2016.11.09

【展望】山梨学院大連覇なるか、日体大のグレコローマンに続く優勝なるか…11・12~13全日本大学選手権

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 フリースタイルで争われる内閣総理大臣杯全日本大学選手権は11月12日(土)~13日(日)、愛媛・宇和島市総合体育館で行われ、山梨学院大が2年連続5度目の優勝、および東日本学生リーグ戦とともに2年連続でフリースタイル団体戦の二冠王を目指す。

 10月の全日本大学グレコローマン選手権は日体大が60点をマークして優勝した。戦力が分散しているフリースタイルでは、「60点」を取ることは厳しいのが現実。昨年は山梨学院大が53.5点をマークし、52点の日体大を振り切っての優勝だったことを考えると、50点代前半での勝負か。

 昨年以上の激戦が予想されるので、優勝得点が50点を切ることもあるかもしれない。

 総合成績と各階級の見どころ探った。(出場選手は本HPの予想です。エントリーに基づいた予想・展望であり、直前のけが等は勘案していません)


 《大学別エントリー選手》
【正選手】  【副選手】

 《大会日程》大会要項
11月12日(土) 57kg・61kg・86kg・97kg・125kg級
   13日(日) 65kg・70kg・74kg級


 【総合成績(大学対抗得点)】

 連覇を目指す山梨学院大は、70kg級の藤波勇飛、74kg級の木下貴輪、125kg級のオレッグ・ボルチンの3階級は取りたい(12点×3=36点)。65kg級の乙黒圭祐97kg級の吉川裕介で最低3位を見込み(6点×2=12点)、50点に近づけたい。これらのうち1、2階級で得点が伸びなくとも、残る3階級でも得点を加えることで、55点が見えてくる。

 グレコローマンの勢いを持ち込みたい日体大は、57kg級の長谷川敏裕、61kg級の樋口黎、86kg級の松坂誠應の3階級で優勝を目指せる(12点×3=36点)。65kg級の中田陽、グレコローマンの選手ながらこの大会に挑む97kg級の塩川貫太125kg級の奈良勇太の3選手には、最低でも3位がノルマとなるだろう(6点×3=18点)。中量2階級の2年生も「0点」だけは避けたい。そうすれば、上級生で取りこぼしがあっても50点は超えるはずだ。

 東日本学生リーグ戦で山梨学院大を破った早大(内容差で山梨学院大が優勝、早大は3位)は、65kg級の米澤圭、70kg級の多胡島伸佳、86kg級に出場する山崎弥十朗の3階級で優勝を目指す力がある(12点×3=36点)。61kg級の吉村拓海74kg級の伊藤駿が3位に入ることで(6点×2=12点)得点を上積みしたい。「0点」(9位以下)を出さないことが優勝の条件となるだろう。

 拓大は65kg級の高谷大地、74kg級の浅井翼、97kg級の園田平と優勝を目指せる選手がそろっている(12点×3=36点)。70kg級に出場する坂本侑之125kg級の山本泰輝の2選手に3位以上を期待し(6点×2=12点)、残る3階級の奮戦で50点を目指したい。

 日大は一昨年(8階級になって初めての大会)、2階級優勝ながら63点をマークし、下馬評に挙がらなかった中から優勝している。今年も86kg級の白井勝太97kg級の石黒峻士の2人が優勝の可能性を秘める(12点×2=24点)。他の階級でも1つでも上位を目指し、得点を上積みすることで優勝も見えてくるだろう。激戦によって優勝得点が大きく下がることも予想されるので、なおのこと、他階級の選手の奮戦次第で優勝争いに加われよう。

 国士舘大、専大、青山学院大にも優勝の可能性を持つ強豪がおり、優勝候補と目されるチームの足をどこまで引っ張れるか。もちろん、優勝選手を輩出して全階級で上位に食い込めば、優勝も見えてくる。


 【57kg級】

 全日本選抜選手権優勝の中村倫也(専大)は負傷治療のため、全日本学生選手権に続いて不出場。全日本学生選手権優勝の藤田雄大(青山学院大)と同2位の長谷川敏裕(日体大)が優勝を争うか。同決勝は藤田の3-2の勝利で、実力は接近している。

 同3位の小栁和也(山梨学院大)岩澤侃(早大)、昨年の全日本学生選手権優勝の大城一晟(国士舘大)らが優勝争いに加わることができるか。

 西日本からは世界ジュニア選手権55kg級で5位に入賞し、2年生で西日本学生選手権2連覇を達成した田代拓海(福岡大)に期待がかかる。

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 【61kg級】

 リオデジャネイロ・オリンピック57kg級銀メダリストの樋口黎(日体大)が、全日本学生選手権と国体を1年生で制した成國大志(青山学院大)の挑戦を受ける状況。本来より1階級上での闘いとなるが、樋口がオリンピック2位の強さを見せるか。成長株の成國がオリンピック・メダリストを倒せるか。

