※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
毎夏恒例の菅平合宿
オリンピックの開会式のちょうど1ヶ月前の5日、樋口は「オリンピック(自分の試合)まであと46日、調子はいいです」と現在のコンディションを説明。試合日までの日数がすぐに出てくることで分かる通り、毎日カウントダウンして決戦の日を待ち望んでいる。
「あわてふためいても仕方ない。ここで十分に追い込み、体力をしっかり上げたい。(7月23日からの次回合宿の)岐阜はもっと標高が高いところでやるので、さらに体力をアップしたい」と、今月を“体力アップ月間”と位置づけた。
技術的には、欧州遠征で参加したジオルコウスキ国際大会の決勝で片足タックルの処理が今ひとつだったため、その課題に取り組んでいるという。
世界選手権出場の経験がないため、大舞台でもあがらずに実力を発揮できるかどうかも、勝敗のかぎをにぎるだろう。その対策は、世界選手権のビデオを見ることで会場のムードを感じ、そこで闘う自分を想像することで克服するつもりだ。 高谷不参加のため、唯一のオリンピック選手として参加した樋口黎(日体大)
和田貴広・男子フリースタイル強化委員長(国士舘大教)は、樋口の練習を「いい調子でこなしている。中村倫也(専大=全日本選抜選手権57kg級優勝)、有元伸悟(近大職=全日本選抜選手権61kg級優勝)らいい選手が参加しているので、見ごたえあるスパーリングをやっています」と評価する。
片足タックルとアンクルホールドのイメージが強いが、最近はハイクラッチ・タックル、一本背負い、がぶり返しとレパートリーが広がり、完成度も高くなっているという。試合では苦手な体勢にはなることは少なく、自分のレスリングを貫ける選手だというが、ヨーロッパでの試合はリードしていて失点してしまうなど、いくつかの課題が見つかった。その修正が今合宿の課題。
この日の練習では、タックルなしで場外へ押し出すスパーリングを実行した。グレコローマンの差し合い、押し合いのような練習。日本選手は平均して前へ押す力が弱く、間合いを取ろうとして下がり、気がついたら場外際にいたというケースが目立つという。「強い選手は前へ出る力が強い。前へ詰めることで相手の体力を奪える」として取り入れている。
組み手で攻勢を取るなど前さばきも重要な要素だが、前へ出ながらのテクニックならさらに効果で出てくるので、今後も取り入れていく予定だ。
菅平合宿は9日まで行われる。男子グレコローマンは4~8日に東京・味の素トレーニングセンターで合宿する。
![]() 田南部力コーチ(右端)から必殺のアンクルホールドを学ぶ樋口(中) |
![]() 和田貴広・男子フリースタイル強化委員長の技術指導 |
菅平ダボス高原での体力トレーニング | |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |