※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
高校生の最大のイベント、インターハイが8月5日(月)~8日(木)、長崎県島原市・復興アリーナで行われる。今年は、大会史上初めて前半に個人戦、後半に学校対抗戦が行われる。
これまでは、個人戦で優勝できるだけの実力を持った選手であっても、学校対抗戦で力を使い果たしたり、けがをしたりして個人戦の上位入賞ならなかった選手もいた。今回は個人の本当の実力が競われる。逆に、学校対抗戦は100パーセントの戦力で闘えないチームも出てくるわけで、予想が難しい大会となりそう。
公開競技ではあるが、今年から女子がスタートする(個人戦のみ)。栄光の“初代チャンピオン”につくのはだれか?
男子の個人戦と学校対抗戦の見どころをさぐった。(女子は参加選手が公表されていないため、掲載しません)
《トーナメント表》
学校対抗戦 | 50kg | 55kg | 60kg | 66kg | 74kg | 84kg | 96kg | 120kg |
◎個人戦
【50kg級】
昨年の国体と3月の全国高校選抜大会を1年生(4月からの2年生)にして制した長谷川敏裕(東京・自由ヶ丘学園=右写真)が優勝候補の筆頭。長谷川は4月のJOC杯カデットも制している。全国高校選抜大会2位の藤田雄大(三重・いなべ総合)は階級を上げたので、かなり有利な状況。
反対のブロックには、全国高校選抜大会3位の室伏彪我(静岡・飛龍)と全国中学生選手権3連覇達成の1年生、成國大志(三重・いなべ総合学園)、同じく全国中学生選手権優勝の実績を持つ1年生の吉村拓海(埼玉・埼玉栄)がいる。
成國はJOC杯カデットのグレコローマン50kg級で優勝。吉村は6月の関東高校大会で優勝と、ともに幸先いい高校レスリングのスタートを切り、勢いがある。
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【55kg級】
樋口黎(茨城・霞ケ浦=右写真の右)が昨年に続く2連覇を目指す。昨秋の国体、今年2月の関東高校選抜大会、3月の全国高校選抜選手権、6月の関東高校大会と優勝を重ねており、安定した実力をつけている。
全国高校選抜大会2位の前田頼夢(埼玉・花咲徳栄)、同50kg級2位の藤田雄大(三重・いなべ総合学園)、昨年のインターハイ50kg級優勝の乙黒圭祐(東京・帝京/JOCエリートアカデミー)が反対側のブロックで固まる組み合わせ。勝ち上がるのはだれか?
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【60kg級】
中学時代に全国中学生選手権3連覇を達成した藤波勇飛(三重・いなべ総合=右写真)が3月の全国高校選抜大会に続く春夏制覇を目指す。4月のJOC杯カデット63kg級でも優勝し実力は十分。昨年の大会は55kg級でベスト8。インターハイ3連覇はなくなったが、今後の大会は全勝を狙っているだろう。
お互いに順当に勝ち上がれば、昨年55kg級2位の文田健一郎(山梨・韮崎工高)と準々決勝で対戦する組み合わせ。文田はグレコローマンが得意の選手で、この大会を最後にグレコローマンに専念するという情報がある。最後のフリースタイルを飾りたいところ。
反対側のブロックは、全国高校選抜大会2位の嶋江翔也(佐賀・鳥栖工)が勝ち上がるか。7月のアジア・カデット選手権3位の米澤圭(秋田・秋田商)もあなどれない。
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【66kg級】
今年3月、鹿児島県勢として10年ぶりに全国高校選抜大会を制した木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央=右写真)が春夏連覇を目指す。インターハイでの鹿児島県選手の優勝は1999年の徳留旭(鹿屋中央)以来途絶えている。14年ぶりの優勝なるか。
同2位の木村優太(群馬・館林)が決勝で顔を合わせるか?
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【74kg級】
昨年から切磋琢磨している奥井眞生(和歌山・和歌山工=右写真)に、浅井翼(京都・京都八幡)、白井勝太(東京・帝京/JOCアカデミー)の3選手の争いが再現されそう。昨年のインターハイと今年3月の全国高校選抜大会で優勝している奥井が一歩リードしているふうにも見えるが、浅井はJOC杯で学生王者の島田大育(国士舘大)を追い詰めており急成長している。
2011年に2位、昨年3位だった白井は、2月の関東高校選抜大会と6月の関東高校大会で優勝の実力者。最後のインターハイを飾りたいところだ。
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【84kg級】
3月の全国高校選抜大会優勝の武田光司(埼玉・埼玉栄=右写真)が、6月の関東高校大会でも優勝。勢いを持っている。埼玉栄は、学校対抗戦で昨年の全国王者の花咲徳栄を破ってインターハイ出場を決めた。その主将が武田。個人、学校対抗戦の双方で目標があり、モチベーションは高いだろう。
全国高校選抜大会2位の古城涼真(秋田・秋田商)、同3位の永井基生(千葉・八千代松陰)らがどう闘うか。
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【96kg級】
3月の全国高校選抜大会で、昨年の兄(新=現拓大)に続く兄弟優勝を達成した園田平(滋賀・日野=右写真)が数歩リードか。インターハイでも兄弟優勝を狙う。
同じブロックには、7月のアジア・カデット選手権100kg級で3位入賞を果たした坂田龍星(埼玉・埼玉栄)がいる。全国高校選抜大会2位の岡井柾樹(愛媛・北条)は反対側のブロック。
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【120kg級】
全国高校選抜大会の覇者、山本泰丈(埼玉・花咲徳栄)は不出場。県予選で山本を破った奈良勇太(埼玉・花咲徳栄)が優勝候補と言えよう。同2位の宮原将裕(千葉・京葉)、同3位の貝塚賢史(茨城・霞ヶ浦)を中心として優勝争いが展開されるか。
奈良はシード選手ではないため、ともに勝ち上がれば3回戦で貝塚と当たる。
◎学校対抗戦
3月の全国高校選抜大会で3年ぶりの優勝を遂げた霞ヶ浦(茨城)が春夏連覇を達成するか。昨年は春夏とも優勝を逃しているだけに、巻き返しを期しているだろう。55kg級の樋口黎主将が安定しているだけに、軽量級で勢いをつけたい。
全国高校選抜大会の決勝の相手の花咲徳栄(埼玉)は、県予選で敗れて不参加。埼玉王者として出場する埼玉栄がどこまで上位へ食い込めるか。84kg級の武田光司、120kg級の坂田龍星に加え、今年4月に全国中学王者経験の50kg級・吉村拓海と74kg級・山﨑弥十朗が加わったことは大きな強み。1年生の踏ん張りで初の団体制覇の可能性が増してきた。
全国高校選抜大会で、学校対抗戦初出場で3位入賞を果たしたいなべ総合学園(三重)も全国中学生選手権3連覇の成國大志が加わり、戦力をアップさせている。