※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
決勝で惜敗し、銀メダルに終わった樋口黎(左端=日体大)
樋口は1回戦で2014年世界王者のヤン・ギョンイル(北朝鮮)にテクニカルフォール勝ち。2、3回戦も勝った後、準決勝では2013年55kg級世界王者で昨年世界2位のハッサン・ラヒミ(イラン)を10-5で下した。
決勝の現役世界王者との対戦では、30秒ルールとテークダウンで3-0とリードしたが、がぶり返しを受け、さらに30秒ルールで3-3へ。ラストポイントによって負けとなり、最後の攻防の場面をチャレンジしたが実らず(相手に1点)、金メダルを逃した。
樋口は現在20歳6ヶ月で、1984年ロサンゼルス大会の赤石光生(フリースタイル62kg級銀メダル)の「19歳5ヶ月」に続く、男子史上2位の若さのオリンピック・メダリストとなった。
74kg級の高谷惣亮(ALSOK)は、1回戦を勝ったあと、2回戦で世界選手権5位の ゼリムカン・カジエフ(フランス)にラスト数秒での逆転勝ち、しかし、続くガリムジャン・ウセルバエフ(カザフスタン)戦では終盤に逆転負け。ウセルバエフが準決勝で敗れ、敗者復活戦へ回れなかった。
男子フリースタイルの日本選手はこの日で終了。前回のロンドン大会で取った金メダルを続けることはできなかったが、2004年アテネ大会から続いているメダル獲得は続けた。
各選手の成績は下記の通り。
◎男子フリースタイル
【57kg級】樋口黎(日体大) 2位=20選手出場
決勝 ●[3-4]Vladimer Khinchegashvili(ジョージア)
《試合経過》序盤から果敢に片足タックルで翻弄する樋口。いずれもテークダウン寸前まで相手を追い込むも無得点。2分頃には相手にアクティブタイムが課せられ、30秒が経過。樋口に1点が入って先制する。第2ピリオドではタックルが決まって2点。しかし、追加点を取りに行ったタックルを捕まえられて、がぶり返し。さらに、樋口にアクティブタイムで得点できず1失点。3-3のラストポイントで、昨年の世界王者を倒しての金メダルはならなかった。日本陣営は相手が最後の過度な防御が反則ではないかとチャレンジしたが覆らなかった(樋口が1失点)。
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準決勝 〇[10-5]Hassan Sabzali Rahimi(イラン)
《試合経過》元世界王者に対して樋口はひるむことなく第1ピリオドからタックルを繰り出して2点。第1ピリオド終了間際にもタックルでの攻撃で2点を奪う。第2ピリオド30秒にもタックルで2得点。相手にタックルを決められても、グラウンドのもつれ時にバックポイントなどを奪ってリードを広げた。終盤に追い上げられたが、快勝した。
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3回戦 〇[8-4]Yowlys Bonne Rodriguez(キューバ)
《試合経過》第1ピリオド、タックルに入った樋口は時間をかけてテークダウンし、アンクルホールドにつなげて計4点。第2ピリオドに入っても樋口が盛んに攻撃を仕掛けたが、3分52秒、タックルで相手の片足をつかんだところに、がぶり返しを合わされて4失点。しかし、残り1分を切ったところで、樋口のタックルが決まりだし8-4で勝ち抜いた。
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2回戦 〇[Tフォール、4:18=10-0]Asadulla Lachinau(ベラルーシ)
《試合経過》開始30秒、タックルで相手を場外に追いやって1点。アクティブタイムで相手が無得点だったため、さらに樋口に1点が入った。2分43秒にはタックルからバックを奪って攻めると相手が勢いよく外に出たため、1ポイントコーションで3-0。第2ピリオドになっても、スタンド戦ではタックル、カウンタータックルなどが決まり、グラウンド技もローリング、アンクルで追加して、テクニカルフォール勝ち。
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1回戦 〇[Tフォール、4:11=12-2)]Yang Kyong Il(北朝鮮)
《試合経過》開始早々、タックルを繰り出す樋口。消極的になったヤンにはアクティブタイムが課せられる。しかし樋口は30秒間にタックルを受けて2失点。第1ピリオドの終盤に樋口がタックルで2点を奪い、同点で折り返す。第2ピリオドに入ると樋口の攻撃の手数が増える。タックルから腕を取ってのニアフォールで計4点。その後もタックル、ローリングと続け、4分11秒にタックルを決めて12-2。世界を2度制したヤンからテクニカルフォール勝ちを収めた。
【74kg級】高谷惣亮(ALSOK) 7位=20選手出場
3回戦 ●[3-4]Galymzhan Usserbayev(カザフスタン)
《試合経過》両足タックルで相手を押し出して1点。相手のアクティブタイムを守って1点。第2ピリオド後半にスタンドからのがぶり返しを決められて4点を奪われ、バックポイントで1点を返すが3-4へ。ここでローリングを返せず、残り時間でタックルを繰り出したが、相手が逃げ回り、テークダウンできずに6分間が終了した。
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2回戦 〇[5-4] Zelimkhan Khadjiev(フランス)
《試合経過》伸びのあるタックルで足をさわられた高谷は、テークダウン寸前までいくがこらえる。防戦一方となり、アクティブタイムを課されて1失点。第2ピリオド序盤、高谷の得意技である両足タックルが決まって2点と逆転に成功する。だが、残り30秒で同点に追いつかれるが、高谷がこん身のがぶり返しを決めて再逆転した。
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1回戦 〇[負傷棄権、1:44=6-0]Talgat Ilyasov(オーストラリア)
《試合経過》開始早々、がぶられるが、回りながらこらえ、高谷がバックポイントをゲット。その後、豪快なタックルを決めると、相手が動けなくなり棄権した。