2016.11.05

【特集】日本版「Beat the Streets」! オリンピック銀メダリストが参加して東京の繁華街で青空レスリング教室

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 第6回赤坂・青山共育フェスティバルが11月3日、東京・六本木の東京ミッドタウンに隣接する檜町公園で行われ、ブースの一角にレスリングマットが敷かれ、青空のもと、臨時のレスリング教室が開催された。

 今回は、8月のリオデジャネイロ・オリンピック男子グレコローマン59kg級銀メダリストの太田忍選手(ALSOK)をゲストに招いてデモストレーションを行い、オリンピック仕込みの大技を披露した。

 同フェスティバルは、赤坂・青山こども中高生共育事業2016の一環。「フィギュア・フォー・クラブ」の村本健二さん(日本協会特定理事)が港区レスリング協会を立ち上げた縁で行政とつながりができ、昨年の同フェスティバルから参加している。村本さんは「レスリングは室内競技。『ぜひ道場に来てください』と言っても、参加者にとっては敷居が高い。こうやって人が集まる場所に、こちらからマットを持って出向くことを考えたのです」と話す。

 幸い天気にも恵まれ、場所がミッドタウンの真下にある公園とあって、イベント会場にはたくさんの人が集まっていた。村本さんが呼び込みを行うと、あっという間にマットサイドには人で埋め尽くされた。

 太田選手が実際にオリンピックで決めたそり投げや、胴タックル、がぶり返しを展開するたびに、歓声が起こった。太田選手の技術紹介が終わると、今度は「フィギュア・フォー・クラブ」のキッズ・レスラーと手合せを行った。

■ニューヨークでも年に1度、最大の繁華街でレスリング・イベントが開催されている

 「フィギュア・フォー・クラブ」は全国大会でも活躍する強豪クラブ。ルールはフリースタイルで行われ、太田選手は両足タックルを受けて苦笑いする場面もあったが、相手を捕まえると上半身の力を見せつけ、キッズ・レスラーを肩まで持ち上げて会場を沸かせた。

 太田選手は、訪れた人たちにオリンピックの公式ブレザーでサインや記念撮影に応じたり、サイン入りの写真をプレゼントしてレスリングをアピールした。

 太田選手のデモンストレーションのあとは、一般の子供たちを交えて体験レスリング教室を開催。「フィギュア・フォー・クラブ」の本多尚基代表の指導のもと、クラブ所属のキッズ選手と一般の参加者が組みになってレスリングの基本運動を行った。

 大盛況となった青空レスリング教室。主宰した村本さんは「こんなミッドタウンの真下という場所でレスリング教室ができるなんて思っていなかった。こんな気持ちいことはないでしょう。最高の形で一般の方にレスリングを普及することができました。また機会があったら、人ごみの中にマットを設置して、多くの方にレスリングを知ってもらいたいです」と、来年以降も屋外でのイベントに前向きだった。

 屋外のレスリングイベントと言えば、毎年5月、ニューヨークのタイムズ・スクエアやグランド・セントラル駅など同市最大の繁華街のオープンスペースで、「Beat the Streets Wrestling」というイベントが有名だ。入場無料で行われており、道行く人たちにレスリングをアピールしている。

 米国内外のトップ選手が集まる同イベントには及ばないが、一般にレスリングをアピールする姿勢には共通した理念があると言えよう。草の根レベルでの普及活動の今後が期待される。

イベントを見てレスリングが好きと言ってくれた女の子とハイタッチする太田選手

私服で参加した子供たちとキッズクラブの選手が組みになってレスリングのマット運動を体験