 両者を追うのは、全日本学生選手権2位の但野航(専大)、JOC杯ジュニア60kg級2位で世界ジュニア選手権も経験した吉村拓海(早大)、全日本選抜選手権4位の松宮大樹(山梨学院大)、西日本学生選手権を制した仁木陽介(中京学院大)など。

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 【65kg級】

 全日本学生選手権優勝の米澤圭(早大)に挑む一番手は、9月のドミトリー・コーキン国際大会(ロシア)優勝の高谷大地(拓大)。2014年世界選手権7位などの成績があるが、その後、やや低迷していた。国際大会初優勝をきっかけに、国内でも復調なるか。

 全日本学生選手権3位の中田陽(日体大)、昨年の全日本選手権61kg級王者で国体3位の乙黒圭祐(山梨学院大)、昨年の全日本学生選手権3位の伊藤和真(専大)らも優勝争いに加わる実力があるはずだ。

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 【70kg級】

 多胡島伸佳(早大)が昨年の全日本選手権と今年の全日本選抜選手権を制しているが、全日本学生選手権では藤波勇飛(山梨学院大)が準決勝で多胡島を破って優勝。多胡島が追う立場になった。藤波は世界ジュニア選手権66kg級3位、国体65kg級優勝と好調を維持。本来より1階級上でも通じる実力を見せられるか。

 全日本学生選手権65kg級2位の坂本侑之(拓大)、西日本学生選手権74kg級3連覇の古澤宏野(立命館大)がこの階級でも優勝争いに加われるか。日体大は屋比久翔平の起用もありえる。

 東日本学生春季新人選手権で優勝し全日本学生選手権3位の井筒諒(日体大)、昨年の西日本学生選手権の1年生王者で、西日本学生新人戦の両スタイルを2年連続で制している玉岡拓海(福岡大)らが、上位へ食い込めるか。

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 【74kg級】

 全日本学生選手権優勝の山崎弥十朗(早大)は86kg級にエントリー。

 同2位で国体優勝の浅井翼(拓大)、全日本選抜選手権優勝で2014・15年全日本学生選手権を制している奥井眞生(国士舘大)、70kg級で昨年の学生二冠を制している木下貴輪(山梨学院大)、昨年70kg級2位で今年の国体2位の松尾侑亮(専大)の中から優勝選手が生まれるのではないか。

 昨年2位で今年のアジア・ジュニア選手権3位の伊藤駿(早大)、東日本学生選手権優勝の阿部侑太(日体大)の2年生選手がどこまで上位に食い込めるか。

 全日本大学グレコローマン選手権75kg級2位の奥田海人(明大)、西日本学生選手権優勝の安江巧(立命館大)らが伏兵として台頭するか。安江は西日本学生新人戦を2年連続両スタイル優勝など力をつけている。

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 【86kg級】

 昨年の学生二冠王の松坂誠應(日体大)が今年の全日本学生選手権も制したが、国体では74kg級学生王者の山崎弥十朗(早大)に敗れた。山崎がこの階級にエントリーし、リベンジを目指すことになった。スーパールーキーの勢いを止めることができるか、山崎が底知れない強さを見せつけるか。

 2年前に1年生王者に輝き、今年は全日本選抜選手権と全日本学生選手権ともに2位の白井勝太(日大)が両者を追い落とせるか。

 全日本学生選手権3位の長知宏(国士舘大)大山博貴(明大)、西日本学生選手権3連覇の榎本凌太(同志社大)、国体74kg級3位の松雪泰成(専大)らが、どこまで上位に食い込めるか。

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 【97kg級】

 全日本学生選手権優勝の園田平(拓大)が国体でも優勝し、安定した力を見せている。全日本選手権2位の二ノ宮寛斗(明大)、同3位の石黒峻士(日大)、昨年の全日本学生選手権2位の吉川裕介(山梨学院大)らがその牙城を崩すことができる。

 いずれもグレコローマンの選手だが、85kg級学生二冠王者の塩川貫太(日体大)、同98kg級3位の近藤千加良(国士舘大)、国体85kg級3位の与那覇竜太(専大)らの存在も無視できまい。

 西日本からは、西日本学生選手権優勝の執行優大(福岡大)が意地を見せるか。

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 【125kg級】

 オレッグ・ボルチン(山梨学院大)が4連覇と3度目の学生二冠王者を目指す。フリースタイルでは日本選手には負けたことのないので、かなり濃厚と考えられる。全日本学生選手権2位の山本泰輝(拓大)が盤石の牙城を崩すことができるか。

 グレコローマンの選手だが、98kg級学生二冠王者の奈良勇太(日体大)が優勝争いに加われるか。昨年は3位だった。

 全日本学生選手権3位の日坂侃生(中大)山本泰丈(日大)、昨年2位の山口直人(徳山大)、JOC杯120kg級優勝の宮原将裕(大東大)らがどこまで食いつけるか。