※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
今年からスタートしたグレコローマン
慎重論もあった。常日頃からグレコローマンの練習をしている選手ならいいが、そうでない場合、大技がとびかうスタイルだけに危険なシーンも出てくるのではないか、という懸念だ。近藤事務局長補佐は「やってみないことには分からないので、とにかくやってみた。今年はテストケースという意味合いもあった」と言う。
実際にやってみると危ない場面はなく、「面白かったんじゃないですか」と振り返り、来年以降も実施予定という。レスリングには2スタイルがあるという観点からしても、導入は成功といったところ。これによって、フリースタイル、段別フリースタイルとともに3部門に出場できる人もいるわけで、「3部門で優勝したら、当然、最優秀選手の第1候補でしょうね」と言う。
審判に初挑戦の角雅人
角はグレコローマンの試合を裁くことで、「審判目線で見ることができ、ためになりました」と振り返る。同スタイルでは指と指のつかみ合いになることが多いが、これまでは「仕掛けられたので、やり返しただけなのに、なぜ注意されるんだ」と思うことが多々あったという。しかし「審判が注意したくなる組み方、組まれ方というのがあるんですね。選手生活に役立てたい」と新たな発見があったという。
もちろん失敗もあった。慌てていて、ホイッスルを逆に持ってしまい、空気の抜け道をふさいでしまって肝心な時に音が出ず、本田原明審判委員長に「笛をしっかり吹きなさい」と注意されたという。「緊張しまくりでした」-。