※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
羽田空港で最後のミーティングを行う江藤正基団長
63kg級の基山仁太郎(三重・いなべ総合学園高)が銅メダルを獲得。メダル数だけなら昨年の「金1・銀1・銅1」には及ばなかったが、5位入賞が5選手いて、国別対抗得点は昨年の6位を上回る5位。総合力はアップした結果だった。
基山は昨年の銀メダルに続くメダル獲得だった。横山秀和監督(秋田・秋田商高教)は「さすがに世界での闘いに慣れているという感じ。どんなタイプの選手が相手でも対応できる選手だ」と評価。他の選手についても「日本のスタイルを貫き通せれば世界で通用する技量を持った選手ばかり。全選手とも世界レベルに達していると思える堂々とした試合運びをやってくれた」と選手の踏ん張りを振り返った。
高校の試合は3分2ピリオドでやっているが、カデットの大会は2分2ピリオド。どの選手も、試合時間の違いを理解して力を出すところを間違わず、対応力のすごさも認めた。ただ、接戦の末に負けてしまった試合もあった。審判のジャッジに対する不満もありそうだが、「外国選手の精神面や粘りにやられた。そのあたりも学んでくれたと思う。この流れで、上(ジュニア)の大会を目指してほしい」と望んだ。
男子フリースタイルの前に行われた女子が8階級優勝という好成績だったので、「刺激されて頑張れました」とも言う。
男子フリースタイル・チーム
■金メダルを取る気持ちが前面に出ていた女子チーム
江藤正基団長(JOCエリートアカデミー)は3スタイルを振り返り、「メダル総数は、去年が11個で今年は10個。しかし、金の数は4個が8個となった」と総合力のアップを強調。その原動力となった女子は、どの選手も「金メダルを取る」という気持ちが前面に出ていて、「だれが負けるんだろう」と、負けることが考えられないような試合が続いたという。
リオデジャネイロ・オリンピック、世界ジュニア選手権と日本の好成績が続き、外国選手に「日本は強い」というすり込みがなされていたことも大きかったのでは、と見ている。
「何十年と海外遠征に同行しているけど、これだけ君が代を聞いた大会は初めてですよ」と笑うが、どの国の選手も次を目指して意欲はあったという。「4年間でどんな選手に育つか分からない。油断したら足元をすくわれる」と気を引き締めた。
男子フリースタイルは、「ジャッジがまともなら、あと2人は決勝に行けた。全体の地力は間違いなくついている」ときっぱり。
一方、メダルのなかった男子グレコローマンについては、「減量が厳しい選手は互角に闘えたが、減量の少ない選手は体力差を感じた」とのこと。日本では経験することのない技でやられたこともあり、「現状では、世界の闘いの中でメダルということが厳しい」と現実を見つめた。
銅メダルの基山甚太郎(三重・いなべ総合学園高)
3位決定戦へは、気持ちを切り替えることができた。(負けたあとに闘うことも)経験です。全体として自分のレスリングはできたと思います。悪かったところは、1回戦で緊張しすぎたこと。もっと力を抜いてやらなければならない。
高校の先輩(藤波勇飛=現山梨学院大、藤田雄大、成國大志=ともに現青山学院大)が活躍しているので、追いかけたいという気持ちがあります。次は国体で勝ち、来年は高校の大会すべてで勝つことが目標です」