※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=樋口郁夫) 2年連続学生二冠王に輝いた86kg級の松坂誠應(日体大)
「ホッとしています」と松坂。国体では、3歳下、しかも本来の階級が下の選手に敗れる屈辱を経験しただけに、“指定席”に戻った安堵感がにじみ出ていた。国体では、けがや教育実習のため練習不足という一面があったそうだが、「実力で負けました」と振り返り、「ずっと引きずっていた」と言う。
連敗はしたくない一戦は準決勝で実現した。「先にポイントをやらない」と心に決めて挑んだ試合は、お互いに慎重な動きとなり、なかなかポイントが取れない。結果として2-1。「攻撃させない代わりに攻撃できなかった。勝ち切ることができなかった」という不満は残ったが、何はともあれリベンジに成功。
決勝は国体74kg級3位、新鋭の松雪泰成(専大)に10-0のテクニカルフォールで勝って実力の違いを見せつけた。2年連続学生二冠王に輝いたことは、今後につながる結果だ。
決勝で闘う松坂
松坂はライバルに白井勝太(日大)の名前を挙げたが、故障でこの大会も欠場するなど、全日本選手権までに調子を戻せるかどうか分からない。オリンピック予選を経験した松坂が優勝候補の筆頭と考えられる状況だ。
「大学選手権で勝つことも大事だけど、今年のメーンは全日本選手権。(去年は2位なので)今年は確実に取りたい。勝てば冬の遠征に参加でき、強くなるチャンスをもらえるので、そうした機会を逃さないようにしたい」と言う。来春の卒業後は自衛隊へ進んでレスリングを続けたい気持ちを持ち、手続きをしている最中だ。
まだ結果は分からないが、レスリングに専念できる環境に身を投じられることが「楽しみです」と言う。つまずきを乗り越え、松坂が来年の世界選手権出場を目指す。