※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
約70人の報道陣が集まったオリンピック代表チームの合宿
ウォーミングアップ後の打ち込みは、オリンピック選手同士が実施。オリンピック4連覇を目指す53kg級の吉田沙保里(フリー)と58kg級の伊調馨(ALSOK)の手合わせも実現した。
両者は、以前は同じ階級でやっていたことがあり、公式戦では2000年と2001年の全日本選手権で対戦している(2度とも吉田の勝利)。伊調が63kg級に上げてから闘ったことはなく、吉田によるとスパーリングをすることもなかったという。
栄和人強化本部長は、報道陣に「サービス!」と伝え、テレビや新聞の“絵作り”への協力という意味もあったようだが、代表選手同士の練習で緊張感を求めたことも事実。吉田は「(伊調の)防御の仕方とか、参考になることがありました」と、スパーリングではなかったものの、上の階級の世界トップ選手との練習で感じるものがあったようだ。
吉田は右股関節を痛めて練習をセーブしているとのことだが、「まだ日にちがあるので大丈夫だと思います。しっかり治して、オリンピックに行きたいと思う」と話した。
吉田沙保里(右=フリー)と伊調馨(ALSOK)の打ち込み練習
■48kg級・登坂絵莉(東新住建)「調子は良くもなく悪くもない状態。失点が多い日もあれば、少ない日もあって、あまり安定していません。けれども、いつも練習はあまりよくない方なので、普通かなと思います。初めてのオリンピックは楽しみな気持ちと不安な気持ちで7:3の割合です。いつかは本番が来るし、金メダルが目標なので、早く(試合が終わって金メダルが)欲しいという気持ちと、その試合に対して不安な気持ちがあります。不安な気持ちは、沙保里さんから『来るものは来るんだから』と言われ、割り切るようにしています。各壮行会に出席して、オリンピックって本当にすごいんだなと実感しています」
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■53kg級代表・吉田沙保里(フリー)「合宿初日の21日に右の股関節を痛めていて思い切った練習を100パーセントできていないです。また痛めてしまうのは嫌なので、今はタックルはしていません。打ち込みもわざと右に入っています。出場選手も決まってきたり、競技によっては現地に出発したりなどの情報が入ってくるので、いよいよだなと思ってきました。4度目のオリンピックは、いつもと同じような気持ちですが、今回は6人が同じ大学で、全員が後輩です。そこは心強いです」
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■58kg級代表・伊調馨(ALSOK)「本番まで1ヶ月を切ったので、けがに気をつけて、しっかりと準備しようと思います。今まで通りの練習をやって、しっかり追い込めるところまで追い込みます。(左肩の状況は)レスリングをすることは大丈夫だけど、ほかのトレーニングでは痛みが出ることもあります。うまくつきあっています。それでも70パーセントの状態には戻ってきています。4年に1度のオリンピック。4年前のロンドンでは思い切った試合ができたので、あれ以上の試合ができるようにしたい」
------------------- 打ち込みはオリンピック代表選手同士で行われた
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■69kg級代表・土性沙羅(至学館大)「しっかり練習ができているので調子がいいと思いますが、寝る前に試合のことを考えると、緊張してくることもある。試合までの課題としては、しっかり自分から攻めることと、差されたり投げられないように練習していきたいです。ロシアのドーピング問題については(注=世界チャンピオンはロシア)、出ても出なくても絶対勝つと言う気持ちでやらないといけないと思っています。合宿が終わったら、一度、実家に帰りたいと思っています。(吉田)栄勝さんのお墓まいりにも行きたい。『目標にしていたオリンピックに出るので、金メダル持って帰ってきます』と伝えます」
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■75kg級代表・渡利璃穏(アイシン・エィ・ダブリュ)「大きなけがもなく、順調に来ていると思います。体重は72kgくらいで、これ以上増やすのは無理だと判断して、この体重をキープしていけるようにしっかりとご飯を食べていきたいと思います。(けがをしている)すねの痛みで、ダッシュは全力でできないけど、スパーリングなどでちゃんと息上げができるようにしていきたいです。72kgの体にも慣れ、(体の動きと体重が)だいぶ一致してきて、タックルをつぶされる回数は減ってきました。下手に入るとバックに回られるので、そこは気をつけていきたいと思います。試合ではスピードで相手をかく乱していきたいです」