※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
1回戦で豪快なタックルを決めた有元伸悟(近大職)
初戦にはついては「タックルもできたし、いい感じで動けた」と及第点。イラン戦は「ガツガツ攻められた。そういう選手が相手だと、自分のレスリングができなくなる。それが今の実力」と振り返った。
最初に4点をリードされたことで、ペースがつかめなかったのは事実。「焦って攻めが単調になったのは確かだけど、焦りのため攻めができなかったわけではない。焦ってなくても、あのレスリングにはついていけなかったと思う」と、素直に実力の違いを認めた。「もっと場数を踏みたいと思います」-。
■65kg級へアップするタイミングを模索中
今回闘ったイラン選手のレベルのレスリングに対して、自分のレスリングができるようになれば、「もう一段階上に行ける」という一方で、「それが分かったことが収穫?」との問いには、「世界選手権の代表は収穫なんて言葉を口にするべきではない。結果を出さなければならない立場。それができなかったのですから、申し訳ないという気持ちです」と言う。
もっとも、オリンピック前年の世界選手権ならいざ知らず、4年スパンが始まったばかりの世界選手権なら、収穫を見つける遠征であってもおかしくない。そのことは否定せず、「貴重な経験だったことは確かです」と話し、「自分のレスリングができた、なんていう自己満足が通じない世界」と、得るものは多く見つかったようだ。
いずれはオリンピック階級の65kg級に上げ、東京オリンピックを目指す予定だ。61kg級でも世界トップと大きな差があったのだから、65kg級で世界へ出て、さらに勝つには、今回の収穫を何倍も大きくして自分の実力にしなければならない。
いつ階級アップをするかは迷っている状況だという。「まだ65kg級の体でないことは確か」と、当面は61kg級を中心に闘うつもりだが、それでいいのか、という気持ちもある。「模索中です。一戦一戦、最善を尽くすこと。それしかないですね」と、今は目の前の敵に全力でぶつかることを誓った。