2016.05.10

【展望】山梨学院大、圧勝続きの4連覇なるか…5・11~13東日本学生リーグ戦

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 東日本学生リーグ戦は5月11日(水)~13日(金)、東京・駒沢体育館で、21大学が参加して行われ、昨年のこの大会と全日本大学選手権を制し、フリースタイルで確固たる地位を築きつつある山梨学院大が4年連続優勝を目指す。

 日体大の18連覇(1979~96年)のあと、3年連続で優勝したのは昨年の山梨学院大だけ。“一強時代”が本格的に幕を開けるか、他大学が踏ん張って再び群雄割拠の時代に戻るか。

 一部リーグの予選各グループの見どころをさぐった。

⦅進行スケジュール⦆


 ◎一部リーグ

 【Aグループ】=(エントリー)山梨学院大明大東洋大国際武道大

 4連覇を目指す山梨学院大は、57kg級でエースが抜けたが、2014年全日本選手権3位の実績を持つ小栁和也(3年)がいるので、大きな戦力ダウンはない。

 中量級は、61kg級に全日本王者の乙黒圭祐(2年)、65kg級に新人選手権優勝の経験のある初見智徳主将(4年)、70kg級に全日本選手権65kg級2位の藤波勇飛(2年)、74kg級に70kg級学生二冠王者の木下貴輪(3年)という布陣が予想される。

 65kg級に乙黒、70kg級に木下、74kg級に藤波、の可能性もあり、その場合は61kg級に東日本学生秋季新人選手権3位の松宮大樹(3年)が起用されるだろう。予選リーグではオリンピック予選帰りの藤波を休ませたとしても、2014年全日本大学選手権74kg級3位の本村匠(4年)に任せられる。

 86kg級には東日本学生秋季新人選手権2位と成長している石澤誠悠(2年)がいて、125kg級には不動の王者オレッグ・ボルチン(4年)

 この層の厚さで予選リーグを取りこぼすことは考えらず、3試合とも7-0もありうる。1、2階級は勝敗を度外視して若手を起用し、主力を温存して決勝リーグでの圧勝を目指すか。

 一矢報いるのは明大か、東洋大か。明大は新人選手権優勝などの実績を持つ86kg級の大山博貴主将(4年)を中心に、全日本学生選手権70kg級3位の寺田靖也(4年)、昨年の東日本学生春季新人選手権74kg級3位の奥田海人(2年)らが踏ん張れるか。

 東洋大は、グレコローマン中心の選手だが125kg級の黒木柾統主将(4年)を中心に闘うことになる。山梨学院大には勝てなくとも、明大をしのぎたいところ。2002年以来の一部での闘いとなる国際武道大は、一部のレベルを体感することが課題だろう。


 【Bグループ】=(エントリー)拓大早大大東大東海大

 拓大と早大が1位を争いそう。昨年の順位は拓大が上だったが、今年の早大はまんべんなく戦力を擁しており、十分に1位を狙えそうだ。

 早大の注目は、2年連続高校三冠王のスーパールーキー、山崎弥十朗(埼玉・埼玉栄高卒)をどの階級で使うか。70kg級に全日本王者の多胡島伸佳(4年)を起用し、74kg級が山崎と手堅くいくか。

 それとも、東日本学生秋季新人選手権70kg級優勝の伊藤駿(2年)を生かすため、74kg級に多胡島、86kg級に山崎の布陣か。84kg級で高校三冠を制した山崎だが、大学の86kg級で通じるか。

 57kg級に全日本学生選手権3位の伊藤奨(3年)、61kg級に全日本選手権4位の吉川航平(4年)、65kg級に東日本学生春季新人選手権優勝の米澤圭(2年)が予想される。拓大との対戦では、最重量級は分が悪いが、あとの階級では勝利を挙げる可能性は十分。

 昨年、総合2位だった拓大は、70kg級に全日本大学選手権3位の高谷大地(4年)、74kg級に高校三冠王者の新人、吉田隆起(和歌山・和歌山北)、86kg級に全日本学生選手権2位の浅井翼(3年)、125kg級に全日本選手権97kg級3位の園田平(3年)または同125kg級王者の山本泰輝(2年)が予想される。

