全国高体連レスリング専門部(千葉裕司部長、田中秀人理事長)が「シングレット革命」に挑む-。同専門部は、今夏のインターハイ(7月23~26日、和歌山・那智勝浦町体育文化会館)からセパレート方式のユニホームの着用を認めることを決め、6月10日の日本レスリング協会理事会で承認を得た。
着用を義務づけられるのではなく、従来のシングレットでもセパレート方式のユニホームでも、どちらでも出場できる。
すでに今月の関東高校大会(千葉・佐倉市)で試験的に着用を認めており、日本協会の承認によってインターハイで解禁されることになった。現段階では、インターハイなど高体連主催・共催の大会に限られており、日本協会主催の全国高校生グレコローマン選手権や日本スポーツ協会主催の国民スポーツ大会、さらに全日本選手権などでの着用はできない。
理事会後の会見に出席した日本協会の多賀恒雄専務理事は「いきなりの提案だったので、(高校生のすべての大会で採用する)結論は出せなかった。高体連主催の大会については認め、その他の大会については検討となった。(理事会では)中学や大学の大会でも採用するかもしれない、という話も出た」と説明した。
競技人口を増やすための改革。現在のシングレットは、若者の間での評判は今ひとつで、「ダサい」という声もあったほど。
2000年シドニー・オリンピック代表で、その後、総合格闘技に転身した宮田和幸氏がコロナ禍の真っ最中の2020年春、ツイッター(現X)で「レスリングはシングレット廃止してラッシュガードとショーツにすれば人気あがるはず」とつぶやき、通称「つりパン」の着用が人気と普及を妨げる要因になっているのではないかと疑問を呈した。上下別で、グラップリングなどで着用されているラッシュガードと短パン、サーフィンなどで着られるカジュアルなアンダーウェアなどをユニホームとして認めることを提案した。
若いオリンピアンほかが賛同し、「シングレットが嫌だ」と言ってレスリングを辞めた選手や、入部を拒否された話を披露。年ごろになった女子選手はシングレットを敬遠して競技をやめるケースがあることも報告され、ツイッター上の一部だったかもしれないが、シングレット廃止の話題が盛り上がった。
世界レスリング連盟(UWW)でも人気獲得のためシングレットの改革に着手する動きがあった。伝統に固執する声も多く、デザインや色が以前に比べるとかなり自由になっているものの、上下一体のシングレットが変わることはなかった。
セパレート・タイプのユニホームを認めた高体連専門部の決断は、全国、あるいは世界に広がるか。