2026年全日本社会人選手権の男子フリースタイル92kg級は、昨年86kg級優勝の髙橋夢大(三恵海運)が勝ち、翌日の男子グレコローマン87kg級でも勝って両スタイル制覇を達成。4月のアジア選手権でメダル獲得を逃し、全日本選抜選手権でも優勝を逃した“不振”から復活の兆しを見せた。
髙橋は「優勝しましたが、準決勝(内田貴斗=自衛隊)はスタンドで場外際に追い込むことはできても、テクニカルポイントを取れないなど、課題のあった試合でした」と反省の弁。最近、自分の持ち味のタックルが出し切れず、強みを発揮できない試合が多く、その修正が課題だったが、不満の残る内容だった様子。
本来の86kg級で日本代表になるには、石黒隼士(自衛隊)と高谷惣亮(拓大職)の2人は絶対に乗り越えなければならない。「勝つには、もう1、2段階、レベルアップしないとならない」と気を引き締めた。
ただ、決勝は自衛隊体育学校を離れて第一線から離れた選手が相手だったので、「負けていられない。練習してきたことをすべて出す」という気持ちで闘い、思い通りの試合ができたのは、今後につなげる意味ではいいフィナーレだったのではないか。
グレコローマンは、フリースタイルに生かすための技術や戦術を身につけるための出場。グラウンド攻撃がグレコローマンの選手相手にも通じるかを試す目的もあった。昨年2位の選手や自衛隊の新進気鋭の選手を破っての優勝に、多くのことを学んだことだろう。
グレコローマンは、京都・網野高(現丹後緑風高)2年生でインターハイ王者に輝いたあとの全国高校生グレコローマン選手権の1回戦でフォール負けを喫し、トラウマになっていたそうだ。「苦手意識みたいなものができてしまって…」と、積極的になれない時期もあったそうだ。
その後、日体大で練習する中で組み手の必要性などを感じて練習するようになり、東日本学生新人戦、全日本学生選手権、全日本大学グレコローマン選手権で優勝するまでになった。現在でも、練習場所の日体大のグレコローマン専門選手の練習相手を務めることもあり、フリースタイルに役立てるために取り組んでいる。
2023年全日本学生選手権でも達成している両スタイル制覇。今大会を機に、殻を破れるか。
髙橋夢大の所属する三恵海運からは、藤本健太監督が44歳にして挑戦し、吉田アラシの兄・吉田アミンも全日本選手権への出場権獲得を目指して出場。髙橋夢大を盛り立てた。
65kg級に出場した藤本監督は、昨年の世界ベテランズ選手権で優勝するなど“選手活動”も続けているが、シニアへの参加は2019年のこの大会以来、7年ぶり。1回戦を不戦勝で勝ち上がったが、2回戦で2022年西日本学生選手権3位の実績を持つ小林雄泰(近大~兵庫・猪名川クラブ)に2-8で敗れ、再デビューを飾れなかった。
相手は若い選手だけに、前に出てくる圧力が思った以上に強く、「自分から前に出ることができなかった。(相手の圧力に)耐えるのが精いっぱいでした」と言う。8点差となった後半は無理な仕掛けはしてこなかったので、一発技の狙いどころだったが、自身の体力も消耗しており、最後にタックルを決めるのが精いっぱいだった。
というのも、マスターズのカテゴリーは2分×2ピリオド。シニアの1ピリオド3分が「長く感じた」そうで、3分闘う筋力と体力が足りなかった。「最後のタックルを最初に出せていれば、流れが変わっていたかな」という後悔がありながら、「楽しかったです」と爽快な汗に満足そう。
世界ベテランズ選手権はA(35~40歳)、B(41~45歳)を制しており、E(56~60歳)までの全部門制覇が長期的な目標。次の出場はC(46~50歳)になる来年の大会になるが、体力維持を目的にシニアの大会にも出場し、体づくりに励む予定。
79kg級に出場した吉田アミンは、1回戦をオーストラリア選手に9-0と快勝したが、2回戦でU23全日本選手権74kg級優勝の小川統己(川金ホールディングス)に0-7で黒星。同じブロックに、70kg級世界チャンピオンの青柳善の輔(クリナップ)がいて、最低でも闘うところまでは行きたかったそうだが、その思いを達成できず「悔しいです」と話した。
小川のひざから下へのタックルがなかなか切れなかったことが敗因。ローシングルの防御は苦手のひとつだったそうで、あらためて課題であることが分かり、今後の練習で克服を目指す。弟・アラシの活躍に刺激され、当分、選手活動を続けそう。11月の全国社会人オープン選手権で、あらためて全日本選手権の出場資格獲得に挑む予定だ。