37回を迎える関東中学生大会が8月29日、神奈川・横須賀アリーナで行われた。1都7県からの選抜チームで争われる団体戦。菅原和哉実行委員長(神奈川・磯工ベアーズ代表)によると、大会を始めた頃(1990年? コロナで抜けているだろうから1988年ころか?)は、高校のレスリング場に3チーム程度が参加しての大会だったという。
現在は、栃木や山梨のように選手数が少ない県もあるが、とりあえず1都7県からの参加があり、参加総数は142選手。今年から女子も実施し、男子9階級(各階級2選手エントリー可)・女子8階級で、予選リーグ、決勝リーグでの闘いとなった。最高で5試合をこなすことができる。
《参加選手数》東京都25、茨城県22、千葉県22、神奈川県20、群馬県19、埼玉県16、山梨県11、栃木県8
インターハイや学生リーグ戦でも分かるように、団体戦は選手と応援者が一体となった独特の盛り上がりがある。今大会も、至るところで大歓声が沸き、熱い大会となった。
各都県の持ち回りで開催しており、4面マットでの実施はこれが初めて。今年の大会を担当することになった菅原実行委員長は、毎年4月のJOCジュニアオリンピックを30年にわたって運営してきた実績を持つ。それだけに、事前の準備や段取りから手慣れたもので、新企画も積極的に導入した。
今年の特徴は、女子を入れて男女混合戦にしたことのほか、(1)不戦試合はスコアに入れないこと、(2)男子は補員選手同士も対戦させたこと。
前者は、全階級で選手がそろえられない県の“救済措置”。エントリーできない階級が多い場合(今年の場合、17階級中、栃木が9階級、山梨が10階級で選手がいなかった)、最初から勝利をあきらめてしまうことになる。しかし、エントリーした階級が勝ち越せばチームとして勝てる。選手の少ない県にモチベーションを与えることができる。
後者は、補員にエントリーされた場合、結果として1試合も試合ができない場合もある。せっかく会場に応援に来てくれた保護者が、自分の子供が1試合も出ることなく終わり、がっかりして帰ったケースもあったと言う。
そこで、一番手同士の対戦だけではなく、二番手同士も対戦させてチーム・スコアに反映させ、エントリーされた選手の保護者の全員に“やる気”を持ってもらうことが目的。
菅原委員長は、女子を入れたことを「女子の普及」、不戦試合をスコアから除くことを「成立した試合数だけで勝敗が決まるから、どこのチームが勝つか分からない面白さ」、補員同士の試合の実施を「試合経験と保護者の熱心な応援」と説明。
実際にやってみて、「女子を入れたことで会場が盛り上がった」との感想のほか、「団体戦にありがちな、自分の子供を起用してもらえなかったときの保護者の不満もなくなったと思います」と振り返る。
ただ、この方法が“究極的に求める形”ではないことも説明する。「この競技方法が本来の団体戦の姿だとは思っていません。インターハイのような『どのチームが強いのか』というガチンコシステムが理想です。しかし、レスリング競技は『普及・継続・強化』を同時並行で行っていかないと、すぐに衰退してしまう弱さを持っていると思います。ちびっ子から高校への橋渡し期間である中学生を大切に育てることが必要。多くの試みを経て、本来の姿になっていくことを望みます」とも話す。
エントリー選手数にばらつきがあるので、相手がいない場合もあり、全員が全試合マットに上がったわけではない。それであっても、補員同士の試合もあるので、試合数が多くなる。時間もかかったが、過去なかった4面マットでの実施が功を奏し、午後4時には終了。帰宅にも支障はなく終わった。
6月の沼尻杯全国中学生選手権のときの会議から、「なかば強引に決めさせていただきました」と笑うが、周囲も「実行力がある」と思うから賛同したのは言うまでもない。
会場には、選手の所属クラブの後輩の小学校5・6年生の姿もあり、菅原委員長は「こういう盛り上がる大会があることを知ってもらうことで、進学してもレスリングをやろう、という気持ちになると思う」と話す。各県の団結に一役を買っており、中学レスリングの普及という面でも、大きく貢献している大会と言えるだろう。
菅原委員長は「遠征費の問題もありますが、団体戦の全国大会を実施するのも、一案ですね」と言う。現在は6月の全国中学生選手権と11月下旬の全国中学生選抜U15選手権の間が約5ヶ月もあり、選手のモチベーションの維持が難しい状況。夏休みに団体戦の全国大会を開催するのも一案だろう。
中学の部活動の地域移行がスタートし、高校のように上から予算が出るわけではないので、全国大会の開催に難問はあるだろう。だが、何も考えなければ実現はしない。菅原委員長に「旗振りをやって、全国大会の実現はいかがですか?」と水を向けると、「いや~。関東大会だからできるのであって…」と後ろを向いたが、本心はいかに?