今年4月のアジア選手権(キルギス)で強豪を撃破して優勝した男子フリースタイル97kg級の吉田アラシ(三恵海運)は、アジア大会(名古屋市)まで2ヶ月を切り、母校・日大の十日町合宿(8月5~9日)に参加して追い込みをかけた。
日大の学生選手として、昨年まで毎夏、参加していた思い出の新潟・十日町合宿。「ここで実力を培った」という気持ちが強く、地元でのアジア大会に向けて気持ちを盛り上げるためにも「今年も参加したかった。ここでしか得られないプラスがある」と言う。
ただ、大学入学後にひざを手術し、上り坂のランニングはひざに負担がかかるので学生と同じにはこなしておらず、朝練習は筋力トレーニングが中心。それでも、金メダル坂のランニングはキッズ時代に参加させてもらったときに経験。「あのきつさを思い出すだけでも、プラスになります。とにかく(金メダル坂以外でも)きつい合宿です」と笑う。
ここで体力を十分につけ、東京へ戻ってからも日大の練習に参加して、養った体力をベースに技術を上積み。直前の全日本合宿で最後の調整をして、アジア大会に臨む予定だという。
日本での国際大会は初めてになる。地元の利と思える面がある一方、経験がないことに臨むことに多少の不安があるのも事実。これまでは「遠征+試合出場」で、調整期間は長く取っていた。遠征がない大会出場は未知数。「調整がしっかりできるかどうか」と言う。
それでも、気候の面など海外選手に比べると順応できることがあるので、「アドバンテージはあると思います」と話した。
アジア選手権は昨年も優勝しているが、強豪と言える選手が出ていない中での優勝だった。今年の優勝は、昨年の世界選手権2位のアミラリ・アザルピラ(イラン)と2024年パリ・オリンピック王者のアフメド・タジュディノフ(バーレーン)の強豪を破っており、文句なしの優勝だ。
しかし、イランからは86kg級で世界王者になったことのあるハッサン・ヤズダニチャラティーが出てくる予定。10年前(12歳のとき)、リオデジャネイロ・オリンピックで優勝した同選手をテレビで見ているそうで、あこがれの選手と相対することになる。
「(階級を上げても)強いでしょう。もちろん、勝ちにいきますけど、楽しみな部分が大きいです」と、あこがれだった選手と対戦を心待ちにする。
「イラン代表のアザルピラに勝ったので、だれが出てきても勝てる、という気持ちは?」との問いに、「そういう気持ちにはなれませんね」と苦笑い。アザルピラには1勝1敗であって完全に上回ったわけではない。ヤズダニも研究してくるはずなので、大きな壁と感じているようだ。
アジア選手権でのタジュディノフからの白星も、かなり実力が上回っていると感じられる勝利だったが、「技術面が卓越しているし、場外際もうまい。勝ちましたけど、課題が多く見つかった。今度の試合では、これまで以上に研究してくると思います」と気をゆるめない。
両選手に対して、自分も研究を怠らないことを強調し、最後に「闘う以上は、勝ちます」ときっぱり。世界一へ向け、まずアジア大会制覇を目指す。