってみたいとして昨年春、防衛大学校に進んだ。
最初の大きなイベントだった5月の東日本学生リーグ戦は2勝2敗の成績。東海大との入れ替え戦では、チームの4勝目を挙げ、一部昇格へ貢献した。個人では、大田区大会、豊島区大会などで優勝したものの、学生の大会では上位入賞ならず。今年は、一部リーグでのチームの活躍とともに、東日本学生新人選手権での上位入賞が目標だ。
「学生のレベルは高い。まだ1回戦を勝ち抜ける実力もない。けれど、ずっと負けるのは嫌です。最終的には学生の大会でも勝ちたい。今回の優勝は、そのひとつの糧にはなったと思います」と話し、この優勝を今年のステップにする腹積もりだ。
沖山オリンピック審判員からは、諦めないことと、努力を続ける選手が最後は勝てることを教えられたという。「その精神をもって、あと3年間、頑張りたいと思います」と締めくくった。