ベトナム・ダナンで行われた2026年U17アジア選手権に出場した男子フリースタイル・チームが6月2日、成田空港着のベトナム航空で帰国した。優勝は1選手だったが、全選手がファイナル(決勝、3位決定戦)に出場し、国別対抗得点は大会史上最高の2位の成績だった。
田野倉翔太監督(東京・自由ヶ丘学園高教)は、大会史上最高の成績に「自分は短期間、選手を預かっていただけで特別に何もしていません。各所属の先生方が育て上げた努力の賜物です」と謙虚に振り返った。全選手に繰り返し伝えたことが「攻める」ことで、選手はそれを徹底してくれたと言う。
エントリー締め切りの関係で、今年はJOC杯2位の選手ではなく、JOC杯前の選考で代表を決めた。結果として、JOC杯優勝の選手が6人となり、それが好成績につながったとも考えられるが、「たまたまかもしれないし、外国が一番手だったかどうかは分からない」として、簡単には結論づけしなかった。しかし、JOC杯優勝選手以外でもメダルを取ったことは評価し、「全選手の頑張りは間違いなくありました。いい流れです。今回の選手がしっかり成長してくれれば頼もしいですね」と話し、このムードを今後もつなげることを望んだ。
砂川航祐コーチ(福島・ふたば未来学園高教)は「ホテルや施設、環境はすばらしく、コンディションを整えるには、いい大会でした」と、最近、国際大会を多くやっているベトナムでの大会運営に感謝。全選手がファイナル進出という結果に「国内の一番手が出れば、アジアではこのくらいの成績が出せることを感じた」とのこと。勝つ選手は最後の最後でアタックを仕掛けられたり、逆転勝ちしたりで、今後も選手の粘りを期待。セコンドとしては、チャレンジのタイミングの難しさなどに遭遇し、「もっと経験を積みたい」と話した。
3スタイルを統括する吉岡治団長(京都・丹後緑風高)は厳しい現実に直面した男子グレコローマンについては、「中学でグレコローマンが始まり、あと3、4年すれば流れが変わるのでは」と期待。優勝3選手だった女子は、「消極的だったり、勝っても接戦の試合もあった。もう少し行けたと思う」と振り返り、今回出場した国内二番手選手と、世界に出場する一番手選手との間に差があることを実感したもよう。ここ数年、勢いを見せていたインドに、さほどの強さ・成長が感じられなかったそうだ。
全国高校選抜大会やJOC杯のチャンピオンもいた男子フリースタイルは、「思った以上の成績を残してくれた。高校生のチャンピオンは国際舞台でも勝てることを証明してくれた」と評価。重量級も3位決定戦には進む強さを見せてくれ、「今後に期待したい」と話した。
フリースタイルだけでも7月下旬のU17世界選手権(アゼルバイジャン)にも出場する選手が5人いるので、「この2ヶ月間、外国人に対する対策をしっかりやり、好成績を期待したい」と話した。
大会3日目は、花火大会があるとの理由で急きょスケジュールが変更され、第1セッションで決勝までを行った。「事前に(花火大会を)分かっていただろう、と思いました」と苦笑いし、日本ではありえない事態に遭遇しつつ、「(ベトナムは)親日的でいい国でした」と運営に感謝。同国のレスリングの発展を願った。

▲メダル獲得選手。前列左から吉田修(92kg級)、藤原尚大(60kg級)、廣里瑚朱(48kg級)、保坂彪悟(45kg級)、後列左から池田響介(55kg級)、牛窓勝心(51kg級)、日浦璃毘兎(65kg級)、土肥利羽(71kg級)
■65kg級優勝・日浦璃毘兎(福井・敦賀気比高)「前回の大会(昨秋のアジア・ユース大会)は1回戦で負けたので、そのリベンジができたと思います。チームの雰囲気がよく、メンタルの部分で安定していたので、それが一番よかったと思います。(JOC杯は決勝で負けているだけに)インターハイで優勝できるように練習を積みたい」
■51kg級2位・牛窓勝心(京都・丹後緑風高)「メダルを取れてホッとしている反面、目指していた色と違うので、悔しい気持ちもあります。決勝は、相手に対策されていましたし、足が動いていなかった。緊張していたわけではないけど、ふだんの動きができなかった。タックルが単調ということが分かったので、組み手をしっかりやりたい。世界選手権では今回より上の色のメダルを取れるように頑張ります」
■55kg級2位・池田響介(京都・日星高)「初めての国際大会で決勝まで行けて、うれしい気持ちはありますけど、決勝で勝てなかった悔しさがあります。自分の攻めができなかった。守りに入ってしまって、攻めるタイミングを逃しました。緊張もあったかもしれません。世界選手権にも出るので、もっと攻めるレスリングをして、優勝できるように頑張りたい」
■71kg級2位・土肥利羽(栃木・足利大学附属高)「決勝で、点を取れるはずのところで取れないという詰めの甘さが出てしまった。緊張とかではなく自分の実力不足です。悔しいですけど、初めての国際大会で決勝まで行けたことは自信になります。準決勝はリードされていましたけど、攻めて攻めてラスト4秒に逆転できました。課題を修正してインターハイを頑張りたい」
■45kg級3位・保坂彪悟(福島・ふたば未来学園中)「悔しい気持ちがあります。それを生かして、今後、頑張りたい。(負けた準決勝は)逆転されてとても悔しい。点を取ったので守りに入ってしまった。3位決定戦に向けて、気持ちの切り替えをしっかりしました。まず国内の大会で優勝できるように頑張りたい」
■48kg級3位・廣里瑚朱(和歌山・Progress SHINGU)「去年はU15のアジア選手権に出て銀メダルでした。今年は、相手はほとんどが高校生(年上)で、メダルは厳しいかな、という気持ちもあったので、メダルを取れて、すごくうれしいです。負けた試合は、圧倒的な差を見せつけられたことと、自分のミスがはっきり出たので、ある意味でいい試合だったと思います。(すぐにある)全国中学生選手権で優勝し、全国中学選抜U15選手権で3連覇を目指します」
■60kg級3位・藤原尚大(高知・岡豊高)「ホッとした気持ちもありますが、悔しい気持ちの方が大きいです。負けた準決勝は、5-0からの逆転負けです。リードして、ラスト30秒になって守りの意識になってしまい、6点を取られてしまいました。その相手が優勝しただけに本当に悔しい。世界選手権にも出るので、今回よりいい結果を出せるように頑張りたい」
■92kg級3位・吉田修(佐賀・鳥栖工高)「メダルを持って帰ってきてホッとしています。準決勝は前半リードしていて、投げられて逆転されてしまいました。相手の技に対応できなかった。引っかかりの残った銅メダルです。差しの部分を改善したい。世界選手権にも出るので、もっといい色のメダルを取れるように頑張りたい」