※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
双子とも2年連続優勝した50kg級の兄・金子晴翔(左)と55kg級の弟・勇翔
霞ヶ浦アンジュクラブは、高校の強豪校として知られる霞ヶ浦高校(茨城)のおひざ元のクラブ。タックル中心で攻める霞ヶ浦高の典型的スタイルを受け継ぎ、金子兄弟のレスリングも超攻撃的だ。
ともに決勝に進出し、50kg級で兄の晴翔が先に決勝を迎えた。準決勝までは順調だったが、決勝では、対戦相手の飯塚康太(東京・NODAI Jr..)のディフェンスが強くて体力を消耗し、先制点を許して追いかける展開になった。なんとか3-3と同点に追いついて、1分の延長戦に持ちこんだ。「とにかく攻めないといけないし、ここで負けちゃだめだと思った」と、弟の勇翔との約束を思い出して気合を入れ直した。
延長戦は、決勝点こそ獲れなかったが、相手を何度も場外に追いやるほど前に攻めた。これが好印象となり、判定勝ち。晴翔は「攻めていたので判定勝ちできる自信はあった」と振り返ったが、快勝できなかった悔しさがにじみ出ており、表情は少し硬かった。
■ロンドン・オリンピックでの湯元兄弟の再現を目指す
兄が優勝した後に登場したのは、55kg級で弟の勇翔。兄が辛勝したことでプレッシャーがかかり、緊張してしまったそうだが、試合開始直後の豪快なタックルで、試合の流れを引き寄せた。勇翔は「いつもの形で、タックルでしっかり取れてうれしかった。タックルに一発入れて楽になれました」と、その後もほぼ一方的な流れで得点を重ねて優勝。見事に双子兄弟でV2を成し遂げた。 兄に続いた弟の勇翔(55kg級)
霞ヶ浦アンジュクラブは、霞ヶ浦高の3年生が交代で練習に来てくれる習慣があり、金子兄弟も樋口に練習をつけてもらったことがある。高校界でダントツの強さを見せていた樋口との練習は、「チャンピオンとやれてうれしかった」と記憶に残っている。
晴翔は「樋口先輩には頑張って勝ってほしいです。そして僕も続きたい。僕も絶対にオリンピックに出て優勝したいです」と将来の夢をきっぱり。オリンピックの話題をふられた弟の勇翔は「僕もです」と続いた。
2012年ロンドン・オリンピックでは、湯元健一と進一の双子がそろって出場した話題となった。湯元兄弟のように、金子兄弟も世界を見据えてこれからも精進することを誓った。