 中量級から重量級にかけてが強いので、軽量級が白星を重ねれば、中量級以上の闘いに余裕ができる。

 大東大は125kg級で全日本学生選手権2位の宮原将裕(3年)、57kg級で全日本大学選手権5位の五十嵐航太郎(4年)、65kg級で同5位の工藤瞬(4年)らが踏ん張り、二強に迫りたい。一部2年目の東海大は、昨年の経験を生かせるか。


 【Cグループ】=(エントリー)国士舘大日大青山学院大法大

 2014年に16年ぶりに総合2位となった国士舘大。昨年は3位と順位を落としたので、再浮上を目指したい。グレコローマンが中心だがフリースタイルでも新人選手権優勝の実績を持つ125kg級の近藤千加良主将(4年)が、どのようにチームをまとめているか。

 57kg級で全日本学生王者の大城一晟(3年)、61kg級で全日本大学選手権2位の葛西飛駿(2年)、65kg級に全日本学生選手権ベスト8の原口央(3年)と学生のトップ選手を起用して流れをつくり、大勢を決めて74kg級学生王者の奥井眞生(3年)につなげたい。

 対抗の日大は、最重量級のエースが抜けた穴を、東日本学生秋季新人選手権3位の山本泰丈(2年)やインターハイ王者として加入した石黒峻士(埼玉・花咲徳栄高卒)らが埋めることができるか。

 国体61kg級3位の前田頼夢(3年)、全日本大学選手権86kg級3位の白井勝太(3年)らを中心に国士舘大に挑みたい。

 青山学院大は、61kg級にインターハイ王者の成國大志(三重・いなべ総合学園高卒)、86kg級にインターハイ3位(グレコローマン高校二冠王)の藤井達哉(滋賀・栗東卒)という強豪新人が加入し、底上げがなされている。全日本大学選手権57kg級3位の藤田雄大(2年)が白星発進し、成國がつないでチームに勢いをつけられるか。

 法大は1年生が5人エントリー。来季以降を目指した思い切った闘いに期待したい。


 【Dグループ】=(エントリー)日体大専大神奈川大中大

 日体大と専大の1位争いが予想される。日体大は57kg級で全日本大学選手権2位の長谷川敏裕(2年)、リオデジャネイロ・オリンピックの57kg級代表に内定した樋口黎(3年)が61kg級で勝ち、幸先いいスタートを切りたいところ。

 86kg級には全日本選手権2位の松坂誠應(4年)が控え、125kg級にはグレコローマンの選手だがフリースタイルでも全日本大学選手権125kg級3位の成績を持つ奈良勇太(3年)がいるので、中量級がどう踏ん張れるかが上位浮上のかぎ。

 65kg級に起用されそうな全日本大学選手権61kg級3位の上野慎太郎(4年)、東日本学生秋季新人選手権70kg級2位の島袋慶生(2年)らの踏ん張りにより、最重量級にもつれることなくチームの勝利を決めたい。

 専大は、全日本選手権57kg級3位で61kg級にエントリーされている中村倫也主将(4年)、全日本学生選手権65kg級3位の伊藤和真(4年)、86kg級の元グレコローマン学生王者の与那覇竜太(4年)の最上級生がどう踏ん張るか。

 新人として、65kg級に全国高校選抜大会2位の中村剛士(埼玉・花咲徳栄高卒)、74kg級にインターハイ2位の松雪泰成(愛知・星城卒)がエントリーされている。全日本選手権70kg級3位の松尾侑亮(3年)ら3年生、2年生が上下に刺激され、チーム力をアップさせているか。

 神奈川大は、新人選手権優勝の実績を持つ74kg級の宮近由主将(4年)、グレコローマン80kg級で全日本選手権4位の東桂佑(4年)の最上級生を中心に、中大は全日本学生選手権86kg級ベスト8の佐藤聖翔(4年)を中心に、上位を目指す。