※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
近年、日本で最も激戦階級と言われてきた男子フリースタイル60kg級。昨年と今年の世界選手権は、ともに学生選手が出場した。2012年ロンドン五輪へ向けてベテランが逆襲し、両者の闘いに割って入る可能性は十分にあるが、若手選手の台頭は日本レスリング界にとって頼もしい限り。争ったのは小田裕之(国士大=左写真)と前田翔吾(ニューギン=右写真)。元号が平成になる少し前に生まれた2人だ。
2010年の世界選手権とアジア大会の日本代表をかけてプレーオフで闘う両者。全日本選抜選手権を勝ち抜いた前田(青)に、小田を破るだけの体力と気力は残っていなかった。(撮影=矢吹建夫) |
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=両者の対戦成績=
《2010年》
【5月:全日本選抜選手権PO】 小田裕之(国士舘大)○[2-0(3-0,2-1)]●前田翔吾(ニューギン)
《2009年》
【6月:全日本選抜選手権】 前田翔吾(日体大)○[2-0(2-0=2:03,5-4)]●小田裕之(国士舘大)
《2007年》
【12月:全日本選手権】 小田裕之(国士大)○[2-1(3-0,0-1=2:28,3-0=2:03)]●前田翔吾(日体大)
【8月:全日本学生選手権】 小田裕之(国士大)○[2-1]●前田翔吾(日体大)
【6月:東日本学生春季新人戦】 小田裕之(国士大)○[判定]●前田翔吾(日体大)
《2005年》
【3月:高校選抜大会】 小田裕之(青森・光星学院)○[10-2]●前田翔吾(愛知・星城)
《2004年》
【8月:インターハイ】 前田翔吾(愛知・星城)○[5-3]●小田裕之(青森・光星学院)
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小田裕之(おだ・ひろゆき)=国士舘大
1988年6月8日、三重県生まれ、22歳。青森・光星学院高卒。三重・一志ジュニアでレスリングを始め、2003年に男子で史上3人目の全国中学生選手権3連覇を達成。高校時代の2005年に55kg級で全国高校選抜大会とインターハイ王者へ、2006年に60kg級で国体王者へ。
国士舘大に進み、2007年の全日本大学選手権で2位。2008年のJOC杯ジュニアオリンピックは66kg級で優勝。同年の全日本選抜選手権では、2回戦で五輪出場資格を取った直後の湯元健一を破る殊勲を挙げて2位に入った。2009年に学生二冠王者となり、全日本選手権でも優勝。2010年にプレーオフの末に世界選手権代表へ。世界選手権は結果を出せなかったが、アジア大会で銀メダル。162cm。
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前田翔吾(まえだ・しょうご)=ニューギン
1987年5月23日、愛知県生まれ、23歳。刈谷チビッコ教室出身。愛知・星城高~日体大卒。高校時代には中京女大に通い吉田沙保里とも練習。高校3年の2005年に、JOC杯ジュニア選手権55kg級で大学生に混じった中で2位となり、アジア・ジュニア選手権で3位入賞。同年の国体で優勝。
日体大へ進み、2008年の全日本学生選手権60kg級で3位となり、同年の国体2位を経て、全日本大学選手権で優勝。全日本選手権でも初優勝。2009年アジア選手権5位を経て、世界選手権でも5位入賞。2010年は全日本選抜選手権で優勝したものの、プレーオフで敗れ世界選手権代表を逃す。しかしアジア選手権で銀メダル。170cm。
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