(文=布施鋼治)
「このメンバーでも勝てる力はあったと思う。勝たせてあげられなかったことは、本当に悔やまれる」
2026年東日本学生リーグ戦最終日。3年ぶりの王座奪還を狙う日体大は、準決勝で山梨学院大に3-4で黒星。3位決定戦で育英大に勝って3位は確保したが、2019年から続いていたファイナリストから外れた。日体大の松本慎吾監督は冒頭のように大会を振り返った。
このところ毎回決勝まで駒を進め、山梨学院大と雌雄を決していただけに、とうてい納得のいく成績ではあるまい。「今回はポイントを取り切れなかった選手が多くいた。そこはしっかりと受け止め修正していきたい」
大会前から不安要素はあった。中でも、リーグ戦のレギュラー・メンバーたちの度重なる負傷は痛かった。86kg級の神谷龍之介は全日本合宿中に足首を痛め、決して本調子ではなかった。
65kg級の西内悠人主将は、「展望」で報じた通り、5月下旬の全日本選抜選手権の直前に蜂窩織炎にかかり入院。ようやくマット練習を再開できたと思ったら、じん帯を痛めた。また70㎏級の細川周(4年)は右肩にプロテクターをつけて出場するなど、ほかにも手負いの状態で出場した選手はいた。
125kg級でのエントリーも考えられた吉田泰造はグレコローマンの米国遠征参加のため欠場。そこで、ふだんはラグビーをやっているレワ・パエア(3年=千葉・日体大柏高卒、トンガ出身)に白羽の矢を立て、レスリングを特訓したうえで、2試合に出場してもらった。
結局、予選リーグから安定さを欠くことになり、3回戦では国士舘大と4-3とギリギリの試合をするなど、苦戦を強いられた。最初のヤマは予選5回戦で行われたVS日大だろう。一時は3-1とリードしながら、そのあと3連敗を喫し、3-4と敗北を喫してしまった。
それでも、昨年から予選グループ2位までがファイナルステージ(決勝トーナメント)に出場できるルールに変わり、優勝の可能性は残っていた。準決勝で昨年までは決勝で顔を合わせることが当たりまえだった山梨学院大と対峙。しかし、第1試合から4連敗を喫し、早々に決勝進出の望みが消えてしまった。
栄光の歴史を持つ“王者”だけに、けがを言い訳にはしない。監督、コーチ、選手から愚痴めいた言葉を耳にすることは皆無だった。西内主将は「総力戦で闘ったうえでの結果なので受け止めるしかない」と唇をかんだ。
松本監督に「追い込み過ぎも、けがの一因なのか?」と水を向けると、首を横に振った。「格闘技にけがはつきもの。強化している過程の中でそうなってしまったので、仕方ない部分もある。神谷の場合、回復に務めていたけど、リーグ戦までに間に合わなかった」と振り返った。
同監督は「問題は、この結果から何を学ぶか。もう一回チーム作りから見直して、内閣(全日本大学選手権=11月14~15日)までそんなに時間はないけど、きちんと作り直していきたい」と気を引き締めた。
傷が癒えれば戦力は十分。日体大の復活はいつの日になるのか。